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*完結* 大海の冒険者~空島の伝説~  作者: terra.
第八話 侵入 
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(4)




 シェナとフィオは、二人の光景を見ながら寄り合う。

ジェドの背中が、僅かに震えていた。

彼らの小さ過ぎるやり取りは、こちらには聞こえない。




 フィオはジェドの背中に、いつか思い切って彼に詰め寄った日の事を重ねた。

不愛想で、全く相手にしてくれなかった。

いつも何かに苛立っているかと思えば、寂しそうな表情を浮かべるなど極端だった。

そんな何も楽しそうでなかった彼に、大丈夫と言ってしつこく接近した。

大人ばかりの島で、一番近くにいた同じ子ども。

気難しい性格で、散々煙たがられ、怒鳴られもした。

しかし気付けば、互いに追いかけ合って、笑っていた。

そして、怖くて近寄り難かったビクターを仲間にする計画を共に立てて実行した、最初の友達。






 「もう吐きそうだっ……」




ジェドは言いながら、地面に崩れ落ちるようにしゃがむ。

顔は未だ伏せたまま、精神的苦痛に溺れていく。




「持つかよっ……フィオもっ……

お前もシェナもっ……俺だって今っ……」




ビクターの、彼を引き寄せていた腕が自然に緩むと、その肩の上で額に手を当てた。

何かを言えと己を鞭打っても、焦りと困惑に邪魔される。

そもそも何かを言う前に、零れそうになるものを堪えるのがやっとだ。




 こっちこそもう、ずっと悔しく胸が痛いままだ。

けれども勝手に、自分が一番しっかりリードしてやりたくて、無事に連れて帰ってやりたくて堪らない衝動に駆られている。

その一心で平常心を保とうと、今も尚努力している。

良い判断をしていたんじゃないか。

そんな風に言ってもらえた事なんてなかった。

出会って間もないグリフィンがくれた言葉を真っ直ぐ受け止め、信じてここにいる。

いつもならば叱られてばかりで、共にいる三人にすら、一時は尖った態度を取っていた。

過去では、誰かに気を配るよりも、島や生活を立て直すために協力するよりも、気ままに好き勝手して過ごす自分に精一杯だった。

両親はおらず、どこの誰かも分からない大勢の者と島で生きていても、どこか孤独を感じてきた。

それでも、仲間はそんな自分を認めてくれていた。

島の家族との間に何となくあった距離は、いつの間にかここにいる皆が縮めてくれていた。






 フィオとシェナが寄り添う隣で、疲れ果てた竜が顔を地面につけると、そのまま体も下ろしてしまう。

髪や服が、弱い息に靡いた。

光を失った群青色の目には、苦しみが滲んでいる。




「大変! シェナ来て! 水運んで!」




フィオは急いで、湖の水を掬って運びぼうと駆けた。









大海の冒険者~空島の伝説~


後に続く

大海の冒険者~人魚の伝説~

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって完全閉幕します




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