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*完結* 大海の冒険者~空島の伝説~  作者: terra.
第四話 決心 
37/133

(6)




 ライフルと鉄の弓矢を二丁ずつに、それぞれが持つ槍とナイフ。

銃弾と矢の予備を考えると、装備はそれが限界だろうと見た。




「それでだ」




持ち出すものを纏め上げると、四人は床に座って会議を始める。




「着いたら精霊を探す。ダメだったら自分達で調べる。

問題は出発だ。雷なんていつ来るか知らねぇって事」




「来そうな予感がした日に、あの岩のところまで行く?」




シェナが言うように、天気が悪い日を片っ端から当たって、機会を待ち続けるしかないだろう。




「そう言えば、昇る時は苦しかったってグリフィン言わなかった?」




フィオは、酸素シリンダーが要るのではないかと提案した。

また、空島には湖がある事も聞いている。




「後は戦いだな」




ビクターは、魔女と釣り合う力が自分達には無いと考える。




「カイルとかレックスに頼もうぜ」



「何て」




ジェドの軽い発言に、ビクターが面白がって問う。




「強くなりたいって」



「お前、カイル達がそれを聞き入れると思ってるのか?」



「俺達だって役に立ちたい!」




フィオとシェナが熱くなり、負けじと声を上げる。




「そうよ島の為に!」



 「そらご立派なこった」



「!?」




背筋が凍り付いた。油断した。

背後を振り返ったそこに、カイルとレックスが立っていた。






 四人は、青白い照明に煌々と照らされるカイルとレックスを見て息を呑む。

果たして帰宅したのかどうかと疑った二人。

誰の家にも気配がなく、集まっていると察した時点で、考えそうな事に目星をつけたところ案の定だ。




「懲りねぇな。空島にお出かけか」




カイルが戸口に凭れ、腕組みする。




 上手くいきそうだったところ、邪魔が入った事にビクターは苛立った。

しかしカイルとレックスは、彼の表情から感じている。




「別に責めない」




何か言い出す前に、カイルから切り出した。




「島を危険には晒せないさ。

だがな、お前達を向こうへやるのもありえない。

死ぬぞ」




途端、ジェドが立ち上がる。

腹が立った勢いで、例の鉄の弓矢をカイルに向けた。

腹の痣が少し疼く。




「ジェド!?」



「ダメだよ!」




シェナとフィオが焦るところ、ビクターが反射的にジェドの腕を掴んだ。

だが彼は、それを激しく振り解くとまだ構え、抵抗する。




「決めつけんじゃねぇ!何だよ死ぬって!

死なねぇよ!」




レックスが天井を仰ぎ見ると小さく溜め息をつく。

一方、カイルはびくともしない。

向けられる矢の先端が、小刻みに揺れている。

たっぷりの恐怖に、意地が乗っかった動き。

当然、触れた事のないものだ。

構えがなっておらず、ただ持つだけの状態は、重いだろう。

そんな簡単な分析を静かに目だけで行うが、そもそも、撃つか撃たないかの前に分かっている事がある。









大海の冒険者~空島の伝説~


後に続く

大海の冒険者~人魚の伝説~

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって完全閉幕します




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