表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
19/35

第三話 恐怖のシナリオー7

 忽ち、地の底から轟音が響き渡った! 強烈な揺れの始まりだ。天井からは照明器具やパネルが落下し、鉄骨の支柱も歪み始める。そして、あっという間に混乱と恐怖が辺りに満ちた。そう、奴の比類なき能力とは、大地震を起こすことだった! しかも、どんどんと波動が増し、さらなる強震へと発展しそうな気配だ。

……となれば、このまま振動が続けば、より悲惨な末路が待っていることは明らかかァー? 第九スタジオが、倒壊する危険性も出てきたのだ!

 だが、その一方で、そんな状況下になろうとも、大天使たちは逸早く空中へ飛び出し、フリーズ状態の人々を護るため、翼で落下物を弾き飛ばそうと努めていた。できるだけ多くの人を救うことに、力闘していたという。

 とはいえ、残念ながら広い敷地ではなかなか全員を護れず……そうするうちにも、どんどんと建物の強度が損なわれ、側面がたわむと同時に支柱の歪みも限界になっていった。

 すると、その直後……遂に恐れていたことが現実に!

――突如、耳を劈く崩壊音が、けたたましく轟いた!――天井が大きくしなって、建物全体が、まるでダンボール箱が潰れるように呆気なく崩れ去ってしまったのだ! 要は、鉄骨が折れ曲がり石膏壁が崩れたせいで、元は高さ十メートルの、テニスコート五面ほどある広大な屋根板が、所々波打ったうえにわずか二メートルの高さまでひしゃげたという訳だ。そして、建物の周りも、当然ながら瓦礫とおびただしい塵煙で埋め尽くされていた。

 これでは、内部にいる人々も、物に挟まれて助からないだろう。何とも凄惨な末路よ……

 ところが、次の瞬間、異変が起こる。突然、天井板の一部が膨れ上がったかと思ったら、一気に内側から破裂して人影が出現した! 

――言わずと知れた、ギャビーだ!――

 まさしく、彼女は健在だった。やはり、戦聖人ともなれば、何のダメージも受けはしなかったのだ。


「チッ、マハザエルにしてやられたわ」彼女は、姿を見せると同時に悔しさを口にした。続いて周りを見渡した後、「レイフ、どこ? 大丈夫」と問いかけた。

 すぐさま数十メートル離れた所で、同じく屋根を貫き、レイフも姿を現した。

「おおい、ここじゃ。だがの、マハザエルはどこにもおらんのじゃあ」

 どうやらこの騒ぎで、まんまと逃げられてしまったようだ。

 しかし彼女は、気にすることもなく、

「まあいいわ。それよりマイケルが心配。彼も別の刺客と戦っているはずよ。嫌な予感がするわ」と言って、大空へ飛び上がった。先ずは仲間の安否を確かめたかったのだ。

 片や、その飛翔に、レイフの方は疑問を抱いた様子。

「どうする気じゃ?」と訊いてきた。

 ギャビーは、ただちに答えた。

「あんたは、中の人たちを助けてちょうだい。あたしは、マイケルの所へ行ってみるから」と。そして、そう伝えたなら、取る物も取り敢えず高速で飛行を始めたのであった。


 彼女は飛んだ。マイケルのいる撮影場所へ急いで向かったのだ。

 そうして程なくすると、リバーサイドの上空に差しかかる。やっと撮影現場に着いたようだ。彼女はマイケルの姿を見つけるため、目を見開いて捜し回った。

 すると、川沿いの車道に異様なモノを認める。岩のような巨人が存在していたのだ。続いて、そこから内陸側へ目を移してみたところ、ボロボロに破壊されたコンクリート壁も目視できた。そしてその側に、ぐったりと横たわる男……居た! マイケルだ。彼が粉塵に塗れた状態でうつ伏せに倒れていたではないか!

「遅かった……!」やはり、悪い予感が的中していた。

 彼女は、その光景を目にして、大いに落胆するのであったァー!





評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