五月之介の法事で孝太朗が語った真実を、磁気ネックレスを身に付けていた純一だけが闇の軍団の計画を記憶に留めることが出来た。それを阻止するため、三人が力を合わせて戦うことを誓った。
純一、勉、一哉の三位一体 その3
君たちに言っておきたいことがあるんだ。純一が改まって切り出した。
「梶今さんの一周忌の法要の時みんなが集まっただろ。あの時棚橋さんが救急車で運ばれてまたすぐ帰ってきたじゃない。あれは本当は棚橋さんの空想がそのまま本当だったからさ。色々知りすぎると言うことで、記憶を消すために病院へ連れて行かれたんだよ。
そして、みんなもあの時聞いたことはみんな記憶が消されたんだ。僕以外はね」
「どうして純一君だけ消されなかったんだよ」勉は聞いた。
「はっきりは分からないんだけど、あの時磁気ネックレスしてたから、それで記憶を消されずに済んだかもしれないんだ。だから棚橋さんが僕に語ったことしっかり憶えているんだ。今からそれを話すから、しっかり聞いててくれ」
純一は静かに語った。
「日本は世界の真ん中なんだ。そして岐阜県は日本の真ん中、その岐阜県の中で一番安全なところと言えば、台風の被害だって少ない、地震にだって安全な飛騨高山が今のプロジェクトの本拠地に選ばれたらしいんだ。つまり飛騨高山が世界の真ん中って訳なんだ。
宗教団体の大本山も選んで立てられている位だから、よほど安全なところなんだよね。
今その極秘のプロジェクトが動いているんだけど、臓器移植によって優秀な人間だけを選別して、人類をコントロールして永遠に守ろうとしている計画がすでに実行されているんだけど、それを無造作に進めるわけにはいかないだろ。
そこで、地域を限定するために、これから長い目で計画するにはどのようにエリアを広めていこうかと議論の末、まず飛騨高山の姉妹・友好都市を最優先とし、さらに日本全国の中から順番に各都道府県を指定していく方法と、外国から抽出して選ぶ方法の両面で拡大をしようとしてるんだ。
現在外国でいえば、アメリカはコロラド州デンバー、中国では雲南省麗江、これはすでに知っているよね。だけど例えばヨーロッパではまずはイタリアのフィレンチェ、イギリスではマンチェスター、アフリカではケニアのナイロビ、南アメリカではブラジルのリオデジャネイロなんて当初は大まかに広めながらいつかは世界全部の国に広めるんだ。
そうすると気が遠くなる話だけど、白人と黒人が混じり合っているうちに、世界人類皆兄弟、全部茶色の日本人になっていく訳さ。そうなればもう戦争なんておこりやしない。核兵器なんて必要ないし、国境もなくなるんだ。
ただし、残念だけど寿命は二種類あって、百歳までで終わる人と何億年も行き続けられる人に選別されるんだ。これは自然の摂理で仕方ないんだ。これを選べるのは一部の人だけで誰も知らないんだ。百歳を超えても健在だったら始めて長寿の命をもらったと認識できるのさ。
勉君そして一哉、君たちは今のところ、永遠の命をもらったと思っているかもしれないけど、いつどうひっくり返るか分からないんだ。
僕は今どういう組織で、この計画が企てられているのか知りたいんだ。こんな計画人類のためにいい訳がないじゃないか。
僕は誰にも悟られないよう、この計画を阻止するためこれから頑張るんだ。君たちも分かってくれるだろ。そして皆んな忘れてしまっている存在に梶今五月之介さんだよ。僕の心臓は梶今さんから移植されたのに、今は何にも反応がないのはなぜだろうか。五人のうち誰か一人に絞られて活動しているのじゃないかと思っているんだ。きっと棚橋孝太朗さんが一番の有力候補だと思うんだよ。でもいつかどこかで僕の中で復活してきたとき味方になってくれるかが心配なんだ。」
「純一君、俺たちも冷静に考えると、大変恐ろしいことに巻き込まれてしまったと今気付いたんだ。だから三人で力を合わせて、この闇の組織の正体を暴いてやろうじゃないか」勉と一哉も純一の考えに協力して戦うことを誓った。
今後純一、勉、一哉の繰り出す三位一体の人物が、この闇の組織に脅威となる存在を暗示していた。
梶今五月之介の無実が証明されたことにより、第一部が終了します。
引き続き第二部では飛騨高山を舞台に、ミステリーそしてファンタジーとして新しいストーリーが展開して行きます。是非小説を読んでいただき、いいねをもらえると大変うれしいです。よろしくお願いします。




