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*完結* 大海の冒険者~空島の伝説~  作者: terra.
第七話 悲痛 
86/133

(13)




 ビクターはすぐさまジェドを下ろし、意識を確認する。




「ジェド!? てめぇ何すんだ!」




彼の威嚇もなんのその。魔女はライフルなど見向きもせず、フィオを穴が開くほど見つめている。

顎に食い込む爪の痛みに、フィオは悲鳴を漏らした。




「……大して使えない目だね」




フィオは何の話だと言いた気に、魔女の手に爪を立てて引っ掻き、藻掻く。

しかし、鱗が剥がれ落ちるばかりで、魔女の手が緩む様子はない。

ならばと、その腕に両手で掴みかかり、まるで木にぶら下がるように両足を上げると、魔女の腹を蹴ろうとした。

見兼ねた魔女はふと上昇し、そのままフィオを湖に叩きつける。




「フィオ!」




叫ぶビクターに魔女が向き直ると、呆れた溜め息を吐いた。

そして




「おいそこの獣……」




蛇のような目がジェドに向く。

腹を抑えながら身を起こす彼の姿をせせら笑いながら、続けた。




「見せてみろ……」




ジェドはよく分からない発言に困惑しながら、激痛で視界が狭まる中で魔女を睨む。

すると、森から獣の叫声が響き渡った。






 ビクターとジェドは咄嗟にそこを振り返ると、ジェドが槍を投擲して仕留めた同じ獣が四頭も現れた。

それらは鋭い赤の眼光を放ち、太い牙を威嚇しながら剥き出す。

先端からは、青い血が滴っていた。

狂気に満ちたそれらは、ジェドとビクターに隙を与えんと攻め寄り始めた。

ジェドが槍を支えに立ち上がるところ、ビクターが背中を掴んで補助する。




 魔女は、その光景を実に愉しそうに眺めた。

その時、視界が大きく揺れると体が傾く。

何事かと目を見開くと、沈んでいたフィオがローブの裾に飛び付いていた。




「こっち向きなさい!」




魔女は、これからという瞬間を見逃し、舌打ちする。

そして再びフィオに掴みかかろうとするが、彼女は透かさずナイフでその手を切りつけた。

魔女は短く悲鳴を上げ、右腕に負った切り傷から、あの下部達と同じ黒い血を流す。




「この魚眼がっ!」




怒りに任せ、フィオの髪を掴んで持ち上げた途端、魔女は背後に大きく傾いた。






 「この化け物! 放しなぁ!」




傷が癒えたシェナが意識を取り戻し、魔女のローブを引っ張ると、更にその背中に乗り上げようとする。

そこへ、彼女の声に乗せられるように大風が吹きつけ、魔女を煽った。






 ジェドとビクターが攻撃体勢に入る直後、突風が吹き荒れる。

獣達が森の入口まで飛ばされて横転し、激しい砂煙が上がった。









大海の冒険者~空島の伝説~


後に続く

大海の冒険者~人魚の伝説~

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって完全閉幕します




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