第1章7話〜あいつの名前見たか〜
「こっからまたあの狩場に行くまでに、十五分はかかるだろうし、今日はここらで解散かな。」
警備兵が立っている町の出口の方を見つめ、弟君が言う。俺も彼の言葉を聞いて、モニターに映る時間を確認すると、現在の時刻は二十二時二十五分を示している。
元々の解散時刻は二十三時を予定していた。狩場に行って戻ってくる事を考えると、確かにもうパーティプレイをするのは、現実的ではない時間だ。
「そうだな。少し後味の悪い終わり方だが、今日はここらで終わりにするのが良いだろう。お疲れ。」
俺も弟君への提案に同意すると、ユカちゃんは拳を軽く顎に当て、「うーん、」と何か少し考え事をした後、
「解散する前に、皆でこのクエスト一緒に見ませんか?」と提案し、ユカちゃんは本日手に入れていた二本目の小鬼の小刀を鞄の中から取り出す。
あー、このクエストか...。そういやレベル上げしながら、このクエストも進めようと言い出したのは俺なのだが、そのユカちゃんの提案に俺はあまり気乗りしない。
「"王国騎士を目指して"か。悪いんだけど、このクエスト、俺めちゃくちゃ嫌いなんだよなぁ。俺は辞退するから、弟くんとで見てきな。」
このゲームのクエストはパーティメンバーであれば、クエストを受けている人と一緒にストーリーを見る事が出来る。だが、このクエストがどうも苦手な俺はその申し出を断る。
「えー、それならしょうがないですね。なら、タロちゃん。私と一緒に見ましょう。」
ユカちゃんは俺がクエストに参加しない事が少し不満らしい。口を尖らせながらも、ありがたい事にしぶしぶ容認してくれている。
「あー、いや、俺もおっさんに同意でパス。このクエストほんと胸糞悪くなるからなぁ。」
弟君も俺と同意見らしく、ユカちゃんの誘いを断っている。
まぁ、このクエスト知ってる奴ならそうなるよなぁ。“王国騎士を目指して”は、プレイヤーから嫌われてるクエストのトップスリーには確実に入るだろう。何で初心者エリアのクエストで、こんなのを実装したのか運営に一度聞いてみたい程だ。
「ちょっと待ってください!これ、そんな変なクエストじゃないでしょ!逆に、一人で見るの怖くなってきましたよ。ね、皆で見ましょうよ!」
弟君にまで自分の提案を断られたユカちゃんは、一体このクエストに何があるのかと不安になったらしい。狼狽えた様子で俺の腕をぐいぐいと引っ張りながら、上目遣いで「ね?ね?」と頼み込んでいる。...必死すぎる。
「...ユカちゃんは、これどんなクエストだったか覚えてるか?」
俺がそう尋ねるとユカちゃんは、「当然です!」と言って、俺の腕から手を離して話し始める。
「えっと、まずそこの家のお母さんから、息子がヴォルトシェル?王国の騎士になりに行ったけど、便りが全然なくて寂しいから、どこかで息子さんの噂を聞いたら、教えて欲しいって内容です。」
ユカちゃんはクエスト依頼主が住んでいる民家を指差しながら、自信たっぷりに答える。
ふむ、完璧に覚えているらしい。それなら何となく迎える結末を察しそうなもんだけどなぁ。
俺はヒントを出すように、ユカちゃんにこのクエストの内容を一つ一つ確認するように話し出す。
「そうだな。そこの息子は、ダンデリオンの町で評判の若者だった。本人もこの町で終わるのは勿体無いと、ヴォルトシェル王国に行って、騎士団に入るのを熱望していた。だから、親も快くヴォルトシェルへ彼を送り出したんだ。」
「そうですよ。良い親じゃないですか。このクエストを受けた後、ダンデリオンの町を回ってたら、息子さんを最近見かけたって声も聞けました。」
「そうだな。実はダンデリオンに帰ってたんだな。だけど、家には帰れなかった。仲の良い友人にだけ彼は会っていて、母親に渡して欲しいと手紙を預かっていたはずだ。それを代理で届けに行ったろ?」
「ええ、それも渡しました。期待を裏切って申し訳ないって内容でした。で、お母さんから息子さんを探してきて欲しい。近くにいると思う!ってところまでですね。」
「そこまで分かってるなら、このクエスト達成する為のアイテムが小鬼の小刀だし。大体想像つかないか、これがどういうクエストか?」
俺がそうユカちゃんに言うと、「うーん、」と唸りながら考え込んでいる。頭上にクエスチョンマークが浮かんでいるのが見えるようだ。
