(2)
「あたしもできるよ!」
横からシェナが得意気に言う。
彼女はやっと、安定した操縦ができるようになったばかりだ。
一度成功体験をすれば、直ぐに強気を抱く傾向にある。
この中で最も小柄だが、その姿に負けないくらい大きな勇気のようなものを、見るからに感じる。
しかしどこか見ていて不思議なのは、もともと浅黒いようで、手首足首には日焼けのような跡がある。
惨事を経て出会う者達は様々だった。
自分の島にも、他所の地域や国の出身の者がいたが、この子もそうなのだろうかと思考を巡らせる。
「聞きたい事が山程あるのだが……」
長老の声に、グリフィンは一時4人の事から離れる。
長老が言うように、この身に起きたとんでもない出来事を直ちに話さねばならない。
けれども、自分もまた何をどこから話そうか、悩んでしまうところだ。
4人は目を輝かせながら、ドサッと床に座り込む。
アリーはそれに、また小さく溜め息を吐いた。
彼女の呆れる様子を目にした長老は、グリフィンに待つよう掌を向け、隣に列を成して座り込む4人を見下ろす。
「さて、呼ばれた理由は分かっておるか」
「助けた」
「色々見つけた!」
「これは大きな進歩だと思うわ!」
「要は大活躍したって事」
「それで騒ぎがあった事が、チャラになるのか」
自分達は成し遂げた事があると口々に主張をした矢先、部屋の中は、火の粉が弾ける音だけになった。
あぐらに片肘をつき、大きく溜め息をついたジェド。
顔を歪ませるビクター。
フィオとシェナは視線を互いに向けながら、時折、長老を見上げて手を弄る。
「漁を途中で引き返した程じゃった。
気になる事は分かるが、危険過ぎた」
「ジェドも怪我をしたわ。
自分達だけで片付けないで、一度引き返してもよかった」
彼等が話しをしている最中、グリフィンが寝床からゆっくりと足を出す。
沈んでいた時の体が嘘のようで、すっかり元の体に戻っていた。
痛いところはなく、新たな傷も無い。
調子が驚く程回復している事を実感する傍ら、両掌を見下ろしていて思う。
ありがたい事だが、妙だと。
「ごめんなさい」
「ごめん」
頭で整理がついた後に言葉がころっと出た。
鮫を連れてきた事になったのは、誰であれ驚き、危険だった。
それも、ただの鮫ではなく、西の領域に住む奇妙なものだ。
退治にも手間と体力が実際、かかってしまった。
数少ない弾丸も消費してしまっている。
更に長老は、ビクターが島の貴重品を持ち出している事にも触れた。
非常時の道具を持ち出し、使ってしまう事で、後に量産する手掛かりや手段を失ってしまう事を指摘した。
悪知恵が働くところは幼少期から悩ましいが、そう強い口調でもなかった。
フィオが言ったように、盛大な進歩も遂げている。
大海の冒険者~空島の伝説~
後に続く
大海の冒険者~人魚の伝説~
大海の冒険者~不死の伝説~ をもって完全閉幕します




