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 殺人事件を知らせる新聞記事に手を乗せた瞬間、事件の二日前にタイムスリップした城田は、高原の冤罪を阻止できるだろうか。

 城田英雄 その2  

「来たよ。栄子さん約束どおりあの日の新聞を開くね。わーーっ、本当に出てきた。高原君も一緒だ。でも僕にはゴーストみたいに辛うじて姿が見えるけど、他の人にもこんな風に見えるのかなあ」

(大丈夫あなたにしか見えないから。私達は普通の姿では出られないの。だから何かに触っても何も動かすことは出来ないし、持ち上げる事も出来ないの。その代わり壁でもどこでもすり抜けられるし、短い距離なら瞬間移動も出来るのよ。そして何より会話が出来るからこうして伝えられるの)

「高原君、俺、城田だけど分かるよね。栄子さんから、この事件冤罪だって聞いたけど、やっぱり裏があるような気がしてたんだ。これから少しずつ謎を解いて、真相を解明していくからね。6月12日に事件が起きて、高原君が栄子さんを殺害することになっているんだ、そしてその場で逮捕されるんだよね」

 城田は二人に話しかけながらその新聞記事に左の手のひらを置いた。するとシュワーーっと突然洗濯機の中に放り込まれたように渦の中へ吸い込まれていった。

 気が付くと、城田達三人は電車にそれぞれ別々に少し離れた場所で座っている。城田は何が起こったのか分からなかったが、隣りの乗客の広げた新聞の日付を見て驚いた。5年前の6月10日になっている。事件が起きて逮捕された日12日、新聞に出たのが13日、そうすると、事件が起きる2日前に来てるんだ。でも僕の姿はゴーストみたいだから、周囲の皆んなには見えていないらしい。あの二人には薄っすらと見えるのか近づいて確認しよう。でも二人はタイムスリップしたんじゃない。この時代に生きている人間なんだ。もう夕方だから出張の帰りなのか、通勤の人たちや観光客で賑わっている電車内で声を掛けたらは騒ぎになってしまうかもしれない。二人が電車を降りて家路を急ぐはずだから、もし一緒の道で他に誰もいないタイミングがあったらチャンスなんだけど、とりあえず後を付けてみよう。

 二人とも偶然同じ道だ。しかも誰もいない。こんなチャンスは今しかない。

(すいません。あなたは清水栄子さんですよね)

 城田が背後から近づいたこともあり、栄子は思いっきり大声で叫んでその場に立ちすくんでしまった。

「どうしたんです。何があったんですか。わぁーーっ、ゴーストみたいなものがいる」

 高原も驚いて、誰かを呼ぼうとした。

(二人とも、落ち着いて聞いてください)

「いや、こんな恐ろしいこと、何でもいいからとにかく早くあなたも逃げましょ」

(まっ、待ってください。二人に大切なことを知らせに来たんです。高原君僕が誰だか分かるよね)

「よく見ると城田君じゃないか。どうしたんだよそんな姿で、さっき駅で会ったときは普通の姿だったのに」

(僕は未来から来てるんだ。君たちも一緒に来たはずなんだけど、でも長くは話しができないから要点だけ言うね。君たちは二人は2日後にある事件で死ぬんだ)

「冗談でしょ。やめてよ、そんな話」

(だってこの先自分の身に何が起こるかなんて誰にも分からないでしょ。でも、二人に事件が起こったんだ。だからそれを知らせに来たのにおかしいな。この話の事はもう知ってると思ったんだけど、君たちと未来で十分話したじゃないか。そうか、ここにいる君たちには自分たちのこれから起こることは分からないんだ)

「そんなのいやだよ。城田君、君が現れなかったら、僕たち二人は知らないもの同志で事件に関わらずに済むはずなのに」

(確かにそうだな。でも、6月12日に何が起こったことは間違いないんだ。もし二人が出会わずに済んだらこの事件が回避出来て、二人は死なずに済むのかもしれない。僕は会話ができても、何も動かせないんだ。そのことだけは分かってほしい。これから12日まではこの話しを信じて絶対に気を抜いてはダメだよ)


 容疑者になる高原にその事件を回避するために取った行動とは?

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