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*完結* 大海の冒険者~空島の伝説~  作者: terra.
第六話 空島
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(14)




「別にいいだろ、そんなん……」




ジェドは不愛想に、青い焚火の傍に寄る。

シェナは彼に膨れ面を向けるも、再び、戸惑う相手に笑いかけた。

だが、未だ顔は強張っており、支えられていたフィオの腕から擦り抜けると、震えた息を吐く。

そしてようやく




「……リ……ヴィア……」



「リヴィア! そうか!

あの時グリフィンそう言ったんだ!」




シェナは、漁船で聞き取れなかった彼の発言と、部分的に記憶していた言葉の一致に喜ぶ。






 フィオはリヴィアを火の傍へ促すが、彼女は動こうとしない。

片や、気分が落ち着いたジェドは、本と睨み合っている。

ビクターは、立ち込める青い炎に釘付けだ。

くべていた薪を一本引き抜いてみると、魅力的な真っ青の松明に見惚れてしまう。

シェナが火の傍に座ると、リヴィアを見上げて隣の地面を叩く。




「火、ありがとう」




フィオが礼を伝えた途端、リヴィアは激しく咳き込んだ。

酷く苦しそうな様子を気にかけ、フィオは彼女の背中に触れようとする。

しかし、素早く拒まれてしまった。

リヴィアは皆に背を向けると、滝壺の方へふらふらと向かっていく。

一体どうしたのかと、四人は不安気に彼女を見守った。






 リヴィアが滝壺の縁までやって来ると、膝から崩れ落ちる。

フィオが慌てて駆け寄るが、リヴィアはそのまま水の中へ這って進んだ。

その時見た光景に、四人は小さく声を漏らす。




 リヴィアが滝壺に入った瞬間、その周りに青白い光が灯り始めた。

水面を漂っていた淡い白い光が、彼女の方へ集まっていく。

フィオの周りに三人も駆け付け、その光景を穴が開くほど見つめた。




 四人はこの水が持つ効果を思い出していたが、どういう訳か、そこに浸かるリヴィアは苦痛の声を零しながら身震いしている。

尖った爪が両腕に食い込みそうだ。

彼女の周りに集まる光はやがて、灰色の髪に多く付着していた青い汚れを綺麗に消していく。

歯が勝手に音を立てるのを、懸命に食いしばっていた。




 ビクターは首を傾げる。

回復するはずの水が、彼女には殆ど効いていないように見えてならない。




「なぁ、痛そうだぜ?」




ジェドが眉を顰めて心配した時、何か別の気配を感じた。




「どうしたの?」




シェナは、急に忙しなく辺りを見渡すジェドを見て、警戒する。

すると、唸り声が聞こえた。

四人は萎縮し、脳裏にある映像が過る。

これはもしや――









大海の冒険者~空島の伝説~


後に続く

大海の冒険者~人魚の伝説~

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって完全閉幕します




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