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果てしなきこの異世界で...  作者: コタツ警備員
一章 永遠に続くラビリンス
7/8

p.-1【I'm watching you】

少しでも、小説を描き続けていきたい

ハーフエルフ。

エルフと人間との混血の種族である為、双方の特徴を引き継いでる。

ファンタジー作品ではエルフと並び定番の種族と言えるが、


「特技じゃないけど、ボクが触れたもは全部爆弾になっちゃうんだよね〜。大陸を吹き飛ばす程度の威力だけど。でも不思議なことに宝箱とかは触ったらミミックに変わるんだけどね〜」


「ア、アイは植物に触れると腐敗させちゃいます。あとは物体に生命をあげて、新しい命を生み出せたりできます。アイが生み出した生命にはルーミアお姉ちゃんでも解毒が出来ない猛毒が付いちゃいます」


「… … …もしかして変な矢じりの矢に貫かれた事ある? 虫とかの装飾がされてるやつとかに」


「エルフって、不思議な異能持ちがいっぱいいるんだよ?」


「不思議すぎんだろ」


他のミオソティスのメンバーに劣らないほど癖が強かった。

流石に"エルフやハーフエルフなんて人の姿をした化け物だし、好物は恐怖と絶望に染まった人間だよ?"って無邪気な表情で言われたときは鳥肌がたった。

"人間よりパパの手料理の方が美味しよー"とは言ってはいたけど。

曰く、エロフなんて都市伝説、"餌をいたぶり、怯えさせ、恐怖が最高潮になるまで追い込んでから、ぺろりと美味しくいただく"、のがエルフなんて信じたくないけど。

まぁ、本当は怖いエルフとか、二人と好きな食べ物やら、普段の過ごし方とか、黒歴史の弁明やら他愛のない話を続け、出会った直後に比べればお互いに気を許せてきたんじゃないかとは思う。


「今のパパは何が得意なの?」


「あぁーこれと言ってないが、あえて言うならプリン作り。一回盛大にやらかした事はあるが味は好評だったぞ。作れるようになったら食べてみる?」


「え! 本当に!? 食べる食べる!!」


「アイは上にホイップクリームをかけてほしい!!」


「任せとけ、スペシャルなプリンを作ってやる。そろそろ皆に合流しようと思うんだが何処に向かえばいいんだ? 」


「僕たちの拠点だよ。アイ、お願い」


アイちゃんが大鎌を異空間から取り出し、大きく振りかぶる。

すると、空間にヒビが入り、広がっていくと… … …!

