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*完結* 大海の冒険者~空島の伝説~  作者: terra.
第六話 空島
59/133

(10)




 これまでの黒い森とは比較にならないほど、癒しが満ち満ちている。

空に浮かんだ巨大な目を持つような魔女が、果たして本当にいるのだろうか。

こんなにも美しさを維持しているというのに。

皆は、ただただ不思議な気持ちに駆られていった。

滝がどのように周囲と繋がり、流れているのか。

見慣れない青色の世界は見ていて寒々しいが、実際は違う。

皆はそこら中に目を這わせながら、ほんの少し、張り詰めていた精神の糸が解けた。




「火が欲しいな」




ジェドが呟いた。そうなると木が必要になるが




「戻るの!?」




シェナが彼に目を剥く。

フィオは、飛び出してきた黒い森の入り口を振り返った。




「中まで行かなくても、そこの木で間に合うかも」




冷たい微風が草木を靡かせる。

その合間を縫うように、異臭が変わらず漂った。




「まぁ、けどよ……」




ビクターが来た道の近くまで戻ると、傍にある木を見つめた。

触れてみると、頑丈に枝を伸ばして生き生きと根を張っている。

青い葉が茂り、枝や幹は白く、水面の反射光が揺れていた。

数本折ってみると、それらはふわりと消えてしまう。

今や、馴染み深いただの薪。

それ故に、分かる事がある。




「条件が悪いかもな」



「何で?」




問いかけるシェナの横から、ジェドがビクターの手元を覗き込む。




「湿っけちまってる」




ビクターが枝をしならせた。

滝壺のしぶきで靄がかかる空間なのだから、当然だった。




「まぁ、ここは俺達の世界とは違う。

やるだけやってみっか」




ビクターが持っていた木をあっさりジェドに渡すと




「どっちが先に火ぃ起こせるか」




悪戯に笑ってみせた。




「私もやる!」




フィオがパッと顔を明るくすると、先程までの恐怖心をよそに、木を集め始める。

ジェドは手渡された木をじっと眺めては、曲げてみる。

どこまでも曲がってしまうそれは、しなり過ぎるほどだ。




「着くかよ……」

見え透いた結果に溜息が出てしまうが、いいものを探しに向かう訳にはいかない。それにビクターの言う通り、ここは別世界なのだから。






挿絵(By みてみん)




 シェナは黙々と薪を集め、慣れた手付きで組み合わせていく。

他の三人は枯れ葉も搔き集め、枝と枝をひたすら摩擦し、火起こしを試していた。

火が点く兆しがない中、薪だけは立派に積み上がってしまう。




「ねぇまだ?」




シェナが三人に声をかけると、ジェドが手を止めて勢いよく立ち上がる。

そのまま、未だ殺風景な薪の山に、持っていた木を激しく突っ込んだ。




「無理だろ!」



「そうねぇ……」




フィオは手を止め、口を尖らせる。

ビクターも木を力無く放り投げ、腕組みした。

その時、体が気になった。




「なぁ、疲れたか?」









大海の冒険者~空島の伝説~


後に続く

大海の冒険者~人魚の伝説~

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって完全閉幕します




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