エピローグ2〜あと一つだけ〜
テレスの母と名乗る人物から告げられたのは、彼女が死んだという事だった。その死因について俺は聞けなかったし、この母と名乗る人物も、その話はしなかった。
仲良くしてくれて本当にありがとう。最近は、自分達家族と会話も増えたし、前向きに明るくなったのはあなたのおかげですと、何度も俺に頭を下げてきた。この姿で俺に会いに来たのはテレスから頼まれたからだと言う。テレスが死ぬ前に残した手紙に、Algoというプレイヤーに会って、自身がもうこの世にいない事を伝えて欲しいと書かれていたと、彼女の母は言う。
俺は失礼を承知で、この母と名乗る人物にテレスの事を聞いた。俺は彼女の顔も知らない。名前も知らない。性別も知らない。現実の繋がりなど一切ない赤の他人だ。それでも、どんな形であれ現実で彼女に会いたいと思ったし、出来るのであれば弔問したいと伝えた。もう、俺にはそれくらいしか、彼女の為に出来る事はないのだから。
しかし、彼女の母と名乗る人物は首を横に振り、ごめんなさいと俺に頭を下げた。もし、自分の事を尋ねてきたら、何も喋らないで欲しいとテレスは書き残していたらしい。だから、何も伝えられないと俺に話す。ただ、どうしてもアルゴちゃんが、私の事を知りたいなら、一つだけ教えてあげてほしい。そう手紙に書かれていたと、彼女の母と名乗る目の前の人物は俺にそう話しかけてくる。
俺は教えて欲しいと彼女の母に頼むと、テレスの星座と誕生日が俺に伝えられた。結局、俺が現実のあいつの事を知っているのは、それだけだった。
あと一つだけ、あなたに宛てた言葉があると彼女の母は話す。私には、良く意味は分からないけれどと、手紙に書かれていた言葉を話してくれた。
おままごと最高だった!
それが彼女の母と名乗る人物から伝えられた、テレスの最後の言葉だった。
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