...どうもダメらしい。
俺は観念して大きく息を吐き、「しょうがない。俺も見るよ。ギルマス」と言うと、弟君はぎょっと目を大きく見開く。
「...正気かよ、おっさん。俺は嫌だぞ?」
「タロちゃん?」
とても冷めた声で、ユカちゃんが弟の名前を呼ぶと観念したかのように、「分かった。」と呟く。彼らの家では姉の方が圧倒的に意見が強いらしい。
―――
ユカちゃんを先頭にして俺達全員で民家に入ると、そこには年配の女性NPCが、一人木製の椅子に座っていた。
「あ!あのお母さんですよ。話しかけますね。」
ユカちゃんが指し示す年配の女性のNPCは、帰ってこない息子の事を心配しているのだろう。大分やつれた顔をしている。
「やだなぁ。見たくねーなぁ。」
その母親の姿を見た弟君は、未だにぶつぶつと文句を言っている。
流石に諦めろって。俺だって見たくねーんだからよ。
「あの、すみません。これを持ってきました。」
ユカちゃんはナイフをテーブルに置き、女性NPCへと話しかける。すると、NPCは目を丸くして、ユカちゃんの方に振り向く。
このゲームのNPCはマジで生きているかのような反応をするから、クエスト内容によっては、ほんと気分悪くなるんだよなぁ...。
「あ、あなたが持っているのは...!私があの子に渡したナイフ。どうしてあなたがそれを!」
ユカちゃんがテーブルに置いたナイフをNPCは握りしめ、驚きの声をあげている。ユカちゃんも、そろそろ不穏な空気を読み取ったらしい。横に立っている俺に不安げな顔を浮かべながら尋ねてくる。
「...えっと、選択肢が出たんですけど、【ゴブリンが持っていた】【道に落ちていた】どっちで回答すればいいんですか?」
「どっちでも良いよ。ユカちゃんの好きな方を選べば良い。」
「...では、正直に行こうかと思います。」
この選択肢に意味はない。分岐はあるが、着地点は変わらないからな。
「これ、ゴブリンが持っていたんです。」
ユカちゃんがそう話すと、NPCは訝しげな顔で、「あの子は、ゴブリンなんかに負けるような子じゃない。そんな事があるはずがないわ。」と叫ぶものの、すぐにNPCは涙を浮かべて、どこか納得したような様子へと変わる。
「...いえ、でも持っていたということはそういう...事ですよね。このナイフ、私が息子にお守りとして持たせたものです。あの子がこれを手放すはずがない...。」
NPCは握りしめていたナイフを再びテーブルへと置く。
「あの子は一人でここに帰ることも出来ず、ヴォルトシェルに戻ることも出来ず途方に暮れていたところをゴブリンに襲われて死んだんですね...。」
【そうかもしれない】【そんなことはない】
「モノーキーさん。見るのが辛くなってきたんですが、あの...、次は、この二つの選択肢が出たんですけど、どっち選べばいいんでしょう。お母さんが幸せになる方選びたいです。」
「どっちを選んでも母は救われないし、内容も変わらないから、好きな方で良いぞ。」
「か、変わらない...。」
ユカちゃんは俺の言葉に絶句している。そう、このクエストには救いはない。現実だってそうだ。どうあがいたとしても、着地点は変わらない事もあるだろう。
「そんな事ありませんよ。」
「ありがとう。でも、私には分かるのよ。あぁ、あの子は死んだんだって...。小さい頃から誰よりも体も大きくて頭も良くて、この町で終わるなんて勿体無いと思ったのよ。だからヴォルトシェルで王国騎士になるのを勧めたの。」
NPCは昔を思い出しているのだろう。とても優しい笑みで息子との思い出を噛み締めるように話している。
「息子自身も誰よりも自信があって、誰よりも強くて自分が騎士として成功すると信じて疑わなかった。凄く、凄く強い子だったわ。」
NPCは一回ギュッと目を瞑り、声を震わせながら、再び言葉を紡ぎ出す。
「あの子は一度も手紙でこの街に帰りたいなんていったことはありませんでした。一度でも弱みを見せて欲しかった。そしたらいつでも戻っておいでって言ってあげれたのに」
NPCはポロポロと涙をこぼし、テーブルにその水滴が1滴、2滴と数を増やしていく。
「家にも帰ってこれず、ごめんね。ごめんねぇ」
Quest Clear!!!!
