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*完結* 大海の冒険者~空島の伝説~  作者: terra.
第八話 侵入 
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(12)




 入り口に近付いたところで、まずは目だけでフロアを覗く。

同じ小窓を確認するよりも先に、辺りに広がる異常な光景に目を疑った。

敵の影はなく、下の広間に比べてあらゆるものがごった返している。

数多の管が壁と床に張り巡らされ、それらは更に上の階に伸びていた。

天井から貫通している錆びた鉄棒で繋がっている様を見て、下の階の天井と状況が一致する。




 ビクターが更に顔を突き出した横に、フィオが大きく頭を突き出す。




「何なのこれ?」




彼女は、上半身が映るほど大きな板に釘付けだ。

白光が点滅するそれは、ガラスを太陽に反射させたように見える。

何故、他から光を受けている訳でもないのに独りでに点滅しているのか。

更に妙なのは、馴染みのあるものがそれらに多く付着している事だ。

隅には黒い塊が横転している。




 「おい!」




フィオはビクターの声もよそに、吸い寄せられるようにガラクタに近付いていく。

ビクターが慌てて追うと、後の二人もぞろぞろと続いた。






「やめとけ!」




横転する謎の物体に触れようとするフィオの手を、ビクターは慌てて掴み止めた。




「貝が引っ付いてる!」




シェナが目を見開き、第一印象を放った。

何故か、張り巡らされた管にもフジツボや乾いた海藻が巻き付いている。

匂いを嗅げば、焦げ臭さに磯の香りが混ざっているのを感じた。




 ジェドは眉を寄せてガラクタを眺めながら、点滅する板に近付く。

眩しさで薄目になるところ、じっと観察する。




何やら細い緑の糸のような物が、板の中にだけ流れていた。

点滅するそれを凝視するのが辛く、すぐ手前に連なるものを見下ろす。

光る板と向かい合わせになっているのは、またしても板だ。

黒いそれをよく見ると、四角形をした細かい板が多く敷き詰められ、綺麗に列を成している。

殆ど同じ形をしているが、時折、横や縦に長くなっているものもある。

ジェドは何となく、人差し指で一つ触れてみた――ほんの軽く触れただけで容易にカチッと音を立てて沈み、大きくあとずさる。

途轍もなく薄い感覚がし、それと指先を何度も目で往復した。




「バカ! 下手に触んな!」




ビクターが探索し始める三人に小さく放つと、最初にフィオが目にしていた黒い塊を振り返る。

よく見ると椅子にも見える形だが、ただ横転しているだけで何かが繋がっている様子はない。

だがどいう訳か、滑車が四つついている。

実に珍しい容姿から移動のしやすさを想像したが、特に触れずにジェドの傍に向かった。









大海の冒険者~空島の伝説~


後に続く

大海の冒険者~人魚の伝説~

大海の冒険者~不死の伝説~ をもって完全閉幕します




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