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異世界のチートな萬屋店長~一寸神アナザーアフター~  作者: 秋華(秋山華道)
出張編
11/64

魔王アスモデウス登場?!魔物の軍勢から町を守れ!

王女というのは、お姫様として生まれてくるものだ。

だから生まれた時から国民のアイドルとなる。

そして国民にとっての娘みたいなものだ。

例えそれがどんなにイタイ子であったとしてもね。


領主の城が襲われ、領主一家は皆殺しにされた。

そこで王女天冉は、御宅猫蓮を新しい領主に任命した。

今日から猫蓮は領主の城で暮らす事となる。

ただ警備や世話をしてくれる人は、生き残りの騎士が一人だけだった。

さてどうしたものか。

考えている所にやってきたのは、ならず者たちを処刑したであろうあの婆さんだった。

「事情は把握しました。このババアにお任せください」

この婆さん、実は元領主の懐刀で、裏でこの町の治安を守ったり、領主の代わりにあれこれ行っていた有能なメイド長だったようだ。

よって引き続き猫蓮新領主の元で働く事が決定した。

それはもうよくできたメイド長で、猫蓮に対しても普通に接する事ができていた。

他の世話係と騎士隊員は、次の日から募集をかける事となる。

猫蓮は大喜びしていた。

「やっとオデの時代が来たんだお!可愛いメイドを沢山雇って欲しいんだお!」

こいつを領主にして良かったのだろうか。

でも転生してきたら、男ならやっぱり夢見る所だよね。

とは言え猫蓮は、狛里に従属する下僕でもある。

いくら領主だからと言って、萬屋ぼったくりの従業員を辞める訳にもいかないのだ。

そこで俺はその日の深夜、萬屋の建物と領主の城を地下で結ぶトンネル通路を作った。

これで萬屋の建物と領主の城は一体化し、自由に行き来できる場所となった。


さて次の日、しかし領主をやるとなった猫蓮は忙しい。

メイド長の婆さんから色々と教えてもらい、領主の仕事を把握しなければならない。

そうすると店で働く人員が一人減る事になる。

俺は当然店番なんて御免だ。

そこで駆り出されたのは天冉だった。

「いらっしゃいませぇ~!高いよ高いよ、ぼったくるよぉ~」

天冉はやたらと楽しそうだった。

いやいつも笑顔なんだけどさ、それでも今が楽しいってのは伝わってくる。

そんな天冉に惹かれてか、今日はやけに店に客がやってきていた。

「ちょっとコレ欲しいんだけどさ、高くて買えないんだよ?まけてくれないかね?」

「え~どうしようなかぁ~。じゃあ半額でどうだ!」

「よし買った!」

全然ぼったくってないやんけー!

むしろ原価ギリギリなんじゃないだろうか。

まあでも最近俺の作った魔道具もあるし、いい宣伝にはなっているだろう。

ぶっちゃけ売れてほしくはないんだけどさ。

売れたらまた作らないと駄目だし。

俺はこの世界の人間じゃないし、いずれはアルカディアに帰るのだ。

そんな俺が多くをこの世界に残すのは良くないよね?

