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第三話 恐怖のシナリオー5

       4 戦士たち


「ギギッ、逃げろ! エギン」マハザエルが叫んだ。

 ここは第九スタジオの内部、約千三百平米の広い室内に、街並みを模したセットが組まれている所だ。しかし、忽ち足の踏み場もないくらい滅茶苦茶に破壊され、中にいたスタッフ全員がフリーズして、代わりに大天使たちが目覚めるという――ギャビーは、コルトを片手に物陰からマハザエルを狙い、レイフはエギンと奮闘する――修羅場になっていた。

 それは突然の襲撃だった!

 マハザエルを抱えた大コウモリのエギンが、巨大な羽根を羽ばたかせ、屋根を突き破り室内に侵入してきたのだ。そして、ギャビーとレイフを見つけるため、邪魔な舞台装置を徹底的に叩き壊しながら跳び回ったのだけれども、一瞬で彼女たちの覚醒が完了したことで、逆に奴らが砲撃される羽目になっていた。


――銃声が響く!――ギャビーは宙に舞い上がり弾丸を浴びせた。スタジオ内を一対になって飛び回る、奴らの後ろを捉えて発砲したのだ。

 一方、マハザエルたちは、その攻撃に対して必死の形相で逃げ惑っていた。彼女の容赦ない射撃で、一見聖人たちの方が有利に感じられた。とはいえ、相手は魔物。そう易々と仕留めさせてくれないだろう。

……と思っていたら、ここで急に異変が起こったか? 「えっ?」マハザエルの姿が、目の前から掻き消えたのだ。

 これには、ギャビーも戸惑った。奴がいなくなり、大コウモリだけが空を飛んでいるような画になったからだ。

 だが、暫し冷静になって考えてみたなら、

「そうだったわ。あの男はカメレオンの特徴を持っていたわねえ。体色を変えて背景に溶け込むのが得意な奴よ」とすぐにその理由を思い出した。

……が、その一瞬の隙が命取りになってしまう。気づくのが遅過ぎたようだ。突如、ムチを振るったかのような風切り音が鳴り、肩から胸にかけて衝撃が走った! 何か見えない物で叩きつけられたのだ。(つまり、飛行中にも拘らず、上空から襲い掛かってきた?)

「ううっ!」となれば、堪え切れない。彼女は痛みとともに錐揉み状態となって敢え無く地面に落下した。そして着地するも、「いたたた……」胸と背中の打撲の痛みで、体を横たえたまま天井を見上げるしかなかった。ただし、まだ気を緩めてはいけない。目には捉えられないが、気配がした。

「チッ!」ただちにギャビーは飛び退いた。思った通り、奴の強力な、まるで丸太のごとき尾が上から降ってきたのだ! 爬虫類特有の尻尾による攻撃か? とはいえ、その一打は、素早い動作のお陰で何とか防げた。

……と思ったが、次なる攻撃も目では捉えられなかった?

――忽ち、強音が鳴った!――気づいた時には、サイドから振り切った、凄まじいパワーの塊が飛んできた後だったのだ!

 彼女は、強烈な打撃を胴に貰った。あっという間に体は吹っ飛び、壁面へと激突させられる。そして、激痛で顔を歪め、仰向けに倒れ込んだ。銃も……既に手から弾かれて。


 とうとう、ガブリエルこと、ギャビー・ケイトが、ピクリともしないほど叩きのめされたではないかァー!





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