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*完結* 大海の冒険者~空島の伝説~  作者: terra.
第八話 侵入 
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(15)




 迫る鎌の敵は、狂気の声を上げてジェドとフィオの後を追う。

その傍ら、剣と槍を構える二体がシェナとビクターを襲撃した。

天井の弓矢の敵二体が赤い目を躍らせながら、金切り声を放っている。




 四人は、湧き立つ声に耳を痛めながらも必死に攻撃を躱し続けた。

その有様を、青い返り血に塗れた魔女が狂気に笑う。

その笑みは興奮していた。

流血を見せる四人を、堪らなく欲している。




 ジェドは距離を詰められると両腕を鎌で引っ掻かれた衝動で、フィオの背後に被さりながら転倒した。

フィオが悲鳴を上げて振り向いた途端、振り翳された鎌の先端が鋭利に光る。

それを反対側から目撃していたシェナが、焦ってジェドの名を叫んだ。

その途端、場違いに巻き起こる風が、敵の攻撃を制御する。

刃は、ジェドの腰に固定していたグリフィンの本に浅く刺さって止まった。




 魔女はその忌々しい光景に焦燥し、シェナを目掛けて杖を投擲した。

高速に宙を走る杖は先端を手のように開くと、シェナの首を掴んで壁に打ち付ける。




 ビクターが彼女を叫びながら振り返るも、迫っていた二体の敵が、彼の脇腹を今にも切り付けようとする。

痛快な声を上げて攻め寄る槍の敵に苛立ち、槍に力を込めると相手の顔を突き刺し、蹴り飛ばした。

流れで後方の剣の敵が共に弾かれ、一時、互いの距離が開く。

しかし敵の立て直しは素早い。弾かれた仲間の下から颯爽と擦り抜けた剣の敵が、ビクターに刃を振り下ろす。

彼は怯みながらも間一髪、槍で受け身を取った。

だが咄嗟に取った動きで体勢が悪く、膝から崩れ落ちる。

手は全力を出し切れず酷く震えていた。




 シェナの首を掴む杖の先端から、沸々と焼けるような熱を帯び始めた。

熱い何かは彼女の喉を徐々に這い、高々と上がる悲鳴を吸収するように掻き消す。




 フィオがシェナを叫ぶと、ジェドを襲った鎌の敵を睨んだ。

突風に倒れたところ、起き上がろうとよろめいている。

フィオは、敵が体勢を整える前に急接近し、透かさず顔や胴体を槍で殴打して倒してやる。

その後、彼女はジェドの腰で刃を受けたグリフィンの本から鎌を抜いた。

その際にロープが解け、破損した表面から中のページ全てが散乱してしまう。




 フィオに殴られた鎌の敵が赤い眼光を向け、狂気の声を上げながら再び襲いかかった。

フィオは怒りに任せ、手にした鎌に力を込めると、怯える声を上げながら真横へ大きく振り払う。

刃を激しく胴体に受けた敵は、固い岩の壁に叩きつけられ、流血しながら白煙を上げた。









大海の冒険者~空島の伝説~


後に続く

大海の冒険者~人魚の伝説~

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって完全閉幕します




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