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岐阜県警察本部長として赴任して来た梶今五月之介の父は、息子の結婚の確約をする為、婚約者ひとみの父をホテルに誘い、共に酒を飲む。

 梶今五月之介 その4

「約束どおり夕べホテルに着いて部屋に入ったら、すでに料理とお酒が準備されていて、なぜか本部長さんがあの宴会とは人が変わったように、どこかしら緊張してるみたいで、僕も落ち着かないまま、席に着いたんだ。そしたらまずは飲もうって、普段あまり飲まないシャンパンをグラスに注いでもらったんだ。でもひと口飲んだら、素人でも高級だって分かる程強くて、それでも何杯もつぐんだよ。いつ本題に入るのかと、こっちも構えていたら、結構酔いがまわった頃、本部長さんは“すでに僕のことをひとみのお父さんって知っていて、宴会でついあんなに話し込んでしまったけど、あの場所では言えなかったので、

“大事な話をしたいからここに来てもらったんだ”と、そして照れるように息子が娘さんと結婚したいと言ってるけど認めてほしいって。僕は昨日二人から聞いているので分かりましたと答えたんだ。

その後大浴場に行こうと誘われたので、一緒に入ってお互いに背中を洗って、気が付いたらあれだけ宿泊客が入っていたのに、一瞬二人だけになったんだ。そして脱衣所に出たらいきなり本部長さんが僕の大事なところををギューーってつかんで、先ほどの結婚の件絶対オーケイでいいですね。了解してもらえるまで離さないって、あまりにも急で痛かったので、僕も本部長さんの同じ物を握り返して、『大丈夫です』って大きな声で叫んだんだ。そしたら次の宿泊客がどっと入って来て、『わーーっ、すごいもの見ちゃった』なんて騒ぐもんだから、恥ずかしくて、そそくさと着替えて部屋に戻ったんだ」

「お父さん、ひとみの前でそんな話をして」

「私は小さい時からそんな話は、何回も聞かされているから平気よ」

 五月之介は東京の殺到の中で、ふっと警察官の仕事なら地方の駐在所勤務の方が合っているのではと、忙しくなるたび考え込むことが多くなってきていたが、こんなのどかな町と穏やかな家族を目の当たりにすると、余計に地方に住みたいという思いが膨らんで来るのである。

 しかし、警察学校の同期からは、お前は将来警視庁を背負って立つ人間だからと、一目を置かれていたのも事実だった

梶今五月之介が婚約者ひとみの穏やかな家族とふれあう様子を描いています。

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