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 梶今五月之介と息子の惣太郎が釣りに行った場所は、細工された柵が有り、五月之介はその穴に落とされるが、鍛えられた体で、その時は難を逃れることができた。しかし・・・・

飛騨高山にて その10

「ごめんなさい。皆さんしゃべってたのでつい御主人のパソコン見てたら、データーの中に日記のように書いてあるものを見つけたんだ。

 読んでみるよ。四月二十六日惣太郎と釣りの約束をしたので、釣具屋へ行き、針と糸のセット二人分とえさのニジ玉一ビン買う。

 四月二十七日、今日は雨あがりだったので、よく釣れた。アマゴ七匹、イワナ十二匹、惣太郎が釣った初めてのアマゴ二十六センチもあってお父さんの負けだ。

 帰り、恐ろしい目に会った。いつも通り柵の横を歩いていたら、途中突然穴に落ちたような気がしてとっさに何かにつかまり難を逃れた。その後穴をさがしたが分からなかった。また明日もう一度調べてみたい。

 そして明日月曜日は住宅用の土地代手付金の一部八十万円を入金することになっている…と書いてありますよ。」と勉が皆んなに聞かせた。

「あれ、八十万円のことは主人から何にも聞いてませんわ。事件の遺留品にもなかったし」ひとみはけげんそうに話した。

「この日記に書いてある場所は惣太郎君が知っているようだね」孝太朗が聞いた。

「うん、絶対忘れないよ。お父さんが大変だったんだから、あの柵の横を通っていたら突然消えちゃったんだよ。

 僕はどうしていいか分からなくなって柵から川の方をのぞき込んだら、お父さんがキズだらけで一生懸命よじ登ってきたんだ。

 そして柵を乗り越えて僕のところまで来たんだけど、二人で穴を捜してもどこにもなかったんだ。

 日も暮れてきたので、今日は帰ろう。お父さんが調べておくって言ったまま、その返事を聞かないうちに死んじゃったから、くやしくてしかたないんだよぉ。僕もう一度行ってお父さんの代わりに調べたいんだ、みんなと一緒に連れて行ってよ」

 孝太朗はお願いをし、そして皆んなで現地に行くことにした。

「なるほど、これがその柵だよね。この柵に沿って二人は歩いていた、こんな風に。あっ、昨日の雨でここ柵の下くぼんでいるよ。

 この柵がもっと川の方へ移動したら穴があるんじゃない。でも押しても柵は少しも動かないよ。でも穴なんか急に掘ったり、埋めたりできないでしょ。

 絶対誰かがこの柵を動かしたんだよ。この柵の端っこに細工してない?」孝太朗が端の方を見るように木ノ下勉を指差した。

「あっ止め金があるよ。ここが簡単に開閉できるようになっている。一哉反対側もそんな風になってるかい」勉が言った。田中一哉が反対側も見に行くと、

「あったあった、同じ物が。じゃあ勉君一緒にはずして向かい側に押してみようよ。せいの、あっ移動した。そして中央のところに穴がぽっかりと開いている。

 柵と一緒に手前に引くと楽に移動してカチャッとロックされるように仕掛けができている。きっと梶今君のお父さんは、この穴に落ちた時運動神経が発達しているので、パッと何かにつかまることができたんだ。そうでなかったら川に落ちて土佐エ門さ。そしてよじ登ってくる時ぐっと手前側に引っ張ってロックが掛かったんだよ。まさか柵が動くと思ってないから穴に気がつかなかったんだ。もしそうだとしたら、勉君これを仕組んだのは誰だよ」

「じゃー、もう一度帰ってテレビで確認しよう」孝太朗が言った。

いったい誰が何の目的で、この柵に細工をする必要があったのだろうか?

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