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  新しくできた臓器移植研究所、手術の課程で廃棄される臓器が跡形もなく処分庫から消え去るという、前代未聞の出来事が起きてしまう

 青山賢司 その1

 ここは3年前に新しくできた臓器移植研究所、移植手術は組合病院で行われている中で、まだどこにも公表されていない極秘の施設として、市役所から派遣された部長級の所長と医師を兼ねた研究員が5名、事務員の女性1名の計7名で、表向きは感染症の重症患者を隔離するという名目でスタートしたが、いくつかの臓器移植はすでに行われていた。

 組合病院が今まで手掛けた移植手術の段階で、悪の軍団がメンバーの一員として秘かに入り込み、何らかの操作により意のままに操ることが出来る人間を作り出すという、極悪な行為を暴くため、最先端の技術を駆使しながら、正しい手術を研究するものだった。

 その頃この研究所では、まだ誰も気づかない移植手術の課程で、廃棄される臓器が処分庫から跡形もなく消えてしまうという前代未聞の出来事が起きてしまった。これに携わった施設関係者から犯人の想像もつかないと頭を抱える事態である。

 野犬、はたまた野良猫の仕業かと想像しても余りにも綺麗に処分され、どんなに掃除をしてもここまでゴミひとつ残さず運び出されることは至難の業だと、誰もが疑問視するのであった。

 この状態を監視する為防犯カメラを設置して調べることにしたが、この一ケ月何も変わらず、臓器もいつもと同じように処分庫に保管されていた。

「何故ですか。防犯カメラを設置したら何も起こらないなんて、まさかこの中の人間の仕業じゃないですよね。遺体を盗んで何の得があるんですか」

 研究員のひとり青山賢司が皆んなの思いを代弁するように声に出した。

「でも、跡形もなくきれいに持ち去るなんて出来ませんよ。水で洗い流したら音はするし、こんなこと人間に出来る訳ないですよ。夜警さんが気づかないはずないんだから」

 別の研究員藤城茂樹は青山賢司と同様この施設が出来ると同時に医師として採用された若きホープである。学生時代は成績は優秀と評判は高かったが、状況を把握せず何でも言い通そうとする癖があり、協調性が無い彼には自由に語らせておいて、誰も話しを聞いていないという存在だった。

「とにかく、このまま防犯カメラの設置を続けて様子を見よう」所長の山田省三が言った。

 次の日の早朝、夜警の高田浩から所長に連絡が入った。

「大変です。保管庫の遺体がきれいに無くなってます」

「何! 今、すぐ行く!」 

「山田所長、ご覧のとおり何も有りません」

「わーーっ! なんじゃこりゃ! 物音とか異常は感じなかったのかね」

「全く静かなものでした。気になって寝ないで何度も見て回ったんですよ。でも、明け方見てみたらご覧の通り、無くなっていたんです」

 しばらく、なりを潜めていた臓器移植、手術にまつわる新たなストーリーが展開していきます。

 過去に登場した人物も再登場します。どのように活躍するのか、楽しみにしていてください。

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