大きな音と共に砕け散り、眼の前に、白を基調とした壮大な城内、円卓の会議室が現れた。


「お姉ちゃん、準備できたよー」


「さぁーパパ、みんな待っているよ。はやくはやくー」


「あ、はい」


開いた口がなかなか塞いまま、彼女達と共に、円卓の会議室に入っていく。



――― 円卓の会議室 ―――


円卓といえば、アーサー王の円卓が有名どころだろう。

上座下座の概念がなく、囲うものは対等であるとされている。

ただし、序列を明らかにしたい場合は入口から遠い方を上座とする。

入口側に二つ、奥側に一つ、不自然な空席があるため、今回の場合は後者だろう。


「ようこそパパ。ミオソティスの拠点、"古城マラカイト"へ」


「お父さんの席はこっち」


改めて見れば、本とかでしか見たこと無い、歴史的なお城の一室だ。

どこか素朴ながらも、芸術的な椅子や円卓に既視感を覚え、日差しが入り込む幻想的な城内に、小学生の夏の日のような.なんとも言えない懐かしい感じがする。

辺を見渡せばアイちゃんがこじ開けた空間は、何もなかったかの用に閉じており、装飾品が施された扉、何処かの城を描いた絵画がある。

青を基調とした衣装に身を包み、会議が始まる時を今か今かとじっと待っている皆の姿からは、ただならぬ雰囲気が肌に伝わる。


「この席だよ。ドットお父さんでも接触したら腰を掛けれるように術式を組んである特別しよう。ソラお姉さん、ルイお姉さん、アトリアお姉さんの合作」


恐る恐る、椅子に向かって歩いてみと。


「すげぇ、違和感なく座れてる気がする。さっきと違って椅子の上でバタバタ忙しくしている感覚が無いし、なんというか最高。ありがとね」


「ますたぁに喜んでもらえて何よりです」


ルイも嬉しそうな顔で


「ご主人様の新しい記憶を隅々までみたかいがありました」


「お陰で、主殿に確認したいことが沢山できたよ」


微笑みを浮かべながら恐ろしいことを言ってきたアトリア。

ご愁傷さまじゃねぇーのよ、暁さんよ。

もう、3人の顔が新しい玩具を見つけた子供顔にしか見えない。


「【ここ最近で一番いい笑顔で草】」


「伊達に悪魔も泣き叫ぶ笑顔なんて言われていませんね」


「ガハハハ、それな!!」


「そこの鬼と悪魔は後で始末するとして、まずは貴方ですよ? 尾行がバレないとおもいで?」


ソラが告げると同時。

空間が揺らめき、黒装束の人物が現れた。


「□□□□□□」


黒装束から人とは思えない、ノイズがかかったような。

嫌悪感を覚える声が部屋に響き渡る。


「抵抗しなければ、魔法で楽に殺してあげます。ますたぁの前ではあまり残酷な事はしたくないので大人しく首を差し出してください」


「□□□□□□□□□」


「ふ、やれるものならやってみるピヨ」


「□□□□□」


黒装束が甲高い声を上げ叫ぶ。

たがソラを含め、尾行者の事なんか眼中にない様子だ。

そこら辺に生えている雑草のような扱いをされている事にプライドが刺激されたのか、

黒装束は更に声を荒げ、飛ぶように向かって… … …


「ちょうどよい被検体がいますので、篁様に魔法を教授いたしましょう。アニメやゲームと呼ばれる娯楽によく登場する用語、"魔法"。一部の地域では妖術や魔術、呪術と呼ばれていますが大体は同じものだと考えて下さい。真理に到達した賢者はこう言いました『魔法には無限大の夢がある。だが魔法に正義は存在しない、悪との区別もない』と」


「それって、"モザイク"やら"謎の光"とか、"不可解な表現を消す魔法"を作った、エロ賢者のセリフだろ。『"H"プラス"ERO"で"HERO"だ』って言って仲間の勇者にボコボコにされるおもしれぇー奴。よく、あんな風に魔法で地面に埋め込まれてたりしてたな」


暁が指を指す方向には、恐らくバエルの手によって動きを封じされてた追跡者がいた。

床にめり込んで、ピクリとも動かない。


「… … …あれ、生きてる?」


「生命反応、ある。どうツルク? 試しに溶かして、みる? キャンディーみたいに」


「えー、いい声で泣きそうだから僕は串刺しにしたいな〜」


「足の先から輪切りにしてホルマリン漬けなんかはどうだい? 額縁に入れて雇い主に送りつけようじゃないか」


「せっかくの珍しい刺客ですので、糸で操ってお礼にささやかなパーティーを開催いたしましょう。観客達の泣き叫ぶ声や命乞いが美味です」


「【それなら、ダチの異世界デビューを祝ってド派手に行くか】」


「いいね!! なら、ボクはドカーンっと花火を上げようかな。やるなら何人か残しておいてね。特製の花火玉を作るよ」


「会場の飾りつけはア、アイに任せて」


… … …どうしよう、話が飛躍しすぎて話についていけない。

尾行されてた事に対するお礼参りする事は分かったが、あれよあれよと決まっていってる。

なんなら招待状を送る対象者や住所も、全て特定済みってどうゆうことよ。


「おや、そろそろ仕上がりますね。あと五秒… … 四… … 三… … ニ… … 一… … 。これでお掃除完了。黒装束含めその関係者全員は居なくなりました。さて何か言いたそうな顔をしていますけど、確かますたぁってモールス符号ってのを理解できましたよね? 」


いきなり人を馬鹿にするかのような感じで、指で頭を叩きやがってなん

… … …あぁ、そう言うことか。


「… … … … … …まぁ、分かるちゃー分かるが救難信号しか分からんぞ? トントントンツーツーツートントントンって感じで、確か"音を出して"やり取りするな。実際にやりたいんだが、専用の機械がないかは無理やな」

 

