ミッションコンプリート!法螺貝王国へ!
昔聞いた曲の歌詞にこのようなのがあったのを覚えている。
『たとえ望まなくても生きていれば傷つけあう世界がある』
なんの曲か分かった人は俺と同世代だw
そしてこちらに戦う意志がなくとも、相手側から攻撃してくれば戦わざるを得ない。
こちらが敵と思っていなくても、相手がこちらを敵と判断する事もあるのだ。
憲法九条で戦力を保持しないと誓いそれを守ろうとしていても、他国はそれを許してはくれない。
全ては相手がある事だからね。
人は皆違う考えや思いや判断材料を持っているもので、自分の期待通りとはいかないのだよ。
早朝から俺たちは、タコの町の住民たちと共に戦士の村を目指して歩き出した。
陽蝕は『過剰な護衛だ』とか言っていたけれど、内心は安心しているようでもあった。
タコの町には陽蝕と、俺の分身と共に天冉が残る。
別に天冉を一緒に連れてきても問題はないと思うけれど、法螺貝王国にどんな使い手がいるのか情報がないからな。
名前の売れた者の噂は聞かないので、いないと考えて良さそうなんだけれどね。
でも本当に今日進攻してくるのなら、フェンリルをなんとかできる程度の戦力は持っているって事だ。
尾花の強さは猫蓮よりも上だし、魔力は想香や陽蝕よりも大きい。
おそらく陽蝕よりも強いと思うが、陽蝕の事はまだよく分かっていないからね。
その尾花を倒せる準備がなければ進攻は無理な訳で、本当にやってくればそういう事になる。
護衛は萬屋ぼったくりのメンバープラス松桐尾花で行う。
尾花は昨日冒険者登録も済ませており、今回のクエストに参加させるのはそこそこ冒険者レベルを上げておくのが目的だ。
冒険者レベルは十スタートだけれど、そのままだと侮られる事もあるからね。
さて戦士の村までは直線距離で十数キロだ。
町の住民を連れて歩いて行くにしても、昼頃には戦士の村に到着するだろう。
何事も無ければいいけれど、作戦としては法螺貝軍に来てもらいたいんだよな。
このまま民の移動が完了すれば、しばらく冒険の旅は中断する事になる。
何時戦場になるかも分からない所には向かえないよね。
それに民をこのまま見捨ててはいけない。
仮にもしもタコの町が落とされれば、戦士の村は孤立し、住民全てが苦しむ事になるだろう。
最悪食料不足で全員死ぬ可能性もある。
だから長期戦になった時は物資の輸送を承諾した訳で。
尤も来たとしても長期戦にはなるだろうけれど、上手く行けば休戦できる可能性もあるはずだ。
『旦那様!予想通り法螺貝軍がやってきたぞ!』
尾花からテレパシー通信が入った。
『やけに早いな』
民の移動時間を少し早めてもらったが、全然間に合わなかった。
『森の中を直進行軍してきたようじゃ』
直進行軍とかヤロー塾かよ。
しかも森の中って、結構な魔獣もいるはずなんだけどな。
まあフェンリルが出てきても対応できるだけの軍と考えれば、それくらいはできてしまうのか。
『どうだ?強そうなヤツはいるか?』
『そこそこの奴らばかりじゃの。おそらく集団魔法によって対応しているのだろう』
『そうか。尾花はそのまま見つからない距離を保ちつつ何かあったら状況を伝えてくれ』
『了解した』
『決して戦闘はするなよ。おそらく今の尾花なら負けないとは思うけどさ』
『心配してくれるのか?今なら負けそうにないがの』
『いやまあ、もう仲間だしさ‥‥。そりゃ心配もする訳で‥‥』
クッソ。
気まぐれなオレンジ春日みたいな対応をしてしまったぞ。
「みんな!やはり思った通り法螺貝軍がこちらに向かっている。森の中を直進行軍しているようだから、おそらく狙いはこちらだろう。やってくるとしたら一時間後。四時の方向から来ると予想される。その場合狛里は計画通り頼むな」
