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*完結* 大海の冒険者~空島の伝説~  作者: terra.
第八話 侵入 
98/133

(7)




「行こう。多分、間違ってない。見たんだろ?」




ジェドの信じて疑わない眼差しが、フィオを捉える。

彼女は魔女の下部と戦った後、シェナとビクターの場所の特定ができたのだから。




「でも森……大丈夫なの?

あたしもう嫌よ引っ掻かれるの!」




ビクターは一点を見つめて考えた。

ここまで来るのに、何度命を落としかけた事か。

これから向かう先でも間違いなく、危険は起きるだろう。

滝壺や森でのような騒ぎは、できるだけ避けたい。




「霧の向こうって事は、水の向こうか?」




ビクターの問いに、フィオは定かでないと肩を竦める。




「泳ぐか……」



「流れが強くなるかもしれないのに!?

できっこないわそんなの!」




それもそうだろうと、ビクターはシェナの肩に手を置き、再び悩んだ。

そこへ、ジェドが真上に佇む竜の顔を仰ぐ。




「おい!」




じっと俯くだけの竜は、彼の声にハッキリと反応して目を向けた。




「女王の為だぞ。いいのか、そんなんで」




すると、竜の顔が勢いよく四人の目の前に下り、片目から煌々と青い光を放った。

急に浴びせてくる光は熱く、眩し過ぎて目が開けられない。




「止めろ! 眩しいだろうが!」




ジェドが怒鳴ると光は消え、竜は地面を踏ん張って体を起こす。

尻尾の方で砂煙が立つと、その先端が四人の前まで回り込み、止まった。




「え……乗るの?」




シェナが不安の目を向けると、低い唸り声がした。

岩肌に埋もれる赤い目が、尻尾の先端を示したように感じる。




「……ちゃんと連れてけよ!」




確信を得たジェドは最後に笑って見せると、真っ先に助走をつけて鬣を掴み、木登りの如く攀じ登った。




「ひっ!?」




シェナが立ち竦んだ途端、竜の髭が素早く彼女に巻き付く。




「おい、食うなよ!?」




ジェドの叫びに合わせて、按じたビクターが髭を掴もうとした。

しかしシェナは、先に頭上に登り着いたジェドの目の前にふわりと下ろされる。

フィオは見ていて胸が弾み、目の前の尻尾から上手く伝いながら登った。

ビクターはその姿を見届けると、竜の顔をもう一度窺う。

青く光る目は、睨み合ったリヴィアと重なった。

警戒の奥に潜む、灯のような心と美。

失うなど、決して許さない。




「……頼んだぜ相棒」




彼は竜の腹に拳を当てて笑いかけると、ジェドと同じように助走をつけて登った。






 「落ちない…?」




シェナがどこを掴もうかと目を泳がせていたところ、追いついたビクターに角を指差され、全身でしがみつく。




 四人が頭上に集まった事を感じた竜は、身を揺らしながら森に方向転換し始めた。

皆は掴みが甘かった影響で大きくバランスを崩し、咄嗟に傍の鬣に腹這いにしがみつく。




「ちょっと待て!」




未だこちらの体勢が整いきれていないと、ジェドが頭頂部から竜の目を見下ろすが――









大海の冒険者~空島の伝説~


後に続く

大海の冒険者~人魚の伝説~

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって完全閉幕します




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