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二野谷社長の余興タンタンたぬきのフラダンスは、別の宴会の客も巻き込んで大変盛り上がり、契約が順調に成立した。

棚橋孝太朗 その4

 酒も進み四人はご機嫌で調子も上がってきた頃、

「それにしても孝太朗君は楽しい男ですなぁ、うちの会社にもこんな人物がいたらもっと発展するんだが」

 二野谷社長は染み染みと語り、そして急に思い立つようにして言った。

「そろそろ私の我がままを聞いてもらえるじゃろか」

 二野谷社長は気分が良いと余興で盛り上げるのである。

「仲居さん、悪いがいつものようにお盆をいくつか用意してくれんかのう、大小何でもいいんじゃ」仲居は厨房からありったけのお盆を持ってきて、その中から二枚を選んで二野谷社長に渡すと、小鳥野専務に、

「じゃーっやろうか、みなさんも一緒にいかがですかな」

と言い終わるとすぐに、スーツ、シャツ、パンツ、くつ下と順に脱ぎ始め、とうとう全裸になっていた。

 先ほどの契約交渉で気が楽になったので、酔った勢いで乗ってしまったのかと棚橋社長は思ったが、小鳥野専務が棚橋社長に耳打ちしたのは、この余興に付き合わなかったために契約をお断りしたケースが何件もあると聞かされ、ここは背に腹は変えられないとはずかしさを通り越え自分も同じように裸になった。

 二野谷社長は、お盆を上手に使い大事なところを隠しながら、タンタンたぬきのフラダンス~~と踊り出した。棚橋社長も真似をして踊ろうとするが、手と足がバラバラ、時々見え隠れする大事なものが、非常に小さかったので、仲居さんも皆んなも大笑い。いつしか全員が裸になり、にぎやかに踊り出した。二野谷社長のものは群を抜いて、それはそれはりっぱな太い棒がカチンカチンになっていた。

 みんな我を忘れて踊っていると、あまりの楽しさに別の部屋で宴会をしていたお客も、何事かとそっとふすまを開けてのぞき込む者がぞくぞくと集まり、部屋中いっぱいになってしまった。

 二野谷社長は、自分の余興でこれほど盛り上がったことは初めてで、大変上機嫌だった。

 孝太朗は平塚の観光の一つに、このタンタンたぬきのフラダンスツアーーはいかかがでしょうと言って、みんなもそれはいい、それはいいと大絶賛。観光で宿泊をしていた利用客や常連客からも次も是非やりたいと、口々に満足した様子で解散したのであった。

 次の日二野谷社長から棚橋社長に電話が掛かってきた。

「棚橋社長よ、昨日は大変ごちそうになり有り難う。すまなんだ。またダンスもはずかしがらずに一生懸命付き合ってくれてうれしかった。本当に楽しかった。

 ところで契約の見積資料を、当社の精通したもの五人にチェックをさせているところじゃが、皆々口をそろえて何と良心的で、この内容だったら安心してお願いしていいと言っておるのじゃ。昨日のことも含め今後もお付き合いを是非させてもらいたいものじゃ。

 契約の件オーケイだ。よろしく頼んだぞ。そして孝太朗君はいい男だ。将来が楽しみだ。うちの孫娘にチャンスがあったらと、その希望を捨てずにこれからも待っておるがいいじゃろか。

 それにしてもやっぱりダンスは楽しかったですなぁ。また是非やりたいもんだ」

と小太りで人なっこい笑顔が電話の向こうから伝わる、有り難い大きな契約の成立に、孝太朗が多大な貢献をしたのだった。


契約交渉に孝太朗の存在が大きく貢献し、相手の社長に大変気に入られることとなり、今後の活躍も楽しみになります。

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