「うん‥‥分かった‥‥」
狛里はそう言って得意げにサムズアップして見せた。
作戦は単純だ。
おそらくそれで方が付くとは思っている。
作戦が失敗したら、みんなで民を守りながら法螺貝軍を殲滅するしかない。
俺たちは海に近い道を、南へ向けてゆっくりと歩いて行った。
一時間ほどして道が少し右側に流れ始めた頃、予想通り法螺貝軍が動き出した。
『旦那様。今法螺貝軍が森を出てそちらに向かった』
『サンキュー!それで何か変わった動きはあるか?』
『特にはないの。複数の魔法使いによる共同魔法によって大きな効果を出しておるのは予想通り。兵士全員が相当強化されているようじゃ』
共同魔法によってみんなを強化か。
確かに森の方から強い魔力を感じるな。
でも単純に戦闘すれば俺たちの敵ではないが‥‥。
「そろそろ来るみたいだ」
「分かった‥‥。みんな‥‥戦いになったら‥‥まずは命を大事に‥‥そして仲間と民を‥‥守って‥‥」
「狛里様大丈夫だお!オデがみんなを守るお!」
「大船に乗った気持ちでいてください。僕ならガンガン行っても問題ありません」
みんな表情には余裕があった。
まあ正直に言ってしまえば、このメンバーの敵になり得るヤツなんてそうそういないんだよな。
神猿や陽蝕、そして魔王や尾花と、王族か魔物しか会った事がないよ。
尤もまだ俺が実際に行って知っている国は二つしかなくて、おそらくこれから何人も出会うとは思うけれどね。
「じゃあ‥‥行ってくる‥‥」
「よろしく頼む」
それに今回の場合は、戦闘になる可能性はほとんど無いと俺は見ている。
そういう作戦を立てたからな。
いくら兵士とは言え、死ぬのが分かっていてやりたくない戦いはやらないだろう。
上の者が民を襲えと命令しても、普通の兵士なら御断りしたい任務である。
そこにもう一つやらない方がいい要素が加われば、或いはそうしない為の言い訳ができれば、流石に撤退してくれるだろうと考えた。
狛里は大きな立て札を持って押し寄せてくる法螺貝軍の前に出た。
立て札には、『民の護衛クエスト中。萬屋ぼったくりの狛里が引き受けた』と書いておいた。
文字が読めるヤツは少ないだろうけれど、誰かが読めれば情報はすぐに広がるだろう。
これを見て法螺貝王国は攻撃してこられるだろうか。
狛里が強すぎる事は、どういう訳か多くが知っているからね。
魔王をアッサリと倒したヤツに戦いを挑めるような法螺貝軍ではないよな。
法螺貝軍は狛里を見て行軍を止めた。
「進行やめい!」
「どうしたんだ?なんだあの女の子は?」
「ちょっと待て!俺は多少文字が読めるんだが、どうやらあの女の子は萬屋の狛里のようだぞ?」
「何?!どうして萬屋の狛里が?鬼海星軍とは不可侵条約のはずだろ?まさか軍事同盟だったのか?」
「民の護衛クエストと書かれている。まさかそんな手で協力してくるとは」
「鬼海星と新巻鮭は繋がっているんだ!」
いやいや別に軍事同盟じゃないし、特に協力関係にはないんだけどさ。
まあ相手から見たらこの状況、そう取られても仕方がないか。
でもいい具合に法螺貝軍は混乱し始めたぞ。
このまま引いてくれれば、今日に限って言えば被害は無いし、この戦争自体考え直すきっかけになるかもしれない。
これで鬼海星側が色気を出さなければね。
「何がどうしたんだよ?狛里なんて知らねぇよ!俺は任務を遂行するぜ!」
軍の中の一人が、弓をこちらに向けて構えた。
いるんだよな、指揮官が止めても暴走するヤツは。
或いは戦争をさせたいスパイ工作員の可能性もあるけれど、何にしても一人くらいならいい見せしめになるだろう。
そいつは狛里を越えて民に向けて矢を放った。
魔法が付与されているようで、飛距離と命中率が強化されている。