俺達の目の前にクエストクリアの文字が大きく映し出される。
... 俺達は一体何を見させられてるんだろう。ユカちゃんが、あまりのこのクエストの酷さに唖然としている。そらそうだ。あまりにも鬱すぎる。
初心者からしたら、少し難易度の高いクエストであるものの、小鬼の小刀を手に入れる以外はただのお使いクエストなので、これが初めてクリアしたクエストがこれって人は少なくないだろう。このクエストを初期の町に配置している運営の底意地の悪さを感じられる。頭がおかしいだろこの運営。
民家を出ると、ユカちゃんはがっくりと肩を落としながら、俺に一つ質問をしてきた。
「...どうして息子さんは家に帰って来られなかったんでしょうか。町の人たちだって、皆優しいですよここ。」
まぁ、俺にはその程度の事で帰れなくなる彼の気持ちは分からねーが、意味としては理解出来なくもない。
「プライドが許さなかったんだろ。田舎町の中では優れた若者も優秀な人材が集まって来る王国の中なら、ただの落ちこぼれになった。現実世界でもよくあんだろ。あんな奴らと一緒にすんなと見下してたら、その見下してた奴らと自分は結局は何も変わらなかったっていう事。」
そう言う俺に対して、弟君は納得いかないのか、難しい顔をしながら口を開く。
「でもさ、王国騎士目指せるだけ強かったのは事実だろ。ダンデリオンに帰ってきて、お山の大将またやってりゃいいのにな。平凡ながらも幸せな人生歩めたでしょ、間違いなく。」
確かにそうだな。この弟君の意見も分かる。でもきっと、それじゃあ、彼はダメだったんだろうな。
「おめーらまだわけーから、そう考えるのは最もだけど。一度上がっていった人生を下げる事が出来ねー奴って結構いんだよ。見下してた奴と自分が結局何も変わらなかったなんて、認められねー奴って普通にいるからな。」
「...私には良く分からないです。失敗したって良いじゃないですか。年齢重ねたら、分かるようになるんでしょうか?」
ユカちゃんは、どこか悔しそうに言葉に詰まりながら言う。
「多分な。自分からしたら、くだらねーと思う内容で悩む人って結構いるだろ?でも、そいつからしたら、ガチの悩みだったりもする。だからよ、理解は出来なくても、この人はそうだったんだなって思ってやれたら、良いんじゃねーかな。」
俺のその呟きに、弟君も感心したような表情で目を丸くさせながら言う。
「おっさん、ちゃんとおっさんなんだな。ネジの外れたアタオカだと思ってたけど、少し見直した。」
「うるせぇよ。あ、ちなみに墓場でユカちゃん襲いかかってきたユニークいるだろ?あいつ、この息子だぞ。」
「なんかもう、本当に鬱なんですが...。」
「襲われた時、あいつの名前見たか?」
俺がユカちゃんに尋ねると、彼女はブンブンと首を勢い良く横に振る。
「いやいやいや、そんな余裕なかったです。」
「そうか。あのゾンビの名前な、nobodyって言うんだ。つまり、才能も何にもないもの。何者でも誰でもないものって意味だ。最悪すぎる。」
「...ここの会社の人、頭おかしいんじゃないでしょうか。息子さん、可哀想過ぎますよ!」
「ようやくユカちゃんも分かったか。マジで頭おかしいんだよ、このゲーム。」
―――
「では、私達はこれでログアウトする事にします。もし、モノーキーさんさえ良かったら、明日も一緒にレベリングしませんか?」
再び町の出口の近くまで歩いて来た後、ユカちゃんが一つの提案をしてくる。これは所謂、固定パーティのお誘いだろう。野良と言われる不特定の人とパーティするのではなく、決まった人と固定でレベリングをしていこうというプレイスタイルとなる。
