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生きるために強くなる ~だってゴブリンに転生しちゃったし~  作者: ミジンコ
第3章 元ゴブリンと魔族大陸と幼馴染魔王
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76話 温泉は気持ちいいようです

最近ちょっと煮詰まり気味になっているミジンコですが、最終回は決まっているのでそこまで頑張っていきたいと思います。

逆を言えば最終回以外決まってない……、ゲフンゴフン!! 大雑把な流れは決まっていますよ? ええ、決まっていますとも。

それよりもポケモンGO楽しんでいる方もいらっしゃると思います。かくいう私も普段いかない公園に出張ってポケモンを探しています。

昔プレイしたポケモンをスマホ越しにとはいえGETを楽しめるのは昔の憧れが適った気分です。

プレイしている皆さんも安全と健康に気を付けてプレイして下さい。

「こうして帝国を滅ぼした魔王ルシフはこの大陸を支配し魔族が暮らせる土地にしました。そして向こうの大陸の人間達からは魔族大陸と呼ばれるようになったのです」


 巨大な廊下でつい立ち止まってトラソルテオトルの話を聞き入っていたシーツァとトモエ、ソーラは、話が終わりペコリとトラソルテオトルが頭を下げるのをただボーっとしながら眺めていた。

 トラソルテオトルの語った物語が本当の話だった場合、魔族は怒りと悲しみに支配された大賢者の魔力に中てられた人間、魔物は様々な生物や植物、果ては石等の無生物が変化したものである。


 なるほど……。だから魔族は元は人間だったか……。記憶をなくしても箸の持ち方まで忘れないのと同じようなもんか……。それにしても――。


「へぇ~、ねぇトラソルテオトル、その話って誰が残したものなの?」


「初代魔王様であるルシフ様が書き記した物であると伝わっています。彼の方がこの事を忘れまいと書き残し【時空間魔法】で紙の時間を止め、それが今も執務室の書棚に残っているのです。気がつかなかったのですか?」


「あ、あはは……」


 1人考え込んでいたシーツァがふと思った事を質問しようとすると、今しがたしようと思っていた質問をトモエが一足早くトラソルテオトルに質問していた。

 トモエは返ってきた答えに藪蛇だったと一滴の汗を流しながら乾いた笑いを浮かべている。

 そんなやりとりをしながら歩き続けてようやくトモエの部屋の前にたどり着いたシーツァ達6人。


「ここが私の私室。んで反対側のこっちがシーツァ達の部屋よ。魔法で防音処理は施してあるから夜は気にしなくても問題ないわ。とりあえず部屋の中見てみようか」


 トモエに促されシーツァ達が自分達の住む予定になっている部屋に入るとそこには今まで住んだ事のあるどの部屋よりも広々とした部屋だった。

 さっき言っていた通りしばらく誰も使っていなかったのか床や家具には薄らと埃が積もっており、指でなぞるとその形跡がハッキリと残る。

 良く見てみると床にも自分達の足跡が残っており、シーツァは掃除が大変そうだ、と1人思った。


「あっちがシャワー室。と言っても泊まり込む兵士達が使うものだから狭くて湯船も無いわ。お風呂は私が使ってるのがあるからそっちを使って。んでそっちがトイレね。とりあえずはこれくらいかな。この部屋は好きに使ってくれて構わないから自由にコーディネイトしてね。必要な物があったら言ってくれれば手配するわ。とりあえず部屋を出て私の部屋に行きましょうか。掃除を手配しとくから」


「悪いな、何から何まで」


「気にしないで。流石に部屋を掃除させるのは気が引けるしね」


 部屋を出てトラソルテオトルに掃除を手配するように頼むと今度はトモエの部屋に入る。そこには物語の中でしか見られない様な天蓋付きの巨大なベッドが最初に目に入ってくた。

 床には赤い絨毯が敷き詰められており、他には姿見の鏡や巨大なクローゼット、大きめのテーブルにイスが2脚ほど置かれている。

 部屋の外側には大きな外開きの窓が2つあり、穏やかなベージュのカーテンが掛けられていた。


「ここが私の部屋。ほんとはもっとこぢんまりした部屋のがいいんだけどね。トラソルテオトル達がダメだって言って仕方なく住んでるの。広すぎて落ち着かないからいつでも遊びに来てね」