確実に当てられるようになっているな。
大した威力ではないけれど、魔力の微量な一般の民が食らえば、当たり所によっては死ぬ可能性もありそうだ。
しかしその矢は狛里を越える事はなかった。
狛里はリビングバンテージを伸ばして矢を搦め捕り、一瞬の内に矢を手元へと持ってきた。
その矢を紙飛行機を飛ばすように法螺貝軍へと放つ。
矢は、矢を放った兵の腕を瞬時に貫いた。
「うごぉっ!」
その者はその場に倒れた。
「なんだ?何が起こった?」
「今萬屋の狛里が矢をこちらに投げ返して来たぞ」
「投げた?そんな動きはしていなかったが?」
「手首のスナップだけで矢をこちらに放ってきたんだ」
「なんだそれ?やっぱり噂通り萬屋はバケモンなのか!?」
なんだかんだ全員でかかってこられたら面倒だったけれど、一人やられた事で法螺貝軍の戦意は既に消えていた。
「撤退だ撤退!あんなのが本気でかかってきたら我が軍は十分と持たないぞ!」
指揮官の言葉に法螺貝軍は一気に撤退を開始した。
「我が軍は皆パワーアップしていたはずだよな?」
「そんなの全く関係ない相手だよ!」
「誰だよ。不可侵条約だから新巻鮭の萬屋が敵になる事はないって言ったヤツ」
「完全に鬼海星と手を組んでやがる!」
だから組んではいないよ。
ただお前らが戦い方の正当性を無視した戦いをしようとするから、こっちは仕方なくこうしたまででさ。
『法螺貝軍が撤退してきたぞ。私はどうしたらいい?』
尾花からテレパシー通信が入った。
おそらくこの状況なら、逃げてくる奴らを各個攻撃して壊滅状態にできるんだろうな。
でも俺たちは戦うのも法螺貝軍にダメージを与えるのも目的ではない。
民を守る為だけにここにいるのだ。
『別に何もしなくていいよ。そのまま逃がしてやってくれ』
尤も尾花は既に法螺貝軍の敵と認識されているだろうし、多くの兵士も殺している。
だから今更殺さずにいた所で、尾花にしたら大した差はないんだけどね。
あくまで俺の気持ちって事で。
こうして俺たちは、戦う事なく法螺貝軍を撤退させる事に成功したのだった。
この後、戦士の村までは何も起こらなかった。
森から出て民を襲おうとする魔物たちは、全て尾花による脅しに屈した。
森に住む魔獣じゃ、流石にフェンリルには勝てないよな。
ちなみにフェンリルのような伝説級の魔獣、或いはドラゴンと言った上位の存在は、あまり森には住み着かないようだ。
だいたいが山で、概ね標高の高い所に住んでいるらしい。
必ずしも絶対ではないけれどね。
そんな訳で全てが予定通りに進んでクエストはコンプリートされた。
俺たちはすぐにタコの町へと戻った。
当然こちらに法螺貝軍が攻めてくる事もなかった。
食事を済ませてから、俺たちはギルドに報酬を受け取りにいった。
「えっと、本当は町としてもギルドとしても、こんなに安い報酬ではと思うのですが‥‥。多少上乗せさせていただきましたが、契約通りに報酬は出させていただきます」
ギルドの受付嬢は恐縮していた。
法螺貝軍を追い返したのだから、その功績は大きすぎるものだからね。
ただクエスト自体俺たちにはどうでも良い物な訳で、そこまで恐縮されるとこちらも居心地が悪くなる。
つか依頼人も請負人もどちらも天冉みたいなものだし、それに巻き込まれているギルドの方が可哀想というか。
ぶっちゃけ金なんてどうでもいいのにさ。
「そんなに恐縮しなくてもいいのよぉ~。そうだ!もしも報酬が安すぎると思うんでしたらぁ~、ランクアップに色を付けて下さらないかしらぁ~?」
天冉は付け込む隙があるなら常に利益を求めるんだな。
或いは最初からそこまで見越していたのかもしれない。
でも今回天冉は参加していないんだけど?
