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*完結* 大海の冒険者~空島の伝説~  作者: terra.
第五話 消失
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(10)




 信じ難い事に、四人が上昇した途端、荒天が一瞬にして治まった。

まるで空に見放されるような感覚がする中、漁船がただただ崩落していく。






 「何て事っ……!?」




アリーが長老と共に家を飛び出し、沖で起こる事態に声を裏返す。

震撼をもたらすそれに、長老はどうにか立位を保ったまま一切の目も逸らさない。

呼吸は今にも止まりそうだ。




 沖に落ちた雷は、まるで天に導く路に思えた。

その際、比較的大きな四つの金色の光をが観測できた。

あの子達は昇ってしまったと、確信せざるを得ない光景だった。




 長老は杖を落とし、膝から崩れ落ちる。

アリーは彼の背に震えながら寄り添い、困惑を抑えきれずに涙した。

島に残る他の者達もまた、沖の状況に震える。

四人を慕う小さな子ども達も、急な出来事にしばらく泣き止まなかった。






 あの場所にだけ起きた異常事態は忌々しい事に、光が消えると共に静寂に包まれる。




 一刻も早く救助に向かうべく、留守番をしていた者達は慌ててジェットスキーを出し、漁船を目指した。

穏やかな潮風が、焼け焦げた漁船の臭いを運んでくる。






 漁師達は流木に掴まり、救援に手を振り続けた。

負傷したカイルの酷い有様を目の当たりにした仲間達は、真っ先に彼を引き上げる。

果たして応急処置で助かるのか。

こんなになってしまった世界に、十分な手当てができる環境などない。

ただ、薬草として使える植物ならあった。

奇跡的に、その道に関する知恵を持つ者もいる。

何とか手を尽くして見せようと、仲間はただひたすら島に急いだ。




 子ども達とグリフィンの行方を問われても、漁師達は守り切れなかった無念に駆られ、何も返せない。

漁船は次第に鎮火すると、沈んだ。









大海の冒険者~空島の伝説~


後に続く

大海の冒険者~人魚の伝説~

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって完全閉幕します




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