「スゲー広いな。昔のお前の部屋からは考えられん広さだ」


「天蓋付きのベッドなんて私初めて見ました。ラノベやゲームなんかでは良く見ましたけどまさかリアルで見ることになるとは思いませんでした……」


「ベッドも~、すっごく~、フカフカねぇ~。こんなベッドで~、寝てみたいわ~」


 みんなが思い思いにトモエの部屋を見ていると部屋の中にノックの音が響く。

 入りなさい、とトモエが促すと部屋の扉が開きそこには恐らくトラソルテオトルと同じ種族であろうメイドさんが立っていた。

 スカートの長い白と黒のクラシカルタイプのメイド服に銀色の髪が映える。


「トモエ様、お茶の用意ができました」


「ありがとう、テーブルの上に置いてちょうだい。あ、イスが足りないわね。悪いけど椅子を――」


「あ、イスなら私が用意しますよ」


 そう言ってスキル【道具作成・改】を使い部屋にある既存の椅子とまったく同じイスを3脚作り出し並べる。テーブルが大きめのおかげでイスが合計で5つになっても狭い思いをしない程度には間隔があった。


「すごいスキルね。ああ、もう下がってくれていいわ。また何かあったら呼ぶから」


「かしこまりました。失礼致します」


 優雅に一礼すると音も無く扉を開け閉めして出ていくメイドさん。足音もほとんどしていなかったことから相当レベルが高いのだと推測できる。


「それじゃお茶にしましょうか」


 メイドさんが立ち去った後5人は窓際のテーブルを囲み優雅なティータイムに突入した。

 テーブルの上には紅茶をはじめとしてクッキーやスコーン、マカロン等様々な物が置かれている。

 シーツァ達が日向でのんびりとお茶を飲みながら談笑しているとふとアイナが質問を投げかけてきた。


「そういえば~、さっきから気になってたんだけど~、シーちゃんと~、トモエちゃんって~、知り合いだったの~?」


「どうしたんだいきなり」


「いやね~、ちょっと気になって~、さっきからトモエちゃんが~、シーちゃんのこと~、暁って呼んでたり~、事故で死んだって言ってたけど~、それが不思議だったの~」


 アイナの質問にシーツァはトモエとソーラに目配せすると互いに頷きあうとアイナとシリルに向けて話し始めた。


「アイナ、それにシリル。今まで言っていなかったが俺とソーラ、それにここにいるトモエは元々この世界の住人じゃない。俺達はここではない地球という星の日本という国に生まれて俺とソーラは死んでからこっちの世界に転生したんだ。それで向こうの世界での俺の名前が暁だったんだ。だからトモエは長年呼んできたそっちの名前で呼んでるんだよ」


「私はこの世界に召喚された口ね。この姿、暁には違和感あるかもしれないけどこっちに召喚されて先代に魔王の因子を引き継がされたらこうなっちゃったのよ」


 シーツァとトモエの説明を興味深そうに聞いているアイナ。表情はいつもの微笑んでいる顔であるが紅茶を飲む手が止まっている事からそれなりに驚いているのが窺える。シリルの興味はテーブルの上に向いているのか黙々とクッキーを食べている。


「とりあえずこんな理由だ。今まで黙っててすまなかった」


 2人に向かってペコリとシーツァとソーラが頭を下げる。頭を下げた2人を見たアイナは微笑みながら首を静かに振った。


「いいのよ~、確かに~、突拍子もない話だものねぇ~。2人が言えなかったのも~、理解できるわ~。でも~、ありがとう~、教えてくれて~」


 アイナの答えにホッと胸を撫で下ろすシーツァとソーラ。どうやら嫌われるのではないかと内心思っていたのがそんなことも無く心から安堵している様だった。

 その後も談笑しながらトモエとソーラ達は親交を深めていき、女子特有のトークにシーツァはついていけず、途中から相槌を打つだけの存在になっていた。

 そして楽しい時間はあっという間に過ぎ、窓の外はもう日が落ちたのか暗くなっていた。テーブルの上には空のティーポットや菓子の乗っていない皿があり、食べ終わってからも長い間話し込んでいたようである。