知らんけどさ。

でも天冉がこのように店員をやっていて思うのは、みんながそれぞれに合った好きな仕事ができれば幸せだろうなって。

だけど苦しい仕事や嫌な仕事ってのもあって、そういう仕事をやりたがる人は少ない。

そういう仕事にやりがいを見いだせる人を育てる事が、世界を良くしていくには大切なんだろう。

そんな事を考えていると、厳つくていかにも悪そうな冒険者の男が入ってきた。

こりゃ何かトラブルの予感。

そうなると『第一王女に店員とかさせといて身の危険はないのか?』なんて思う人も出て来るかもしれない。

でもそこは安心してほしい。

この建物は、最初に俺が全てリノベーションしている。

つまり俺が建設の魔法を使って建て替えたのと同じだ。

俺の建てた建物には、二つの効果が備わっている。

一つは監視だ。

建物内の何処で何をしていても、俺には把握する事ができてしまう。

そしてもう一つが、人や魔導具の強化だ。

これはアルカディアで暮らしていた頃、碁竜ごりゅうというおっさんの能力をコピーしたものだね。

アルカディアでは建物から建物への移動も可能だったけれど、この世界では瞬間移動系の魔法が制限されているので使えない。

テレポテーションが五百メートルくらいまでなら可能なので、もしかしたらこれも距離が短ければ可能かもしれないけどさ。

何にしてもこの建物内の人を強化する事が出来る訳で、建物内で俺が守るべき対象が殺られる事はまずありえない訳だ。

「この店には巨大なアックスは置いてないのかよ!」

厳つい冒険者がいきなり文句を言い出したぞ。

この店は萬屋であって武器屋じゃないんだよ。

「アックスわぁ~置いてないみたい!だから一昨日来やがってください」

ほう、この姫さん。

皆にいい顔するのかと思いきや、一応相手なりの対応もあるんだな。

「なんだとぉ!?俺は客だぞ?!」

こういう勘違いする奴がいるから鬱陶しいよなぁ。

売買ってのはあくまでブツブツ交換であって、決して買い手が偉い訳でもなんでもない。

お互いがお互いの欲しい物を提供しあって、感謝しあうのが売買だ。

それができない奴は出禁でいいよ。

「私のお客ならスマイルでにっこりしててくれないと駄目よぉ~。そうでない人はお客と認めてません」

「さっきからなめた口ききやがって!」

男はとうとうキレて、天冉を殴り飛ばそうとした。

女性に手を上げるとか終わっているな。

人柄が終わっているだけじゃなくて、こいつの横暴な人生も今日で終わる事になるだろう。

男のパンチは、天冉の顔に当たった所で止まった。

「あれれ?今何かあったのかしらぁ?」

男が拳を押さえて悶絶していた。

「ぐぉー!俺の拳がぁー!」

天冉は俺が強化しているからな。

簡単に状況を言えば、鉄柱を遠慮なく思いっきり殴ったようなものだ。

普通ならそんなものを全力で殴る奴なんていない。

拳が壊れると分かっているからだ。

でもそうは見えない、吹けば飛びそうな対象ならどうだろうか。

女性を遠慮なく殴ろうとしたこいつの自業自得だよ。

「見ていろと言われましたから口出ししませんでしたが、ゴミ捨ては必要ですよね」

想香が店の方へと歩いていった。

そして床に倒れて悶絶する男を、入り口へ向けてドリブルシュートして見せた。

ちょっとアレ見な~♪

あのアニメでドライブシュートするキャプテンもビックリなシュートだ。

ちなみにあのアニメのオープニング曲、昔『ちょっと荒れみ(荒れ気味)な~♪』だと思っていた事は内緒だ。

当然想香も強化しているからそんなシュートができたんだけどね。

この建物内では、俺たち仲間は皆無敵なのだよ。

こんな事もあって、騒ぎはこれだけで終わった。

後はポワポワした雰囲気に包まれる店が閉店まで続いたのだった。


閉店後のリビング会合に、疲れ果てた猫蓮が帰ってきた。

「おお猫蓮、お疲れさん。領主の仕事はどうだった?」

「どうもこうもないんだお。あのメイド長のババアは一体なんなんだお。動きが気持ち悪いんだお」

批判はそこかーい!