「えっと、今回は萬屋ぼったくりメンバーの四人と、松桐尾花さんがゲスト参加ですよね?」
「そうよぉ~。だから尾花ちんの冒険者レベルをランク百にしてほしいのよぉ~」
おいおい天冉、それはボリ過ぎだろw
いくら萬屋ぼったくりとはいえなぁ。
「えっ?それは流石に難しいかと‥‥」
「でも今回の仕事の九十九パーセントは尾花ちんの働きなのよねぇ~」
「そうなんですか?」
そうなんですよ、川崎さん。
ちなみにギルドの受付嬢の名札には『川崎』と書いてあるからね。
「魔獣が一頭も襲ってこなかったのは、尾花ちんが森で魔獣を抑えていたからのよぉ~」
クエストに関する情報は、概ね全て俺の分身から天冉に伝えてある。
「そ、そうなんですか‥‥。それでも私の権限でランク百にする事は無理と言いますか‥‥」
「そうなのぉ~残念ねぇ~」
いや最初から無理だって。
そりゃ作者としては全員百の方が覚えやすくていいんだろうけれどさ。
これ以上やったら流石に無理があるだろう。
「それでですね。萬屋ぼったくりの実質リーダーである新巻鮭天冉さんの冒険者レベルなら百にする事ができます」
なんでそっちができるんやーい!
それこそ無理があるだろうが。
だいたい冒険者レベルが百になったら、難しい特別依頼とか回ってくるんじゃねぇの?
それが天冉に可能だと思うのか?
いや、その時は萬屋ぼったくりを動かせばいいだけで、まあある意味天冉の力って事にもなるんだろうけれどさ。
自分でやらなくてもそれは自分の力って事か。
「じゃあそれでいいわよぉ~」
これをアッサリ受け入れられる天冉も、流石と言わざるを得ない。
結局ランクは、天冉の冒険者レベルがランク百、尾花がランク六十という事で話がついた。
まあでもこんな感じでやっていたら、尾花も次のミッションコンプリートで百になりそうだよ。
そんな感じでその日は予定通り上手く行った。
しかし問題はこれからである。
今後は最前線の真っ向勝負となる訳で、そうすると鬼海星側がタコの町に籠城すれば戦争が膠着状態となるのは必至だ。
俺たちの冒険の旅はどうなるんだろうね。
こうしてその日はとりあえず眠りについた。
次の日の朝、天冉からグッドニュースが入ってきた。
「お父様から連絡がありましたぁ~。どうやら新巻鮭、鬼海星、法螺貝の三国不可侵条約が締結されるようよぉ~」
どうなっているんだ?
いやもしかしたらという期待はあった。
新巻鮭の狛里が鬼海星の為に前線に出て来たように見られた訳だしさ。
膠着すれば早々に休戦ってのが狙いだったんだけれど、それ以上の結果になりそうだな。
全く狛里の偉功は凄い。
圧倒的に戦力のある法螺貝王国は、その戦力と比べて狛里を同じかそれ以上に評価しているって事よね。
「何があったんだお?」
「『不可侵条約は軍事同盟だったのか?!』なんて言ってきたそうよぉ~。違うと否定しても法螺貝の王様は信じなかったみたいねぇ~」
「それで大丈夫なんでしょうか?協力を要請されるかもしれません」
「頼まれても‥‥法螺貝の為に‥‥戦わない‥‥」
「一応文書には、あくまでもお互い軍事進攻しない事が約束されているだけよぉ~。拒否しても文句は言わせないわぁ~」
天冉が言うと、本当に文句を言わせないと思えてくる。
魔力が微量でも、何か妙な迫力があるというか。
何にしても、こうして冒険の旅はすぐに継続が可能となったのだった。
とはいえ今日は町で過ごす予定だった訳で、急に出発というのも心の切り替えが追い付かなかった。
だから今日一日は各自自由に過ごす事となった。
陽蝕も急な旅立ちには対応できなかったみたいだしね。
置いて行ってもいいんだけどさw
というかマジで俺たちと冒険の旅に出る気だったんだな。
俺たちが法螺貝側に付かないよう見張る意味で仲間になった所もあるとは思っていたんだけれど。
本気で猫蓮が好きだとか?
