(6)
ライフルと鉄の弓矢を二丁ずつに、それぞれが持つ槍とナイフ。
銃弾と矢の予備を考えると、装備はそれが限界だろうと見た。
「それでだ」
持ち出すものを纏め上げると、四人は床に座って会議を始める。
「着いたら精霊を探す。ダメだったら自分達で調べる。
問題は出発だ。雷なんていつ来るか知らねぇって事」
「来そうな予感がした日に、あの岩のところまで行く?」
シェナが言うように、天気が悪い日を片っ端から当たって、機会を待ち続けるしかないだろう。
「そう言えば、昇る時は苦しかったってグリフィン言わなかった?」
フィオは、酸素シリンダーが要るのではないかと提案した。
また、空島には湖がある事も聞いている。
「後は戦いだな」
ビクターは、魔女と釣り合う力が自分達には無いと考える。
「カイルとかレックスに頼もうぜ」
「何て」
ジェドの軽い発言に、ビクターが面白がって問う。
「強くなりたいって」
「お前、カイル達がそれを聞き入れると思ってるのか?」
「俺達だって役に立ちたい!」
フィオとシェナが熱くなり、負けじと声を上げる。
「そうよ島の為に!」
「そらご立派なこった」
「!?」
背筋が凍り付いた。油断した。
背後を振り返ったそこに、カイルとレックスが立っていた。
四人は、青白い照明に煌々と照らされるカイルとレックスを見て息を呑む。
果たして帰宅したのかどうかと疑った二人。
誰の家にも気配がなく、集まっていると察した時点で、考えそうな事に目星をつけたところ案の定だ。
「懲りねぇな。空島にお出かけか」
カイルが戸口に凭れ、腕組みする。
上手くいきそうだったところ、邪魔が入った事にビクターは苛立った。
しかしカイルとレックスは、彼の表情から感じている。
「別に責めない」
何か言い出す前に、カイルから切り出した。
「島を危険には晒せないさ。
だがな、お前達を向こうへやるのもありえない。
死ぬぞ」
途端、ジェドが立ち上がる。
腹が立った勢いで、例の鉄の弓矢をカイルに向けた。
腹の痣が少し疼く。
「ジェド!?」
「ダメだよ!」
シェナとフィオが焦るところ、ビクターが反射的にジェドの腕を掴んだ。
だが彼は、それを激しく振り解くとまだ構え、抵抗する。
「決めつけんじゃねぇ!何だよ死ぬって!
死なねぇよ!」
レックスが天井を仰ぎ見ると小さく溜め息をつく。
一方、カイルはびくともしない。
向けられる矢の先端が、小刻みに揺れている。
たっぷりの恐怖に、意地が乗っかった動き。
当然、触れた事のないものだ。
構えがなっておらず、ただ持つだけの状態は、重いだろう。
そんな簡単な分析を静かに目だけで行うが、そもそも、撃つか撃たないかの前に分かっている事がある。
大海の冒険者~空島の伝説~
後に続く
大海の冒険者~人魚の伝説~
大海の冒険者~不死の伝説~ をもって完全閉幕します