つか猫蓮に気持ち悪いとか言われたら、あの婆さんでも耳から鼻水を流しそうだ。

しかしあの婆さんは曲者なんだよな。

俺をあの廃屋に呼んでならず者を倒させたり、おそらくそれなりに強いと思われる。

ならず者たちを倒せなかったにしても、逃げる事はできたはずだ。

まあ何にしても、あの婆さんのおかげで猫蓮でも領主ができそうだな。

「じゃあ‥‥始める‥‥」

さて今日の会合には、天冉も参加するようだ。

議長席が二人掛けのソファーに変わっていて、俺に近い方に天冉、猫蓮に近い方に狛里が座っていた。

なんかこの姫さん、ずっとここに居座りそうな勢いだよ。

鬼海星家に命を狙われているなら、この建物内はかなり安全な訳だけどさ。

でも準備をされて俺たちが留守の時に来られたら、流石に守り切れるかは不安だ。

完全な留守にしなければ問題ないんだけどね。

「今夜仕事が入った‥‥北の町ウイロウに‥‥沢山の魔物が‥‥向かっている‥‥らしい‥‥防衛に‥‥参加する‥‥」

北の町ウイロウか。

流石にナマヤツハシで生活を始めて二週間近くになる訳で、ウイロウの町の情報も多少は聞いている。

ナマヤツハシの町から北北東に二十数キロ行った所にある海沿いの町だったな。

ただ森にも近くて、ナマヤツハシの町から見れば魔物の防波堤となっている町とも言える。

最近は落ち着いていたらしいが、まとまってこられるのはきついよな。

それで狛里に声がかかった訳か。

もうぶっちゃけて言うと、狛里はこの世界じゃ超絶チートだろう。

最初に会ってしまったからこの世界の基準が分からなかったけれど、狛里の足元にも及ばない想香や猫蓮でさえ圧倒的に上位だ。

猫蓮が言っていた事は本当だったんだよ。

「それで‥‥天冉ちゃんの護衛は‥‥どうしよう‥‥」

「オデに任せるんだお」

「それだけはご勘弁を!」

天冉の反応早!

マッタリぽわぽわな喋り方でもなかったぞ。

よっぽど猫蓮が嫌いなんだな。

猫蓮もあまりの出来事に、唖然とするだけで泣く事もできないじゃないか。

「それでは僕が残りましょう。いえ決して楽をする為ではないのですよ」

「いや心配には及ばないよ。分身を置いておくから。俺と妖凛の分身がいれば全く問題はない」

「チッ‥‥」

想香、舌打ちが聞こえてるぞ。

分身は本人よりもかなり弱くはなる。

アルカディアで俺が勝手に決めていたレベルで言えば百くらい落ちるかな。

つまり魔力で言えば百分の一以下になる。

それでも魔法や能力は同じものが使えるし、俺や妖凛の魔力は桁違いなので全く問題にはならないだろう。

それに想香にももっと強くなってもらいたい。

おそらく萬屋と猫蓮は一体であり、このメンバーが神を倒すカギになるのだと思うからさ。

俺だって仲間がいなけりゃ勝てなかったのだ。

「それで‥‥大丈夫?」

「俺は自信があるぞ」

それにいざとなったら、深淵の闇の中にある『闇の家』に逃げるだけ。

あそこなら誰も追いかけて来る事はできない。

「本当は私も一緒に行ければいいんだけどねぇ~」

「それは駄目‥‥」

狛里の反応がやたらと早いな。

それだけ危険って事か。

天冉が一緒に来てもなんとかなるとは思うけれど、リスクはなるべく減らしておいた方がいいよな。

死んだら終わりの世界だ。

いきなり強力な神クラスの魔物が現れないとも限らないのだから。

「じゃあ天冉ちゃんの事は‥‥分身ちゃんに任せて‥‥そろそろ出発‥‥する‥‥」

「はひぃー‥‥。もう出発なんだお。完全なブラック企業なんたお」

「それは違うぞ猫蓮。お前は今自治体の首長をしながら、会社にも勤めている状態なんだ。つまり投手と野手の両方をやる『二刀流』ってやつだ。これは格好良くてチートな奴にしかできない名誉な事なんだぞ?」

「そうなんだお。オデは二刀流なんだお。殿堂入り間違いなしなんだお」

「その通りだ。流石は猫蓮だ。尊敬するぜ」

「オデはやるんだお!」

よしよし、まだまだ大丈夫そうだな。

たぶん二十三時間労働くらいまでなら働かせる事ができそうだ。

「ところで策也殿は、どうしてこの世界にはなさそうな言葉を知ってるんだお?」

やべっ!そこに気づくのかよ。

猫蓮を侮っていたぜ。

「いや自治体もあれば会社もあるぞ?野球少年もいるしな。猫蓮が知らないだけだ。そのうち世界を見て回れば分かるさ」

「なんだそうだったんだお。てっきりオデと同じ世界から転生してきたのかと思ったんだお」

「そんな訳ないだろ」

いやぁ~、猫蓮が馬鹿で良かった。

まあ別にバレた所で問題はなさそうだけど、あっちの世界で知り合いとかだと嫌じゃん?

