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 遺体やごみの保管庫から物体がきれいになくなっているのは、細菌の仕業と分かったが、全国的にも広がっているようだ

 青山賢司 その3

「科学者って感情のない動物だね。僕はこの事実をどうやって公表したらいいのか心配してるのに」

「それは事務方が考えることです。まずは保健所に報告して向こうに委ねればいいんじゃないですか。ただし記者会見の時は所長も同席して、状況説明はしなければなりませんけどね」

「僕は人前で話すのは苦手なんだ。全く注目されない仕事だから、一日中会話することも無く終わる毎日だと、誰かと話をしてても言葉が出て来ないことばかりで、そんなんだからカメラがいくつもある記者会見は僕はいやだよ。もう胃が痛くなってきた。君がやってくれよ」

「とんでもないです。所長はそういう時のための役目じゃないんですか」

「もう、君はきびしいことを言うね」

「所長、そんなくだらない話しより、今の現状を見てください」

「あっ、そうだった。遺体が消滅したのはこの細菌たちが原因に違いないな、この白い物体の中にいるのは死がいだから、元気な奴は何処へお出かけしてるんだろう」

「所長! もしこの細菌たちがどんどん増殖して、餌が無くなった時、健康な人間を襲うなんてことになったら大変ですよ」

「でも、余り早い段階で心配しすぎると、パニックになっちゃうから、しばらく様子を見ることにしよう」

また問題の31日がやってきた。また夜警の高田から連絡がきた。

「所長! 保管庫の遺体はきれいに無くなっていますけど、同時にごみの保管庫もきれいに無くなっています」

「これはすごい! これって上手く行ったらごみの焼却場いらなくなるよ」

「所長! この研究所の空気もきれいになって塵ひとつ何もありません。ウイルスもこの細菌の餌になって、皆んないなくなったみたいですよ。何だかいいことずくめだけど、ここだけで起きている現象なんでしょうか。日本のどこかで同じようなことがすでに起きているなんてことは有りませんか」青山賢司はいつものように冷静な分析をしていた。

 そんな問答をしているところに、

「所長! デート中公園のベンチに座っていた隣りの彼氏が突然消えてしまったと、彼女が泣いているニュースをやっていましたよ」出勤してきた藤城茂樹が駆け込んで言った。

「それって、どこの話し?」

「山形県上山市です」

「じゃあ、この研究所の話しだけではないんだ。すでに全国で起きているんだ。健康な人間を襲うということは、餌が足りないんだから充分用意してやればこんな事件は起きないはずだよ。早く教えてやらなければ、闇の軍団がいつしかこの情報を手に入れ、この細菌の特性を有効に生かせば、自分たちの不利になる人間を抹殺する手段に使われるよ絶対に、恐ろしい話をしたけど」所長はどこに相談しようかとうろたえている。

 細菌は餌が足りないと健康な人間も襲うと分かったが、闇の軍団がこの情報を手に入れる前に何か対策を講じなければと所長はうろたえるのであった。

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