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*完結* 大海の冒険者~空島の伝説~  作者: terra.
第九話 再生 
115/133

(3)




 「舐められたもんだな……憎たらしい……失せろ!

汚らわしい人間共が!」




魔女が杖を地面に叩きつけると、蔓が足元から伸び出た。

四人は透かさず分散する。

伸びたそれらは太い荊と化すと、行動範囲をみるみる狭めていく。




 いよいよビクターが横から魔女に槍を振り下ろすも杖で防がれ、数秒睨み合った後、腹を蹴り飛ばされた。

魔女はその流れで旋回するも、隙を見たジェドに腹を殴られ、よろけて地面に手を付く。

そこへ透かさず、フィオが剣を魔女の背中に振り翳した。

魔女は笑みを浮かべ、床に付いた手に力を込めるとフィオの横面に回し蹴りを食らわせる。

その横から再び、ジェドが魔女の顔を蹴ろうとした。

しかし足を掴まれ、軽々と床に投げつけられてしまう。




 魔女は彼のひ弱な光景を面白がっていると、シェナがナイフで魔女の腕を切り付けた。

黒い血が飛散するそこに、悲鳴が混じる。

魔女は透かさずシェナの頬に拳を捻じ込み、シェナは床を跳ねて転がった。




 その時、銃弾が魔女の耳を掠める。

それでも魔女は笑みを止めず、後方のビクターに杖を投擲した。

だがそれを、ジェドが横から飛び付いて掴み止める。

魔女は笑みを消すと、奪われた杖に向かって掌を向け、拳を握る。

その動きを受けた杖がジェドの腕から颯爽と擦り抜け、彼は大きくバランスを崩した。




 杖が戻るや否や、魔女はジェドの横面に先端を一発、腹に一発と続けて殴打し、彼は床を激しく転がる。

そのまま塔の縁を掴み、落下するところをぶら下がって食い止めた。

体は痛く、また、苦し過ぎて嗚咽が漏れ、しばらく這い上がれずに咽続けた。




 フィオがその光景を見兼ね、魔女の背後に再び刃を突き立てて襲撃する。

しかし、その身は軽々躱され背中を叩かれた。

フィオは激痛に声を上げて崩れ、持っていた剣は縁にぶら下がるジェドの手を切りつけそうになりながら、塔の向こうに落ちてしまった。




「ジェド!」




フィオが片手でぶら下がる彼の手を掴むが、持ち直した彼は両手で縁を掴み、構うなと首を振って攀じ登り始める。






 フィオは彼の手を放して後ろを振り返った途端――髪を銃弾が擦り抜けた。

彼女は喉を掻っ切られたように息を止め、硬直する。




 ビクターが身震いして青褪めるのを、魔女は盛大に笑い飛ばした。




「お上手だねぇ!」




この精神状態では無意味だと判断したビクターはライフルを投げ捨て、槍を構える。




「もう限界じゃないのかい!」




魔女は肩で息をする四人を嘲笑い、背筋を立てた時、その背中にシェナが飛びついてナイフを首筋に突き刺した。

魔女が悲鳴に荒れ狂い、火傷した腕で大きくシェナを薙ぎ払う。

彼女は地面に強打し、暫くそこに蹲った。




 ビクターは横たわるシェナの壁になると、槍で魔女の右腕、左肩から腹を斜めに引っ掻く。

魔女が焦燥に駆られ歯を鳴らすと、フィオが脇腹に蹴りを入れた。

這い上がったジェドが、傍で横転するシェナの横に転がるナイフを拾うと、よろめく魔女の胸元を狙おうとする。

しかし杖が独りでに動き、ジェドの腹を激しく殴打すると、そのまま頭頂部から地面に大きく叩きつけた。









大海の冒険者~空島の伝説~


後に続く

大海の冒険者~人魚の伝説~

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって完全閉幕します




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― 新着の感想 ―
[一言] 拝読させていただきました。 魔女は消え去った……んですよね! 息つく暇もないシーンの連続でしたね! 4人もやっと一息つけそうですね。 次回も楽しみです。
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