気が向いたらその内話す事もあるかもだけどね。

「そんな所‥‥あるんだ‥‥」

「王女の私でも知らなかったわぁ~」

「想香は記憶喪失ですから、知らなくて当然ですね。別に負けている訳じゃないです」

「そうだな‥‥」

こいつらも一緒に騙されるのかよ。

その内本当の事を話してやらないと、罪悪感が半端ないぜ。

或いはもう、最後まで嘘を突き通すしかなくなったかもな。

とにかく俺たちは、ウイロウの町へと出発した。


整備された道が続いているので、俺たちは二十分ほどで到着した。

ウイロウの町はナマヤツハシの町と同じ港町だ。

だけど様相は大きく違っていた。

近くに森があるので、魔物が多くやってくる。

だから防壁は高く強固に作られてあった。

「此処は元々‥‥前線防衛基地だった‥‥そこに人が集まって‥‥町になった‥‥」

「これだけしっかり守られていたら、オデたち不要なんだお」

「猫蓮さんと意見が一致すると言うのは釈然としませんが、確かにそうですね。どんな魔物も跳ね返す壁に囲まれているのです」

でも、それでも尚俺たちが呼ばれたという事は、この壁を突破するほどの魔物が近づいてきているのだろう。

或いは空か。

「とにかく‥‥町の北側に行く‥‥多分もう‥‥みんな集まっている‥‥」

俺たちは町には入らず、防壁の周りを通って北側へと移動した。

北側には門があり、その外に沢山の冒険者らしき者が集まっていた。

その中に俺たちが入って行くと、冒険者たちからの視線を集めた。

「萬屋の狛里だぞ」

「アレで強いんだからビックリするよな」

「何にしても今日の仕事は大丈夫そうだな」

此処でも狛里は有名人のようで、その強さは皆が認める所らしい。

まあそりゃそうだ。

俺から見ても狛里の魔力は飛び抜けている。

あくまで感覚でしか分からないけれど、これだけ違えば多くが肌で感じられる所だろう。

そしてきっとこれまで、狛里に助けられた者も多いのだろうな。

狛里は一人の騎士と少し話をしてから戻ってきた。

「私たちは‥‥とにかく魔物を‥‥ぶっ飛ばす‥‥町を守ればオッケー‥‥」

「分かりやすくていいんだお。オデがいれば大丈夫だお」

「倒せばいいのですね。分かりました。問題はないでしょう」

果たしてそうだろうか。

今日はいつにも増してモブキャラが多いぞ。

『誰かを守らなければ』とか『誰かを巻き込まないように』とか、そんな事を考えていたらこいつらは力を発揮できないんだよな。

尤もそんな戦闘も訓練にはなるか。

俺は狛里や想香が死なないようにだけ気を付けていこう。

「斥候部隊から、一キロ先に魔物の軍勢を確認したとの報告です!」

魔物の軍勢?

魔物の群れとかではなくて?

それってつまり、知能の高い魔物って事か?

或いは人型のゴブリンやコボルト、オークの群れなのかもしれない。

千里眼も邪眼も無いのは厳しいなぁ。

音や気配を感じ、どんな敵か分かるか?

歩く音は二足歩行な感じか。

「もしかして‥‥また魔王かな‥‥」

「えっ?魔物の軍勢って、魔王軍って感じなの?」

「だいたい‥‥そう‥‥」

「オデ、まだ全然この世界で強くなってないんだお?普通は強くなってから相手するんだお」

だよな。

転生者が魔王と戦うまでには、色々と困難を乗り越える必要があるはずだ。

まだ『呼ばれて飛び出てじゃじゃじゃじゃーん』な猫蓮が相手するには早すぎる。

ゆっくりと近づいてくる気配も、そろそろしっかりと感じられるようになってきた。

こりゃ強いわ。

猫蓮が勝てる相手じゃない。

想香の兎束流剣術でもおそらく勝てないだろう。

つか、こんな奴が普通にやってくる世界だとしたら、この世界狛里がいなけりゃもう滅んでるんじゃね?

