命のリミット
砂漠の中をラクダにまたがり、労わるようにしてコブを撫でる王子。
「もう少しで着くからな」
荒廃した町が見えてきた。
「この町も..(遅かったか)」
王子は胸にぽっかり穴が空いた屍を見た。
「心が食われてますね」近衛が確認を取る。
人間の心を栄養にして凶悪化する魔王ザンギバス。
王子がファンタジーの世界からSFの世界に転生すると、一夜で世を平定した。
次にSFの世界から迷宮界に転生すると、平面の世界がずっと続いた。
星は丸いのが常識だと思っていた。ここは星ではない。
「私にはこれが創られた世界にしか思えません」側近が王子に吐露する。
「逆に訊く。創られた世界などどこにある」王子の右腕が凛として答える。
「ある、ということに対して抱く疑問は愚問だ」戦士の統括が口を挟む。
「いや、それは違う。あるからこそ生まれる疑問は必然と正解を探し続ける」魔法が使える少女が言った。
「ではなぜ、我々は架空の世界を彷徨ってる」勇者が言う。
「次はシューティングの世界。真実がわかった時、君たちは肉体を得る」王子の持つ水晶玉が言った。
「物語を全てこの目で確かめたら、邪王エレキゼルの真意がわかる」姫君が言った。
「この仮想空間から抜け出す方法は、肉体を持ち魂になるしかない」
王子は明るい空に、7つの星を認めて言った。