いや俺は男同士でも別に否定はしないぞ。
ただ猫蓮は間違いなくノーマルだよな。
今後どうなるのか楽しみだ。
自由行動は適当な理由を付けて、俺は一人でタコの町をブラブラしていた。
尾花も護衛という形で狛里たちに付いていかせた。
といっても、少女隊プラスは一緒だけれどね。
「どうしてみんなと一緒に行動しないのです?」
「そうなのね。女好きの策也タマらしくないのね」
(コクコク)
俺はそんな風に見られていたのか?
「いや、俺って異世界の神じゃん?この世界の奴らと深くかかわるのを避けたいんだよ。いずれ別れがくるんだし、やっぱ寂しくなるだろうからさ」
「百年一緒にいたらそんな気持ちは薄まるのです」
「そうなのね。人間は元々百年にも満たない所で永遠の別れが来るのね」
そうなんだけどさ。
それは多分年をとって少しボケてきて、なんとなく死ぬのも別れるのも受け入れられるようになるからなんだと思う。
「それになるべくこの世界に痕跡は残さない方がいいだろ?」
「この世界の神を入れ替えるのに、痕跡の一つや二つ問題にならないのです」
「世界を変えるくらいしても良いと思うのね」
それも確かに正論だよな。
でもそれを聞いても、俺は何故かこの世界に関わりたくないと思っている。
なんだろうこの気持ちは。
俺はタコの町を歩きながら、どうもスッキリしない気持ちで一日を過ごすのだった。
この日朝早くから、俺たちはタコの町を出た。
旅立ちが決まってからも、なんだかんだ数日タコの町で過ごしていたんだよな。
陽蝕も色々とやる事があったみたいだしね。
ようやく旅立てるようになって、まず目指すのは法螺貝王国の『カラスの町』だ。
長年タコの町と向かい合い睨みあってきた町なので、おそらくタコの町に似た要塞都市だと想像する。
「国境はどの辺りなんだお?」
「鬼海星としては一応中間地点を示しているのだが、法螺貝はこの辺り一帯を自国領と主張していてね。それに街道の管理は商人ギルドだから、その辺りで見ればもう向こう側の領土と言えるかもな」
ふーん‥‥。
陽蝕は割とその辺り客観的に見て話す事ができるんだな。
こういうメンバー相手だからなのかもしれないが、王子らしからぬ発言だ。
転生前の世界で相手の領土だなんて言ったら、完全に売国奴扱いだよ。
まあ実際売国奴だったかもしれないけれどね。
ちなみに俺も冷静に客観的判断を言う方だったけれど、政治家でもないパンピーだから全く問題なしだよ。
政治家や王子の立場で言うから問題になるんでね。
「それよりも皆さん、そろそろお腹が空いてはきませんか?」
「想香トイレか?トイレだけだと嫌だったな。移動用の家を出してやるよ」
「違います!本当にお腹が!」
「そっか。じゃあ我慢だな」
「う、嘘です。ちょっと家で休みたいのです。出してください」
全く。
トイレくらい出る前に済ませておけよな。
いや、想香の場合は食べすぎ飲みすぎか。
俺は移動用の家を出してやった。
なんとなく笑みがこぼれた。
なんだか冒険の旅に出た頃が既に懐かしく感じるよ。
まだ半月程度しか経ってないんだけどな。
「私も‥‥トイレ行きたい‥‥」
「じゃあ我も行っておくか」
「それじゃ私も行っておこうかしらぁ~」
「みんなが行くとオデも行きたくなるお」
これじゃしばらく休憩だな。
こんな感じで俺たちのマッタリ旅は続くのだった。




