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 臓器移植を受けた全員の協力により、ようやく梶今五月之介の無実が証明された。

 飛騨高山にて その11

 早速帰りまた同じように画面に向かって並んだ。もう何もしなくてもテレビに映り出されていた。

「あっここに写っている人どこかで見たことないか、純一君、秋田先生にそっくりだよ」

「あっほんとうだ。先生高山に住んでいたんだ。いやまてよこれは白川知子だよ。よく見ないと分からないけど、目の下に小さいほくろがある方が白川知子なんだ。だから秋田先生じゃないんだ 純一が突然話を切り出した。

「今まで誰にも言わないで、ずっと胸にしまっておいたことがあるんだ。勉君小学校二年の時のことを憶えているかい。僕が誘拐された時のことだよ。

 秋田先生から僕に話があるって電話がきて、迎えに来たので何にも疑わずついて行ったら、実は前に垂らした髪の毛を後ろに上げたとき白川知子だったんだ。

 あの時もし騒いだら殺されるかもしれないと思って従ったけど、このことは絶対誰にも言うな、そして今から言うことも同じだと言って語り始めたのさ。

 白川知子は実は山下和美で山形県警本部につとめていたと言ったんだ。そして彼女が言うことには自分は死なないでずっと生きていけると、でも僕は小さいながらもそんなことはあり得ないって思ったけど、もうすでにこの体は自分じゃないって。

 秋田先生は知らないけど双子の姉がいて、生まれてすぐ白川家に貰われていったので、白川知子と言っていた。

 二十歳の頃、白川知子は免許取り立ての若者が運転する車の助手席に乗っていて事故に遭ったんだけど、山下和美は後ろの座席に乗っていて、気がついたら移植で白川知子の体になっていたと言うんだ。

 僕はこの人は頭がおかしい人なんだとその時は思ったが、優秀な女性警察官でプロジェクトの一員なので退職した後でも、永遠の命が約束されているので、体は白川知子だけど中身は山下和美になっていると言っていた。

 脳のコントロールをするスイッチを変えると、臓器を提供した人になると言っていたんだ。難しくて理解できなかったけど、白川知子いや山下和美は最先端を行っていたんだ」

 今度は勉が純一にずっと隠していた話を切り出した。

「純一君あのハチドリの話憶えているよね。あの時気分が悪くなったのは、純一君が気がついていなかっただけで、僕は恐ろしい光景を目の当たりにしたんだ。

 君の母親が犯人だよって言う話は絶対出来ないと思っていたから、やっとで自由になれるよ。

 今聞いた話で秋田先生が犯人じゃなかったって分かったから話せるけど、実はあの時秋田先生が佐藤先生をナイフで刺して殺すところを見てしまったんだよ。

 あまりにも恐ろしくて、僕の胸の中に封印してしまったんだけど。犯人は白川知子の姿をした山下和美だったんだね。

 その後佐藤先生が行方不明になったのも、臓器移植に使われたってうわさがあるんだ。あの日不明死体が見つかって解剖されたって聞いてたから」勉はふっと胸をなで下ろした。

 「僕の父親は誰かはっきりしていないけど、佐藤先生が父親だって分かったら嬉しいな。そうしたらもう一度会って見たかったな」純一も安心した様子だった。  

 映し出されたテレビの画面から、あの越前市でハチドリの山を宅地造成した、山下和美の叔父で土建業だった高田保昭とそして白川知子と判明した。

 その後の調べで二人は、飛弾高山で身を隠して不動産の仕事を続けながら、子供を誘拐して身代金を要求し多額の資金を稼いでいた。高田保昭は自分の子供二人もすでに殺害し、白川知子にも誘拐されたと事件の関与を否定していた。

 次の日、棚橋孝太郎は調べた結果をみんなに報告をした。

「あの場所から見る景色は川下川に映る飛騨山脈がとてもきれいで、観光に訪れる人たちの人気のスポットとして、結構見に来る人が多いんだね。だから、柵に仕掛けをしてあの穴から下にある滝つぼの大きな淵に落として、溺れさせて死んだのを確認したところで、臓器移植にふさわしい人を選んでどこかの病院に運んでいたんだ。

 それを請け負っていたのが、高田保昭だったんだ。

 きっと梶今君それに気づいたんだよ。それを追及してる時あの穴に落とされて、殺されたんだよ。その時宅地の購入代金の手付き金80万も一緒に奪われたんだ。

 聞くところによると、梶今君は土地が手に入ったら、小さい別荘を建てて、家族で楽しみたいって言ってたんだそうだ。悔しかっただろうね。

 梶今君が殺人として疑われたのは、運ばれるはずだった死体の中で利用されずにいた二人を何かのトラブルで殺したように仕組まれたんだ。

 犯人は高田保昭と白川知子の仮面を被った山下和美だったんだね。やっとこれで、梶今君の無実が証明されたんだ。そしてここで行われていた原始的な殺人方法は、梶今君の事件によって暴かれたんだ。でも闇の軍団は次の一手を計画しているんだ。優秀な人材を生きたままどこかに収容して臓器移植の実験材料として活用しようとしてるんだ。早くその芽を断ち切らねば」

 棚橋孝太郎はこの事件はこれで終わったんじゃないと恐怖におののくのだった。 

 梶今五月之介の無実は証明されたが、闇の軍団の次の一手が何なのか、恐怖の世界が待っている。

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