梶今家に集まったみんなが、アナログテレビの前でそれぞれ景色を写せる力を身に付けることで、五月之介が発するメッセージが理解できることに気付いた。
飛騨高山にて その4
「お兄ちゃーーん、みんな外に出たら元にもどってゲームが出来るようになったよ。中に入って来たら、前のようにジャミジャミでゲームが出来なくなってる、みんなが原因だよーーっ」
惣太郎が叫んでいる。
「これで、何かひとつ解決方法が分かったよ。このジャミジャミはご主人のメッセージを伝える手段のひとつかもしれないね。この画面をきれいに見るにはどうすればいいのかなぁ」
有梨純一は頭に手のひらを乗せて考え込んだ。
「ちょっと画面の右端、これ私がいつも頭の中に出てくる景色みたいな、あ、これこれよ!」茜がテレビの画面を指差して叫んだ。
「じゃあみんなテレビの前に横に並んでみて。だめかぁ。でも茜君の景色はアナログテレビで再生できるんだ。皆んなも力を合わせて、自分の範囲がテレビに写せるような力を身につけて一緒に頑張れば何かが分かるんだよ。でも今は四人だけど、もう一人は今どこにいるの、何をしてるのさぁ」
純一が早く解決したいと焦りだした。
「今回梶今さんのところに来て分かったことは、今のところ茜さんだけがご主人のメッセージを伝えるパワーを見い出したみたいです。とりあえず、後の三人も揃ってパワーを身に付けないと、ご主人のメッセージを再現することが出来ないことが分かりました。それぞれ家に帰って、その力を発揮できるよう訓練して、みんなが出来ようになったらもう一度集まるということにしたらどうですか。とにかく早急にやりましょう。私も頑張ります。そして最後の一人を見つけましょう。でもこの五人のつながりは何だろう。今分かっているのは、事務長の奥村君と梶今君、西園寺君もそうだから私棚橋この四人は同級生だ。ところで松本の日影さん、御主人は何をしてる方なんですか」
孝太朗が茜に代わってまとめ役になっていた。
「前は松本市の職員だったんですけど、私の体が弱いのを承知で結婚して、それを機会に退職し、自分で事業を始めたんです。私の婿養子で日影幹男と言いますけど、旧姓駒屋と言って早稲田を出てるんです」
「何、駒屋幹男、あの優秀だったあいつ、トップで卒業したんだぜ。えーーっ、じゃあみんな同級生が絡んでるんじゃないか、もしや有梨君のお父さんは」
「僕の父親はすでに亡くなっているって聞いているんですが、僕の父親はこの人だよといろんな人が教えてくれたけど、どの人が本当なのか分からないんです」
「君は越前市、前は武生市だよね。そういえばそこの出身で佐藤石太郎っていたよなぁ」
「えーーっ、僕の担任だった佐藤先生だよ。だけど行方不明になって多分死んだんだよってうわさのまま忘れ去られたんだ。養子として今の父親に育てられて来たんだけど、佐藤先生が父親といううわさもうそじゃなかったんだね」
純一は父の存在が分かりかけた期待感と、事件に巻き込まれたと思われる当事者の佐藤先生を、父親と決めてほしくないという思いが交錯するのだった。
「今回はこれくらいにして、いいですか、みんなの宿題ですよ。絶対メッセージパワーを身につけてください。出来るようなった人から私に連絡して、そして最後の一人の人については、茜君のお母さん幸子さんから、奥村さんのお父さんに調べさせるように連絡してください。
集まった皆んなの共通点は、早稲田の同期が関係していることが分かった。




