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第三話 恐怖のシナリオー4

 すぐさま大空へ舞い上がった。上空からの攻撃の方が有利との、俺様の判断だ。

 そして後は、神剣を構えたなら、奴の首を目掛け真直ぐ急降下!

 ところが、「うっ!」物凄い風が吹き抜けた。俺の体を爆風が包み込み、身動きを取れなくされたうえで、一気に後ろへ吹っ飛ばされた? 俺は敢え無く数十メートル後方へ、ほぼ叩きつけられた状態で着地する。

 えっ 何が起こった? この異常な現象に、当然ながら慌てた。そこで、急いで辺りを見回したところ、目にしたのは天候の急変だった。いつの間にか黒雲が湧き上がるとともに大粒の雨も降り出し、雷鳴までも轟いていた。どうやら、これは魔力のよう。それなら、もう一度アザゼルの方を凝視してみると……奴の影に隠れてはいたが、異質な者の存在を認める。ラクダの背中に跨る女? 否、美形の少年がいたのだ。そいつが手を左右になびかせるのに合わせて、暴風が巻き起こっているかのようだ。どうやらこの少年が気候を操って、俺にピンポイントで強力な風圧と痛いぐらいの雨粒を浴びせかけているということか? ならば、迂闊に動けないぞ。俺は膝をついたまま、剣を盾にして圧力から顔を護り懸命に耐えた。とはいえ、これでは埒が明かない。一か八か、攻撃あるのみよ! よって、そう決意したなら、再び翼に力を込めて飛び上がった。

 が、駄目だ! 強力な爆風に巻き込まれた。惨めな布切れのように後方へ吹き飛ばされ、「うっ!」不本意にも、電灯の支柱で背中を強打する。

 くうううーっ、何と強烈な痛みよ! 俺は悶絶する。堪らず剣を放り投げ、地面に転がり倒れた。

……と、そこに、この機をチャンスと捉えたに違いない、山羊男が地響きを立てて突進してきた。そして、恐ろしいほどのパワーを漲らせたであろう右拳を――(げっ! まずいぞ)――俺の顔面に向けて振り下ろしたではないかァー!

――忽ち、爆裂音のような轟音が響いた!――まさしく、その威力は砲弾並みか? 地面を凄まじく粉砕して土砂を噴き飛ばした! 結果、地表に爆発跡と見紛う直径二メートルの大穴と、数メートルに及ぶ蜘蛛の巣状のひび割れを一瞬で出現させたという。

 だが……何とか、俺の方は無事だった。辛くも体を捻ったため、ほんの数センチ真横で一撃を逃れることができたのだ。俺様の超人的な反射神経のお陰……。としても、まだ蜘蛛の巣に引っかかった虫のように仰向けに倒れている。しかも、奴の攻めは終わっていない。つまりこの体勢では危険極まりないということだァー! 

 とくれば、まさか、そんな……

――激烈な打撃音が鳴り響いた!――巨人の岩をも砕く大足が圧倒的な速度で放たれ、俺の顔を諸に打ちつけたのだった!

 何てことだ。とうとう奴の強力な蹴りを貰ってしまうなんて……

 俺は有無も言う間もなく宙を舞った。そして、奴のキック力によって――既に、相当なダメージを受けたにも拘らず――二十メートル先まで吹っ飛ばされたなら、川沿いの建物を覆うコンクリート塀へ、物凄い勢いで突っ込んでいったのだ!

――さらなる激しい衝突音が響いた!――コンクリートを粉々に粉砕して、辺り一面に欠片と粉塵を散乱させるほど、強烈に激突してしまった。

 俺は、知らぬ間に多量の瓦礫で埋め尽くされていた。うつ伏せになったまま微動だにもできず、そのうえ口元から生温かいものが流れているのを感じながら……

 そしてその直後、安らかな眠りにつくかのように、意識が遠ざかっていったのだった!―――― 



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