引き上げられた地下牢から行方不明だった各種団体職員が救出され、生きたまま臓器移植に使われるという野望は阻止できた。
城田英雄 その13
「わーーっ、檻の中にライオンなんかいないよな。議事堂の下は地下なんか無かったはずなのに」
「何人かの声がする。もう少し上げてみよう」
「あーーっ、福祉センタ-の峠さんじゃないですか。こんな所で」
「情けないです。昨日は市役所で会議があったんですよ。終わったら見知らぬ二人が近づいてきて話しを聞いて欲しいって言うので、裏口に一緒に付いていって気づいたら、もう暗いところに閉じ込められていたんです。他の誰がいたのかも分からずに。あれーーっ、商工会議所小洞さんあなたもですか、こっちは旅館組合の中原さん、私達は何の目的でこんな事されたんですか」
「詳しくは話す時間がないので、要は優秀な人間をかき集めて、あることに利用しようとしていたんだ」
市長は臓器移植のドナーに利用されるところだったなんて、とても話せる状況ではないので、ひとまず檻から救出し、コンビニからサンドイッチとおにぎり、そしてペットのお茶を差し入れし、取り敢えず隣りの会議室で休んでもらうことにした。
「噂では各種団体が出資している組合病院で移植手術が極秘に行われているという情報を掴んだんだ。毎日数台黒い車が地下のガレージに入って行く様子を、近所の住人が不気味だと言って私のところへ訴えてきたんだ。内密で調べたところ、交通事故などで脳死の患者を臓器移植に利用していたんだ。でも本来の目的を達成するためには、健康で優秀な人間の体が必要になって議事堂地下を利用して、悪事を計画していたんだ。早速姉妹・友好都市の市長さんに連絡し、確認してもらおう。絶対同時進行で計画が行われているかもしれないな。
こんなに早く野望を阻止できたなんて、事務員のこぼしたコーヒーが役に立ったんだ。
川上企画財政部長、高山警察署長と高山駅長は臓器移植の経験者で闇の軍団が送り出すスペシャリストとして、コントロールされた人間だったんだ。まだ計画が実行される前にその芽を俺たちが摘み取ったんだ。梶今さんはじめ市役所の中でも若手の職員が独自に動いてくれてるらしいので、近々内密に集まって情報交換の打合せしなければならないね。
相手がとてつもなく大きな組織だと高山市の姉妹友好都市の市長さんだけで収まらず、総理大臣の権限で、国連も動かして、地球規模で阻止しないといずれ大変なことになるかもしれないな。不穏な動きを見逃さないように頼みます。
ところでまだ鮎が沢山あるって、ママさんから連絡が来たから、今夜も作戦会議は居酒屋『うっとり』に集合!」
闇の軍団がこんな簡単な方法で壊滅出来るわけがないと、市長は身を引き締めるのだった。
小説を書くスピードが次話投稿に追いつかれてしまいました。ストーリーとしては完結のつもりでいましたが、世界征服を企てる闇の軍団とうたった手前、もう少し話を膨らまして、最終目的の闇の軍団を壊滅するまでのストーリを考えたいと思いますので、少し時間をください。よろしくお願いします。
是非とも、一人でも多くの方に読んでいただき、いいねを待っています。