弟君はチラッと俺の装備を一瞥すると、「姉ちゃん。おっさんは、多分速攻でレベル上げたい人だろうから、それは無理だと思うぞ。」とユカちゃんに言う。
確かに弟君の言う事は間違っていない。ユカちゃん達と出会う前の俺だったら、多分そうしていただろう。ただ、こうやって久々に初心者エリアでプレイをしてみると、それはそれで楽しくもあった。今は別にそこまで急いでレベル上げもしなくてもいいとすら思えている。俺はメインアカウントが使えない間の穴埋めに金さえ稼げれば良いんだ。初心者エリアでもやりようによればそれなりに稼げる。釣りや採掘、採集だってあるし、レベル25まで上げれれば、大平原のユニークだってソロで討伐可能になるしな。
「いや、大丈夫。別に固定でレベリングやってもいいぞ。楽しかったしな、今日は。」
俺の返答にユカちゃんは「良いんですか!?」と声を弾ませながら、聞き直してくる。
「あぁ。」
「じゃあ毎日20時から23時までやりましょう!モノーキーさん、タロちゃん。それで大丈夫?」
「え、俺も固定でやんの?」
「え、タロちゃん一緒にやらないつもりだったの?」
「参加出来る時はするけど、俺メインジョブもあるからなぁ。それに、姉ちゃん固定ばっかも良くないんだからな?たまには、野良の人とも組まないと上手くならないぞ。」
「なるほど、それもそっか。タロちゃんにはタロちゃんの予定もあるもんね。ギルドマスターが下手くそじゃ示しがつきませんし、モノーキーさんビシバシお願いしますね。」
ユカちゃんはそう言うと、俺に頭を下げてくる。
「ああ。俺の秘蔵のレベリング技術を叩き込んでやるから覚悟しとけ。」
「おっさん、ほんと変な事、姉ちゃんに教えんなよな。」
...俺は何も変な事は教えていないんだが。
俺は苦言を呈している弟君を無視してユカちゃんに一つ提案をする。
「なぁ、ユカちゃんこれからギルドやってくんなら
、運営費くらいなら寄付してやろうか?大分これから金もかかると思うぞ。」
メインアカウントに比べれば、ほとんど持ってないような額ではあるが、初心者ギルドに投資する分なら、十分過ぎる程このサブアカウントにはある。
しかし、ユカちゃんはその俺の申し出をキッパリと断ってきた。
「いいえ、受け取れません。」
「何故?」
俺は本心からユカちゃんへと尋ねる。だって金はあったほうが便利だろ。貸すわけでもないから、後で返す必要すらない。彼女にとってメリットしかない行為のはずだ。
「レベルの高い人からアイテムや金銭を受け取ってしまったら、それはもうゲームの楽しさを変えてしまうと思うんですよね。」
「姉ちゃんそれ俺にも言ってたな。だから、魔剣士で稼いだ分の運営費は受け取らないって。」
「つーことは、このレベルので稼いだ分は受け取るって事?」
「それなら、そうですね。ありがたくお受け取りしようかと思います。」
「んじゃ、俺はもう少し狩り続けて行くから、そしたら戦利品渡すわ。」
「無理しないでくださいね。ギルドメンバーだってまだ私達だけなので、そこまで運営費も必要ではないので。」
「あぁ。全く無理なんかしねーから安心しろ。」
「それとモノーキーさん。私、この小鬼の小刀大事に使います!今日はありがとうございました!」
「あぁ。俺もなかなか面白かったぞ。」
「おっさんお疲れー。」
