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*完結* 大海の冒険者~空島の伝説~  作者: terra.
第八話 侵入 
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(6)




 竜の傷は完全に癒えた訳ではないが、すっかり正気を取り戻したようだ。

岩肌と化した半顔は、呪いの侵食が反対側の目にまで進んでいた。

翼は、飛躍が完全に不可能である事を物語っている。




「リヴィアはどこなんだ?」




言語を持たないのは分かっていても、何か合図を出さないかとビクターは問いかける。

しかし竜は、俯くだけだ。




「お願い連れて行って!

急がないとやられちゃう!」




フィオの説得にも、寂し気な目を震わせるのみ。

それを見ていたジェドは、何となく、先程の自分を重ねる。

竜もまた、胸で何かと戦っているのではないか。




「皆を助けるのよ!

あたし達人間なんだから魔法は使えないの!

手伝ってもらわなきゃ勝てない!

早く帰りたいのよもう!」




早口のシェナからもつい、本音が飛び出た。

興味津々で、ここに来てみたい気持ちに駆られていた事が嘘のようだ。




 その隣でページと睨み合うジェドは、目を疑う。

全頁が埋められていない事に絶句し、前を捲って糸口を探った。




「湖……高い……影……」




目に留まった言葉を読んだ時、三人は灰色の湖を見渡した。

西の島の跡地のように暗いそこに、影を見つける事は難しい。




「……川……強い……流れる……繋がっ……てる……」




フィオは目を閉じ、ジェドの言葉の片鱗を繋ぎ合わせながら、その意味を想像していく。

魔女も高い影のようだったが、やはり建物がどこかにあるのか。

これまで通過してきた景色に、そんなものはあっただろうかと、あらゆる記憶を辿る。




 すると、何かが目の奥を擽るように震えた。

視界は徐々に、涙に濡れたように潤んでいく。

暗いまま、水中にいるような景色が浮かび上がると後方へ流れ去り、見覚えのある茂みが生える風景が映し出された。

これは、通過してきた呪いの森ではないか。

そして靄がかかり始めると、その先に巨大な塔が現れ、消える。




 「森!」




フィオはそれを呼び止めるように声を張りながら、目を見開いた。

瞬間的な出来事でありながら、その世界を駆けていたのか。

全身が汗ばみ、肩で息をしている。




 彼女の急な反応に、三人は戸惑いながら森を見た。




「森に何かあるの!?――」



「茂みや木を抜けた先に、霧が見えた!

その向こうに長い建物がある!」




シェナが訊ねるところ、フィオは捉えたものを忘れる前にと被せていく。

一体全体どうしてそんな事が分かるのか。

三人は暫し目を瞬く。

フィオも何故そんな事が言えるのかが分からない。

見たものは見たのだと目を擦り、もう一度見えないかと目を閉じてみる。

だがもう、何も浮かんではこなかった。

ほんの数秒の間に夢を見たような、ぼんやりとした空間だった。









大海の冒険者~空島の伝説~


後に続く

大海の冒険者~人魚の伝説~

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって完全閉幕します




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