EVER GOLD
意外と、ネガティヴな内容になりませんでした。
不遇の凪に帆もはれないで
舳先を丸くした憐れな舟よ
女神を飾ることもない鼻面をさげて
閉じた海を漂う夕暮れ
まぶしさに細める朝はもう二度とこないだろうと
夜の深さに目がなれていく
陽 出ずる国の水平線を霞ませて
冒険の記憶も古ぼけた昔話に色褪せた
未来を語るより過去の栄光で飲む酒がうまいって
しょぼくれた背中にならべてくれる肩がありがたい
緑の錆をエメラルドにして
ドレスに纏うのは異国の船さ
女神が乳房 揺らすたび鼻のしたのばし
灼けた喉で謳うはやさぐれ
まぶしさに眩んだ朝は遠くへ消えたものだと
欠ける月にも情を移さずに
陽 出ずる空を東と呼び拝んでは
団欒を囲んで持ち寄った土産話をはずませた
未来に嘆くより過去を愛したら飲むほどに酔えるって
節くれ指たちならべて呷るグラス またひとつ