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*完結* 大海の冒険者~空島の伝説~  作者: terra.
第三話 媒鳥
30/133

(6)




 「同じくらい驚いたよ」




グリフィンは、四人にそっと言う。

そこへ、彼は床に落ちていた本に目が留まった。

すっかり四人の影に隠れてしまっていたそれは、鮮やかな炎に照らされている。

彼は記憶を辿る内に、みるみる目を見開きながら肌を粟立てる。




「その本はどうした……?」



「あら、あなたを引っ張った時に地面に落ちたんだと思うわ」




フィオは、脇に転がってしまっていたそれを手にする。

空島について記録をしたもので、もしまた元の世界に戻れた時や、最悪、自分が死んでからも遺るようにしておきたかったとグリフィンは言う。

しかし妙だと、顎に触れた。




「あの時、持ってなかったんだが……」




海底に落とされる寸前まで、彼は何も手にしていなかった。

どういう経緯でそれが運ばれたのか、見当がつかない。




 床に腹這いになったシェナが暫し考えると




「魔女が捨てたんだわ。

だって、そんな奴にこれは要らないでしょ」




グリフィンは、ただ黙ってシェナを見つめるだけだった。






 「その実験ってのは」




マージェスが切り出した。




「よく分からんが、どういうもんなんだ?

人間の手で止められるのか?」



「どうも複雑に機械を扱っているようなんだが……」




グリフィンは小さく首を横に振り、自らを示しながらこの結果だと表す。




「魔法があるのに機械だ?

なら人間に惚れてるだろって言いてぇところだが、センスがおっかねぇよ」




レックスは苦笑いする。

魔法と言うならば、何でも思い通りにできるはずではないのか。




「そやつが暴れればまた……この世が惨事に見舞われるというのか……」




長老の声に、他の大人達がまた唸った。






 「ふーん」




天井を見ながら溢すビクターに、隣のジェドが驚いて彼を見る。

彼の一点を見つめて黙っている様子から恐らく、考えは同じだろう。




「で、どうやったら行けんの?そこ」




ジェドの質問に大きく項垂れる者など、言うまでもない。




「行かなくていい」




グレンが弾く。




「呆れた奴だ全く。

どうしようもねぇんだよこいつらは」




マージェスは、言い終わりに笑いながらグリフィンに言う。




「ねぇこれ何て書いてあるの?」




寝そべっていたシェナが本を捲っていた。

殴り書きされた字を、長老とグリフィンに突き出している。

その横からジェドが奪い取り、シェナは怪訝な顔を向けた。

彼はそんな事も気にせず、文字をじっと辿り始める。




「読めんのかよ」




ビクターは笑うが、ジェドの真剣な目の動きに騒ぎが収まる。




「沖……三マイル……落雷……島……手を伸ばす……?」




グリフィンは彼の読解に感嘆した。




「船が崩壊した場所が、島を出て大体その辺りだったという記録だ。

だが距離は恐らく関係無い。雷が、何らかの条件が揃って着水する事で、きっとその島は海面に映る」




挿絵(By みてみん)









大海の冒険者~空島の伝説~


後に続く

大海の冒険者~人魚の伝説~

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって完全閉幕します




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