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 藤城茂樹は身長が伸び、たくましくなったことで、いじめを受けていた3人に対し怖いとは思わなくなった。また古田主任もいじめを受けていた昼休みに、職員室にあるパソコンを借りて、彼らから逃れていた。

 中田明人 その6

「いつまで3人のいじめは続いたの」

「6年生の初めころまで続いたんですけど、体育の授業で一列に並ぶと前から3番目だった僕が成長期に入ったのか、急に身長が伸び出して、いつの間にか後ろから5番目になったんです。気づいたらあの3人がとても小さく見えて、何にも怖いとは思わなくなったんです。

 逆にその頃から彼らも何故か僕に近づかなくなって、安心して学校に通うことが出来るようになったんです。でもぼくの代りの子を見つけていじめは続いていたみたいで、その年の秋その子が自殺したんですけど、家から黙って現金を持ち出した事を、親に見つかって叱られたのが原因らしく、もっと早くいじめの事を僕が声に出していればと、今でも思い出すたび悔やまれるんです」

「藤城君、僕も少なからず君と同じ体験をしてるんだ。僕は中学生になってから卓球部の同じクラスの一人と先輩が二人で、始めは昼休みになると誰もいない体育館や部室に連れて行かれて、胸をつつかれたり脇腹を蹴られたりして、金を持って来いと脅されたんだけど、何とかあいつらから逃れる方法はないかと考えた時、パソコンが職員室に置いてある事を知ったんだ。家にあるのと一緒のやつ、あの頃僕はパソコンの試験だけだったら、東大に入れるって自信持ってたんだ。だって保育園の頃から兄たちに負けず、ゲームを自分で作って遊んでいたから。

 それで職員室にまだ1台しか置いてない時期で、先生達は誰も使えこなせないみたいで、埃がかぶってる状態だったんだ。だから先生にお願いをして、昼休みになるとこっそり職員室でパソコンを使わしてもらったんだ。校長先生やら何人かの先生がおにぎりやパンをほうばったり、家から持ってきた弁当を立ったまま食べながら感心して見てくれていたよ。だから時には頼まれて色んな文書も作ってやったし、パソコンを使えば集計が出来たり、資料作成が簡単に出来ることを教えてやったのさ。

 1ケ月ほど経った頃いつも昼休みは教室に僕がいないから、その後はいじめられずに済んで助かったと思っていたら、僕の代りの子が犠牲になって自殺をしたんだ。僕だけが逃げていたと思うと今でも悔しくて。とってもいい奴だったから」

「主任は僕と同じ経験をしてるんですね、でも本題はこれからなんです」

「えーーっつ、まだこれからあるの、話に夢中になってると全然酔えないよーーぉ」

「主任、まだ一般人としては誰も経験してないと思われる話をするね」


 藤城茂樹も古田主任も自分たちはいじめから逃れることは出来たが、その後それぞれ大切な友達がいじめにより共に自殺をしたというつらい思い出があった。

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