表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

54/93

 事件の当日殺人現場となった電車に高原と栄子が一緒に乗り込もうとしているが、何事もなかったみたい。

 城田英雄 その3

 とうとう6月12日問題の日が来た。高原君は県庁に出張で高山駅8時00分発の特急に乗るんだったよな。そろそろ時間だけど高原君はどこにいる。えーーっ6号車に栄子さんと仲良く手を繋いで乗ろうとしているじゃないか。あれほど絶対に一緒になってはダメだと言っていたのに。

 城田は思わず(高原君、今乗ったらダメ!」と叫んでいた。

 高原は声のする方へ振り向いた瞬間ペットボトルを落としてしまった。ころころと転がっていくのを恥ずかしそうに追いかけて、拾ったときには、乗り込む乗客の最後尾になってしまい、座れる席は全部埋まってしまった。

 高原一人だけが6号車後方の吊革につかまり席が空くまで立って乗ることになってしまった。この時栄子は高原から正反対の前方に座っている。

 しかし、電車が動き始めたとき、突然栄子が席を立ち、後ろを向いて高原に手招きをした。口の動きで「こっち空いたよ」と言ってるのが誰にも読み取れた。

 栄子の隣の乗客が前の車両へと移動し、席が空いたのである。

  高原は栄子の招きに何んのためらいもなく、しかし満車の中を歩くとあって、額の汗が飛び散るほど真っ赤な顔で、栄子に近づいて行った。

 城田は思わず(ダメ!ダメ!)と叫んで、さらに、(どうして、二人が一緒になったらダメってあれほど言ってたのに。バカーーっ、お前ら死んでしまうぞ!)

 城田は大声で叫んだものの何も起こるような気配がない、事件がこのまま何事もなく済むのか、これから起きるのか肩透かしを食らったような面持ちで二人に近づき聞いてみた。

(君たちのんきにしてるけどけど知らないよ。でもおかしいな、事件の起きた時間はとっくに済んでいるというのに、本当に何も起こらなかったのかい)


 事前に情報を伝えておいたのが功を奏し、事件を回避できたのだろうか?

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