二人は俺に挨拶をすると、この世界からログアウトしていく。俺は二人が完全にこの世界から消えるまでその姿を見送ると、再び警備兵のいる出口へと歩き出す。
...あのクエストには、プレイヤー間で囁かれる噂が一つある。確かにクエスト内容も可哀想過ぎる話ではあったものの、それだけじゃあない。あのクエストが忌み嫌われるのは他にも理由がある。ユカちゃんにはあえて言う事でもないから、喋らずにいたが弟君はおそらくこの噂を知っているはずだ。
王国騎士というジョブはプレイヤーがレベル25以上で、一定の条件を達成すると転職可能となる。ゲーム設定としても、ここら辺はかなり細かく作り込んである。王国騎士は相当に強くないと、試験を受ける事すら出来ないとNPCは口を揃えて言う。
王国騎士にはなれなかったとはいえ、王国騎士になるチャンスを得たというだけで、彼はレベル25は超えているのだ。レベル10ちょい上くらいの俺達がゴブリンをあれだけバカスカ狩れているのに、レベル25超えの彼が油断したからといって、ゴブリンに負ける事など百パーセントないのだ。それでも彼は死んでゾンビになって現れている。...つまりはこのクエストはそういう事なのだ。
このクエスト作った意味がどこにあるのか。あえてこの序盤にこのクエスト見させる意味がわからない。このゲームがサービス終了する前にその裏話をどこかで運営は語るのだろうか。
...まぁ、そんな事はどうでもいい。今は、俺のやるべき事をしよう。
これからユカちゃんとレベルを合わせて固定を組むのなら、経験値を手に入らないように狩る必要がある。町の入り口付近であれば、経験値はもう入らないだろう。
金砕棒を俺は強く握りしめ、ゴブリンを殴り始める。さて、虐殺の始まりだ。
―――
翌日。昨日言ってた通り、二十時にユカちゃんと弟君は同時にログインしてきた。
『ちわーす。』『こんばんはー。』と二人の挨拶がギルドチャットのログに流れてくる。俺もキーボードチャットで挨拶をし、大平原にいると伝えると、数分で二人が合流してきた。
「モノーキーさん、早いですね。」
「あぁ、寝てねぇからな。」
「...つかぬことをお聞きしますが、」
「おう。」
「あの...。もしかして昨日私と弟がログアウトしてからずーっと狩ってたんですか...。」
「何時間プレイしてんだおっさん...。」
「ま、大人の本気ってやつだな!」
「....キッショ!ニートじゃん!!!」
黙れクソガキ!ギルドの為にゴブリン狩ってやってたのに。なんちゅう言い草だ。
「ユカちゃんが、今の俺で稼いだ金でしか受け取らねーつったからよ。ほら、こいつなら二十二本ある。ギルド資金にでもしてくれ。」
俺は鞄をひっくり返すと、一晩かけて集めた小刀を全てその場にぶちまける。
「こ、小鬼の小刀がこんなに...。」
ぶちまけられた大量の小刀を見て、ユカちゃんは開いた口が塞がらないようだ。良いリアクションをしてくれる。
「まぁ、十万Gは最低でも行くだろ。」
俺が得意げにそう言うと、弟君は地面にぶちまけていた小刀を両手に一本ずつ拾い上げ、小刀を見つめながら呆れた声で言う。
「おっさんいくらなんでもやりすぎだろ...。"王国騎士を目指して"の感動というか、虚無感というかクソもへったくれもねぇな...。」
「あぁ?あんな糞クエストなんてこんな扱いで良いんだよ。所詮ゲームはゲーム。さ、取引販売所に売りに行こう。」
お読みいただきありがとうございます。
面白く感じていただけたら、ブクマと評価していただけるととても嬉しく思います。
よろしくお願い致します。