「もうこんな時間か。楽しい時間はあっという間ね」


「そうですね。紅茶も美味しかったですし、久しぶりに地球の話もできました」


 そしてタイミングを計ったかのように部屋にノックの音が響き、先程のメイドさんが再び入ってくるとテキパキとテーブルの上に置かれていたティーセットを片し、また足音を立てること無く部屋から去って行く。


「さて、それじゃあみんなお風呂に行きましょうか! ここのお風呂は広いし沸きだしてきたお湯を少し冷まして使ってる自慢の温泉よ」


「「温泉!?」」


 シーツァとソーラの声がハモり、2人とも目を輝かせている。その様子をあらあらうふふと微笑みながら見ているアイナも温泉は楽しみらしく、大きな瞳が輝いていた。

 そして温泉の入口に到着したシーツァが目にしたものは昔銭湯等で見たことのある木彫りの湯の文字と青の男と赤の女と書かれた暖簾だった。


「シーちゃん~、これって~、字~? なんて~、書いてあるの~?」


「ああ、これは俺達が前に住んでた世界の日本の文字でお湯って意味の字と、暖簾の青い方は男、赤い方は女って書いてあるんだ。ウーフツの街でも風呂屋に行っただろ? あそこと同じで男湯と女湯って事だよ」


「なるほど~。じゃあ、今回もシーちゃんだけ~、別なのね~」


 暖簾をくぐり中に入ると、本当に日本にいるんじゃないかと錯覚させるような銭湯の脱衣所が眼前に広がっていた。

 流石に番台は無かったが、小さい冷蔵庫らしき物と木製の棚に竹か何かで編んで作った籠があり、なぜか安っぽい体重計にマッサージチェアまでが置いてあった。


 うわっ、この体重計動くし……。まさかマッサージチェアも――動くな。どうなってるんだ? まさか日本から持ってきたのか?


 疑問を覚えながら着ていた鎧を【異次元収納(アイテムボックス)】に収納し、衣服を脱いで籠に入れる。取り出したタオルを腰に巻き磨りガラスの引戸をガラガラと音を立てて開けると目の前にはムワッとした空気と白い湯気が立ち込めていた。

 大きめの石で囲まれた湯船とシャワーと蛇口がある洗い場、そして何よりも上を見上げれば日本でも限られた地域でしか見ることのできない満天の星空が広がっていた。


「「うわー、良い景色だなー」」


 ん?


 違和感を覚えたシーツァがふと右に顔を向けると、そこには同じように左に顔を向けシーツァを見ているソーラの姿があった。

 しばらく時間が止まったかのようにお互いを見つめ合うことしばし、その静寂の時間はあっけなく破られた。


「きゃああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!? なんでシーツァが女湯にいるの!?」


「それはこっちのセリフだ! 俺だって男湯からこっちに来て……。まさか……!」


 風呂場の床にしゃがみ込み体をタオルで隠そうとするソーラと180度反転してソーラを見ないようにするシーツァ。そんな2人の姿を見て今回の元凶であるトモエが満面の笑顔で風呂場に現れた。


「言ってなかったっけ? 脱衣所は別だけど温泉は混浴だよ?」


「「言ってないっ!!」」


 いたずらが大成功したと言わんばかりの表情で笑うトモエをソーラが恨めしそうに睨み付けるが、そんなものどこ吹く風と言わんばかりに堂々とその綺麗な裸体を惜しげもなく晒すようにして仁王立ちするトモエ。その胸部は仲間内で一番小振りなソーラと比べても悲しくなるぐらいに絶壁であった。


「てかあなた達今更裸を見られたからって恥ずかしがるような間柄じゃないでしょうに」


「寝室でなる時とこういう時とは別ですっ!」


 トモエは笑いながら洗い場に向かうと、シャワーからお湯を出し頭を洗い始める。ポニーテールが解かれ、綺麗な紅の髪はお湯に濡れて肌に張り付き、幼い身体つきからは想像できないほどに艶めかしかった。

 シーツァとソーラもようやく入ってきたアイナとシリルと共に髪を体を洗っていく。


 い、いかん。前に風呂屋に行ったときは別々だったから平気だったけど、女の子が髪や体を洗う姿って寝室で見る裸よりも艶っぽくてヤバい……。静まれ! 静まるんだ俺!