「音デ意思疎通ガ出来ルトハ興味深イ」


「『俺が今の篁相手に、それやろうとしたらやべーがな!!』」


「もしもの時の為の薬はいくつか用意しているが、今の主殿に対して"どうすればいいか"の答えを導き出す事が出来ないからね。それを含めて主殿に共有しないとね」


「では、邪魔者が排除できた事ですし、そろそろ本題に入りますか。篁様の命に関わることですので目を食いしばって聴いてください。ではパーティーを始めましょうか」


開始の合図と共に、俺はみんなの口元へと意識を集中させた。



─────


「あぁぁーー疲れた」


パーティーもとい作戦会議が終わった後、以前俺が使っていたとされる部屋に案内され、簡単にここの説明を受けたあと真っ先にベッドに寝転んだ。

改めて部屋を見れば、宮殿のような内装とは打って変わって、アパートのような質素な室内で、家具の配置とか机の上に散乱した本とか自分の家のような感じでしっくり来る。

ドット状態の俺が問題なく使えるようにソラやルイ、アトリアの三人が魔法やら錬金術で色々やってくれたお陰でベッドの上でくつろげるのがすごくありがてぇ。

おまけに魔法で擬似的な睡眠を味わえるようにしているという話なので少し念じれば熟睡出来る設計。

今後の旅に関わるのでいずれは今まで通りに生活できるように試行錯誤中らしい。

精神的な疲労が溜まってるだろうから、ごゆっくりどうぞって言われた時は色々吹き出して泣きそうになったが。


「泣いてる場合じゃないんだよなぁ」


俺が今、置かれている状況は思ったより深刻らしいのだ。

姿が元にもる手段の確保や元の世界を探し出すことからしないといけないのに、"俺がこの姿になった時から動きを監視されている"。

しばらくは大丈夫とは言え、会議で "ずっと監視されてる"ってソラに口パクでモールス信号出した時はとっさに合わせたが、彼女達とは違い、俺には監視されているかの有無が分からない。

俺がぎゃーぎゃー騒ぎながら歩いている時から監視者を欺く為に動いてたらしく、この世界の仕組みやミオソティスとの関係性を正直に伝え、行動を制限させる為に俺のドット姿に関する嘘の情報をわざと知らせた後、拠点におびき寄せ尾行者やその関係者諸共始末。

話によればソラが俺に掛けた膨大なデバフや、ニールさんのエコーロケーションなど、尾行者に対するトラップだったとか。

その後は何事もなかったのように会議を行い、あれよあれよと情報を暴露する訳だが。

口から出る言葉は欺瞞だらけの適当な内容。錯乱させながら口の動きでモールス符号を表現して俺に伝達しする

これでバッチリとはいかず、ルーミア曰くお焼け石に水程度。

彼女達の見解としては俺をこんな姿にしたのは個人による行いに対して、俺を監視しているのは、"篁 謙仁の存在を消す"と言う思想を持った過激派の組織によるもの。

自分達と同等レベルの監視下かつその手の収集に長けている連中の場合、"魂の廻廊"を使わずにやり取りするとなると、情報解析も時間の問題らしいのでこればかりは手の施しようがないらしい。

それ故、俺に関する情報は相手に殺してくれって刃物を手渡しするような行為のようなものだから、おさら伝えられないらしいのでどれが嘘でどれが真かは不明。

皮肉な事にこの姿のお陰で、猶予があるらしいが敵対組織を潰さない事にはキューブに存在する膨大なディメンション、佰穣六京六阡六佰兆壱個からまだ開拓されてない三割の中から俺がいた世界を探し出すのは困難。

"桜色のドアとその枠"って名前のどこでもドアみたいな事なアィデルカがあれば即解決じゃねって思ったが、俺という枷がある以上、サポートしてもらいながら過酷な環境や最高クラスのエンティティを攻略するのは不可能。

過酷な環境って聞いて凄く暑いか寒いか思ったら、思考が抜け落ちる渓谷に死へ向かう洞窟、時が加速する砂漠、引力が反転する森やら馬鹿みたいな環境だ。

そんなところに適応とか無理だ。

それ以前に身体能力もなければ、自己防衛の為の体術も知らねぇ、知識もそんなにねぇ、チュートリアルの土俵すら上がれてない俺の現状を何かしないと駄目なわけ… … …


「あああああああああー!! やってやるぞくそったれ!! その前に休ませろ!!こちとら色々来とるんじゃちくしょー!!」


皆、今は出掛けて居ないし少々叫んでも大丈夫だろ。

そんなことを思いながらも、俺は彼女達が作った寝具を堪能しつつ眠りについた。


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