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*完結* 大海の冒険者~空島の伝説~  作者: terra.
第五話 消失
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(2)




挿絵(By みてみん)




 雲の合間から陽光が射すが、焼けるようなものではない。

穏やかな波は漁船を安定させ、柔らかな風は撫でられているように心地よい。






 沈船の場所に間もなく到着する頃、見張り台にいたレックスがロープ下降で着地した。

これを見る度に、楽しそうな上に恰好いいと感じる四人は、試したくてうずうずしている。




 レックスが船室に消える傍ら、カイルとグレンが潜水準備をしていた。

四人はその様子を羨ましく眺めている。




 船室の戸が開くと、目に飛び込んだものに驚いた。

レックスが手にするのは、二つの大きなシリンダーだ。

見るからに重そうなそれを、彼は軽々と運搬して通過する。




「そんなでけぇのどこにあった!?」




ビクターが声を上げるが、レックスはビクターの方にあったそれを避けた。




「引っ込んでろ」




在り処を教えてもらえる筈もない。

興味深いのはいいが、彼らの手に渡ればずっと海中で過ごしてしまうのではないか。

レックスは想像するだけで恐ろしかった。






 漁船に残る者で、普段から備えている漁の道具や、引き上げてそのままの漂流物を片付け、場所を開けていく。

これから引き上げる沈船のように、大きなものを取る際は必ず行う作業だ。

沈船を発見したら、その場で可能な限り船を解体するつもりでいる。

嘗てのように、丸ごと引き上げられる技術があればと思うが、それはまだ夢の真っただ中だ。

まずはすぐに使える物から数回に渡って回収し、リサイクルをする。




 マージェスは潜水する二人が梯子を伝って下りるのを確認しながら、彼らが浮上した際の補助の段取りをする。

運よく大災害を乗り越えて残った潜水道具とは言え、完璧な品ではない。

緊急時に備え、手製の縄や浮袋を固めておく。




 グリフィンは、東の島の者達の手慣れた仕事振りや、扱う品々を見て圧倒されていた。

一体、嘗てはどういう島だったのだろうと目を疑う。

住んでいる彼らもよく知らないそうだ。

瓦礫に埋もれた元いた世界から、奇跡的に辿り着いた島。

与えらえたこの環境を、心から大切にしながら生きている。









大海の冒険者~空島の伝説~


後に続く

大海の冒険者~人魚の伝説~

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって完全閉幕します




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