 何とか鋼の自制心で心を落ち着け一心不乱に体を洗い、耐えきったシーツァは未だ体を洗っている女性陣よりも一足早く温泉に浸かった。

 少し暑い温泉の湯がじんわりと身体に染み込んできて吐く溜息と共に疲れが出ていくような錯覚を覚える。

 目を閉じて浸かり続け、あまりの気持ち良さに夢見心地になっているシーツァの耳にちゃぷんと水に何かが入る音が聞こえてくる。

 目を開きそちらを見てみると、体の全面を白いタオルで隠しながら恥ずかしそう顔を赤く染めながらにシーツァの隣に入ってきた。


「恥ずかしいからあんまり見ないでね」


「あ、ああ」


 しっとりと濡れた肌が仄かに赤く染まっておりいつも以上の色気を醸し出す。シーツァはそんなソーラに今にも襲い掛かりたい気持ちを何とか抑え込み平常心を保った。


「どう暁? いいお湯でしょ?」


 そういいながら恥ずかしげもなく裸身を晒し、ソーラと反対側のシーツァの隣に入り込むと、大きく息を吐いて完全なリラックスモードに入った。

 完全無欠なまでに絶壁な幼児体型を広い湯船に大きく広げ、力を抜いている。

 そんな姿にゴクリと唾をのみ込んだシーツァの視線に目ざとく気が付いたトモエは意地の悪い笑みを浮かべる。


「どうしたのー? 私の体を見て欲情しちゃったー? いいのよー、私も暁のお嫁さんだしー」


「いや、ま、まあ初めて見るからな。綺麗な体だし、見惚れるのもしょうがないだろ」


 テレながら言うシーツァの言葉に「そっか……」と小さく呟くと、火照って仄かに赤くなった顔を更に赤く染めながら顔の下半分を温泉に沈めた。


「あら~、良い雰囲気ですねぇ~」


「がぅ、温泉。気持ちよさそう」


 その声と共に体を洗い終わったアイナとシリルがシーツァ達のいる湯船にやってきた。

 2人とも体をタオルで隠すことをせず堂々と歩いてきたため、大きい胸が歩く振動に併せて縦横無尽に揺れ動いた。

 湯船に2人が入ると、先に入っていたソーラ達と同じように大きく息を吐出し体の疲れを取るように全身を弛緩させる。

 そして湯船にはアイナの胸がその存在をしっかりと誇張するかのように浮き上がっていた。


「ソーラちゃん……、胸って大きいと浮くんだね……」


「はい、私は前に風呂屋で見てますが……、前より大きくなってますよトモエちゃん」


 ソーラとトモエは死んだ魚のように濁った瞳でアイナの湯船に浮かぶ胸を見つめると、視線を下に向け、決して湯船に浮かぶことの無い胸をペタペタと触り絶望に打ち震えていた。

 シーツァを挟んでまったく同じ行動をする2人は胸に手を当てたまま互いに視線を向けるとどちらからともなく右手をさし出し固い握手をする。ちっぱい同盟結成の瞬間であった。

 そんな2人の姿に溜息を吐きながらも周囲の男の楽園(パラダイス)を見回し、しっとりと濡れて普段よりも色っぽさが倍率ドンの更に倍になっている女性陣の姿に襲い掛かりたい心を全身全霊で抑え込んでいるシーツァの心を星空だけが見透かしていた。

ちっぱい同盟結成です。どっかのエロゲでも似たような物が結成されてました。主に軍師'sによって。

ここでの同盟はソーラとトモエのみです。シリルはそもそもそんなこと気にするようなタイプではないですからね。

王者の貫録溢れるアイナは周囲を気にすることなく温泉に浸かり堪能しています。いつの時代も勝者は余裕溢れるものですね。



ここまでお読みいただきありがとうございます。

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