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*完結* 大海の冒険者~空島の伝説~  作者: terra.
第五話 消失
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(1)




挿絵(By みてみん)




 稲光が深夜の空を照らした途端、地面にまで轟いた。

身を飛び上がらせるシェナの叫びが、誰よりも大きく上がる。

冷風が足元から吹き上げ、身震いが襲った。

鼓膜が破れるような雷鳴に皆、腰が抜けたようになる。

鼓動は忙しない。

マージェスは震えて座り込んだシェナを軽々と立たせ、自分に強く抱き寄せた。

耳を塞いで縮み上がる三人はふと、空島を思い浮かべながら沖に目を向ける。






 長老やアリー、そしてグリフィンも、外の異変に身を強張らせた。

遠くで落雷が起き、続けざまに稲妻を観測したグリフィンは、あの瞬間を思い出す。

こんな事が果たしてどのくらい続くだろう。

一刻も早く解決したいが、命を落とす事だけは避けねばならない。

その為にも、もう少し考える必要がある。

もたもたした状況もまた歯痒く、両拳を握った。






 朝になると、天気が嘘みたく晴れ渡り、久し振りの漁日和を迎えた。

獲物の網を引き上げる前に、沈船の捜索に出ようという話になっている。

グリフィンが同行する傍ら、連れて行けとしつこく縋る四人。

マージェスは否定を繰り返す。




「話の分からん奴だな! ここにいろ!」



「見つけたのは俺達だ!」




ジェドが沈船の事で負けじと吠え飛ばした。

西の情報などグリフィンがいれば十分だと言っても、四人は納得できないでいる。




「大人しく留守番しとけ。

来てもする事なんか無いぞ」




レックスがいつものように頭にバンダナを巻きながら言うと、網を伝って見張り台へ颯爽と登る。




「俺が見張ってるよ」




四人がどうも気の毒に感じてしまったグリフィンは、マージェスに提案した。




「残して行っても多分また……」




マージェスに小声で言いながら、想像してみろと促す。

追ってくる事や、何かを取って使う事も有り得る。

近くでのお目付け役が必要だろう。




「海は入らない。俺と船にいる。

作業に支障を出さないと約束する」




グリフィンは四人を振り返ると笑った。

マージェスは黙るも、まだ表情は険しい。




「それが条件だ。

おじさん達は大事な仕事をする。

君達は俺といる事。いいな?」




四人はそれでもまだ物足りないと言わんばかりの表情を見せる。

しかしシェナが、乗せてもらえるならいいだろうと真っ先に気持ちを切り替え、漁船の中へ駆けた。

それにフィオも続く。

ようやく落ち着いた彼らに安堵するグリフィンも向かうと、背後に残る二人がついて行こうとした。

しかしマージェスが、彼らの腕を鷲掴みするなり大きく引き寄せる。




「絶対何も触るなよ」



「何で俺達にだけ言うんだよ!」



「いつもお前達だからだ!」



ジェドの反発にマージェスが大きく被せた。

これは魔女よりおっかないかもしれないと、ビクターは唇を強く結んだ。









大海の冒険者~空島の伝説~


後に続く

大海の冒険者~人魚の伝説~

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって完全閉幕します




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