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*完結* 大海の冒険者~空島の伝説~  作者: terra.
第九話 再生 
123/133

(11)




 リヴィアは再び目を淡く灯すと、そっと顔を伏せ、背を向けていく。

竜の使者達が即座に飛び立つと、島を広く旋回し始めた。




 「ねぇリヴィア」




フィオの声に足を止め、彼女は肩越しに静かに振り返る。




「どうなったの? あれから……」




少し間が空くと、シェナが足早にやって来た。




「あたしの声が上手くいった?」



「は? 何だそれ」




ジェドが目を丸くする。




「だってあの魔女が欲しがる力よ。

元気にしてあげられるんじゃないかと思って、それで飛び降りた」



「嘘だろ……」




ビクターは口をあんぐりさせる。

するとシェナは、真剣な眼差しを向けた。




「だって……それで助かるなら声なんか要らない。

戻ってこないとしてもあたしは、生きていける自信があった……皆がいるから」




その言葉にリヴィアは目を閉じ、口元を綻ばせる。




「互いが持つ力が合わさる事で生まれる新たな力は……欲望のままに操れる……」




四人が振り返ると、リヴィアは空を仰ぎ見た後、再び勇ましい彼らに向いた。




「声の力はあなたの願いを強く含み、我が守護神を呪いから解放し、奮い立たせた……」



「何だまたお前かよ」




ジェドがどこかいじけた態度を見せると、小さな可愛らしい笑い声が聞こえた。




「大丈夫……」




その言葉に最も嬉しそうに反応したフィオは、自信を込めて頷く。




「この言葉はこの先も……あなた達の信念となり、貫くだろう……」




リヴィアは静かに、今にも空気に溶け込みそうな声で続ける。




「その目や、力は必ず、皆を導く……決して恐れるな……」




ビクターはふと、目元に手を当てる。




「力は、正しく使う為にある……あなた達にはそれができる……信じて、前に進みなさい……」






 リヴィアは、瞬きも忘れて集中する四人から視線を逸らすと、静かに微笑みんでは踵を返した。

そして、強い眼光を放った途端、従者達が素早く湖に回り込む。

旋回していた竜の使者達が、上空で甲高い咆哮を上げた。

すると、守護神の咆哮が森の向こうから轟き、頭上に翼を激しく広げて現れる。

空には次第に灰色の雲が湧き、陽光はみるみる遮られ始めた。

それは、馴染みのある雷雲を思わせる。









大海の冒険者~空島の伝説~


後に続く

大海の冒険者~人魚の伝説~

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって完全閉幕します




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