高原と栄子の命が助かったように、三枝壮一と井上勝も警察署長と駅長の陰謀と考え、早速図書館へと向かう。
城田英雄 その6
「コーヒーふたつとココアひとつお願いします。ところで城田君、本当にボケたかと思ったよ。栄子が臨月でさあ。生まれる前に名前の付け方や育児書を参考にして準備しておかないと、初めての子供だから心配で、本を借りに来たのさ」
「それはおめでとう。高原君は同期の中で一番結婚が遅かったけど、俺たち子育では先輩だから何でも聞いてくれていいんだよ。もう中学生の子供のいるやつもいるから」
「城田君の奥さんさあ。『うちの主人子供の事何にもかまってくれない』って、嘆いてたぞ。そんな人頼りにならないよ」
「女房め、そんなこと言ってたんだ。ところで、三枝壮一君は痴漢で捕まった後、留置場で自殺したし、井上勝君はアユ釣りに行って溺死したことになっているんだよね。
だけど栄子が言うには新しい警察署長と駅長がどうもおかしいって言うんだよ。
俺たちの同期の佐々岡省三市民課長と駅長そして警察署長、この三人が兄弟って最近知ったんだけど、絶対何かあるような気がするんだ。その原因を作ったのは前に同期5人で飲み会したろ。終わる頃井上勝君が佐々岡に
『お前が前にいた都市開発公社に使途不明金があることを俺は知ったんだ。最近お前の仲間達でしょっちゅう飲み歩いているじゃないか、それも派手にやってるって聞いているぞ。いつの間にかお前の担当してる時に、積立金800万がリストから消えていたんだ。絶対お前が着服したんじゃないのか』って問い詰めたことがあったろ。そしたら佐々岡が怒って先に帰ったじゃないか。その後佐々岡がすれ違っても見向きもしないで通り過ぎていくようになったんだけど、それが原因で俺たちは順番に命を狙われているかもしれないな。駅長も警察署長もきっと同じ飲み歩くメンバーなんだよ」高原は急に神妙な顔つきになって声をひそめた。
城田は今が話すタイミングと切り出した。
「その話が出たから、驚かないで聞いてくれる。簡単に説明すると本当は電車に乗るとき二人は落ちて栄子さんが死んだのさ。高原君が栄子さんを引きづり落とした犯人になって逮捕され,その後留置場で自殺するんだ。
この話は5年前のことで新聞にも大きく報道されてたよ、しかも二人の写真付きで、でも今になって殺された栄子さんがゴーストになって、僕の家まで夜な夜な助けを求めてきたんだ。
図書館の新聞保管庫にある新聞を広げて、その記事に手を乗せると、今度は僕がゴーストになって当時のその現場にタイムスリップしたんだよ。君たち二人に会って事前にその事を伝えて事件は回避出来たんだ」
「うそだ! なあ栄子、俺たちそんなこと何にも知らないよな」
「ショック、さっきまで俺頑張ったから君たち今こうして生きていられるのに」
「そうか、そんなにすぐは信じられないけど、とにかく助けてくれて有難う。じゃあ壮一君と勝君も助けられるのかい」
「そうだよ、あの二人助けられるよ三人で行けば大丈夫だよ」
「でも私おなかに子供がいるから、行けないわ」
「タイムスリップするときは、ゴーストになって行くから、心配いらないよ」
「じゃあここの支払い俺が持つよ。じゃあ早速図書館行ってみよう」
三枝壮一と井上勝の事件も、冤罪ならタイムスリップして助けることが出来る。さて、どんな方法で、




