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番外編20〜この世界に〜

「〜さん! 前に一回教えたでしょ!メモばっかりとってないで、ちゃんと話を聞いていないから、こうなるの。私が気付かなかったら、大変なことになってたんですよ!?」


 ごめんなさい。ごめんなさい。ごめんなさい


 私はそれだけしか言う事が出来ない。私を叱る職員さんが言う事は間違いなく正しい。自分がしでかしてしまったミスの大きさは分っている。奇跡的に何事も無かったけれど、利用者さんに大怪我どころか、死に繋がるような重大事故に繋がりかねなかった。


 分かっていたはずなのに。気をつけていたはずなのに。どうしても慌ててしまうと頭からその部分がすっぽりと抜けてしまう。何で、どうして、頭では分かっているのに、こうなってしまうの。


「大丈夫。次からは気をつけましょう。」と、優しい言葉をかけてくれる職員さんもいるが、私の手の震えは止まらない。


 一歩間違えば、私のせいで人が死んでしまったかもしれない。次は、なんてあり得ない。次は誰か死んでしまう。私のせいで、この施設の利用者さんが死んでしまうかもしれなかった。そう思うと、この手と体が震えて止まらない。


 私はここに勤めていてはいけない人間だ。いちゃいけない駄目人間だ。早く辞めないと迷惑をかけてしまう。


 ...でも辞めた後、私はどうしたらいいのだろう。父の紹介で入り、きっとこれだけ私の事を分かっている職場ですら、これなのだ。この世界に私が働ける場所なんてどこにもないのが、今分かった。やっぱり、この世界に私が居ていい場所なんて存在しない。


 私は無能だ。何も出来ない。ただ生きているだけのゴミ。社会のお荷物。


 失敗作だ。


 ねえ、アルゴちゃん。私はどうしたら良かったと思う?アバンダンドから抜け出そうなんて、考えちゃいけなかったのかな。


 私だって、メズちゃんみたいになりたかった。もう無理かもしれないけど、この世界で普通の人と同じように生きてみたかった。


 ねえ、助けてよ。アルゴちゃん。メズちゃん。


 私はもう、頑張れない。



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