「来た‥‥魔王は私が‥‥相手する‥‥」

飛び抜けて強い奴が一人、間違いなくこいつが魔王。

そして後はゴブリンやコボルト、オークやリザードマンの戦闘員ね。

雑魚は集まった冒険者が相手して、トップを狛里が抑える形か。

俺が天使の軍勢を召喚したり、妖凛が邪神の軍勢を召喚すれば余裕で終わる戦い。

でもそんな事をする訳にもいかないし、地道に守るしかないな。

「またお前か狛里!」

「アスモデウス‥‥今日こそは‥‥決着を‥‥つける‥‥」

あの魔王はアスモデウスかよ。

それでこの二人、以前にも戦っているのか。

でもそれが命取りになるかもしれんぞ、アスモデウス。

今の狛里は、リビングバンテージと萬屋のカチューシャがある。

それに最強魔法の適当ロイガーツアール改が使えるからな。

「マジックミサイル‥‥」

狛里はまずマジックミサイルを放った。

この魔法のメリットは前にも言った通り必ず当たる事だ。

威力は最低レベルだけれど、術者の能力次第では雑魚なら瞬殺できるだろう。

「うごぉー!」

アスモデウスはモロに食らったな。

モロに食らうしかない魔法な訳だけど、この魔法でそこまでダメージを負うのか。

こりゃ力の差は歴然だ。

なのに何故今まで狛里はこのアスモデウスに勝てなかったのだろう。

集中できなかったのもあるだろうけれど、魔法や武器が無かったのが大きいか。

魔法は使えないし、能力も武器が無ければ宝の持ち腐れだからな。

「ま、ま、魔法が使えるようになったのか?!」

「うん‥‥今のは‥‥魔道具で使えるように‥‥なった‥‥」

「しかし、その程度では俺様を倒す事など不可能だ!」

「なら仕方がない‥‥ロイガーツアール」

ちょっ!

その魔法だとオーバーキルだけど分かっているのか?

アスモデウスは声を上げる事もなく、瞬時に絶命した。

「あっ‥‥適当に痛めつけて‥‥逃がしてあげようと‥‥思ってたのに‥‥」

だよな。

狛里ならそうだと思ったよ。

でも今回それが出来なかった。

表情には見せないが、狛里が相当なショックを受けているのが伝わって来た。

今後コレが狛里のストッパーになって、いざって時に足枷にならなければいいが。

魔王アスモデウスが倒された事で、魔物の軍勢に動揺が広がった。

まとめる者がいなくなった魔物の軍勢など、ただの魔物の群れに過ぎない。

そして当然戦う意志の継続は不可能だろう。

思った通り、後は冒険者たちによる単なる掃討戦と追撃戦が繰り広げられるのみだった。

「転生前に見たファンタジー世界では、ゴブリンと仲良くできるものもあったお。でもこの世界のゴブリンとは仲良くできそうにないお」

猫蓮の言う通り、この世界のゴブリンはただの凶暴な獣だ。

人間と同じように武器を使う事以外は魔物と言える。

此処で倒せるだけ倒しておかないと、今度は別の方法で人間を襲うだろうな。

アスモデウスが死んだのはマズいかもしれない。

今後小さな事件が増えそうだ。

しかしこれがRPGなら、既に仲間が魔王討伐を果たして終わりだよな。

俺もアルカディアでは割と早い段階で魔王を倒したけれど、アレは魔人であって悪魔ではなかった。

この世界は展開が早すぎるぜ。

でも勇者猫蓮はまだまだ雑魚だけど。

何にしても仕事は終わった。

俺たちは速やかに帰宅するのだった。

2024年10月14日 言葉を一部修正

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