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生きるために強くなる ~だってゴブリンに転生しちゃったし~  作者: ミジンコ
第3章 元ゴブリンと魔族大陸と幼馴染魔王
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60話 子供達を救出するようです

最近出勤する日に限って雨が多く、若干ゲンナリ気味の日々を過ごしています。


 ミリアムと共に路地の奥へ進むこと約10分。所謂貧民街(スラム)と言われる場所を歩いていた俺達の目の前に姿を現したのはボロボロに朽ち果て、雨風を凌げるのかと疑問に思えるような有様となった教会だった。

 打ち捨てられた教会はもう何年も手入れがされていないらしく、屋根には穴が開き、壁は崩れ、何故崩壊せずにいるのか不思議に思えるくらいだ。

 周囲の建物もそれなりにボロくなってきてはいるがこの元教会だった廃墟には敵わないだろう。


「ここが私達の生活している場所です。私の他に5人の子供が身を寄せ合って過ごしています」


「そうなのか? その割には中に人の気配が1つも無いんだが……」


「え? そんなはずは……。トールー、キリクー、アリアー、ブレダー、クルルー。いないのー?」


 俺の疑問の言葉を聞いたミリアムが仲間達の名前を呼びながら教会だった廃墟に入っていく。

 少し経つと廃墟の奥まで入っていったミリアムが血相を変えて飛び出して来た。


「た、大変です! みんなが散らばってていなくて血もあってそれで――」


「とりあえず落ち着け。説明はそれからでも遅くない」


 目尻に涙を溜めながら必死に中の状況を説明するミリアムだが、気が動転しているためか言葉が支離滅裂になっていた。

 そんな少女を抱き寄せ小さな頭を撫でてやると、耳まで真っ赤にしながら別の意味で気が動転しているようだったが、しばらく撫で続けると次第に落ち着いてきたのか体の震えが治まってきた。


「よしいい子だ。もう一回中の状況を教えてくれ」


「あう、え、えと、中には誰もいなくて、それでお皿とかいろんな物が散らばってて、ちょっとだけど血があったんです」


 なるほど、多分だけど争った形跡ありか。小さい子供だからたいした抵抗はできなかっただろうけど。血の方は多分殴られた時にでもついたんだろ。さて、子供達は何処に連れ去られたんだ?


 【気配察知】の範囲を広げると、丁度この廃墟から遠ざかっていく複数の大人と、それと同じ速度で移動している子供の気配があるのに気がついた。

 大人の人数は7人で子供は5人いることが確認でき、子供の数はミリアムが言っていたのと合っているため、十中八九この廃墟に住んでいた子供だろう。


「安心しろ。すぐに連れて帰ってくるから。ソーラ達と一緒にここで待ってるんだぞ? ソーラ、アイナ、シリル、ミリアムとマトモスを護ってやってくれ。俺はちょっくら子供達を助けてくる」


「分かりました、任せてください。さ、ミリアムちゃん、しばらく私達と一緒にいましょうか。大丈夫ですよ。お友達はシーツァが必ず助けてきますから」


「マトモスも悪いな」


「いいんですよ。子供達の危機ですし、父がもっと真面目に内政に取り組んでいればこんな事にもならなかったかもしれませんから」


「そうか。それじゃあ行ってくる」


 ソーラ達に見送られながら【空間機動】で空中を足場にし一気に屋根の上まで駆け上がると子供達の気配のする方向に全速力で駆け出した。

 都合の良いことに屋根の高さが殆ど同じなため駆け抜けるのにそれほど苦労はせずに済み、子供達を連れ去った大人達とは自力の速さが違うため、あっという間に追いついた。

 7人の男達の内、子供を抱えているのは5人で残りの2人は前後に位置取るようにして走っている。


 ふーん、とりあえず何かあっても対処できるように武器を抜いているのが前後に配置してあるのか……。それにしても子供達が動く気配が無いな……。ふむふむ。【看破】によると少年1人と少女3人は薬でも嗅がされているのか状態異常:眠りになっているな。ただ1人だけ男の子がちょっとやばいな。多分仲間を護るために抵抗したんだろう、男共に殴られたのかHPが1割切ってるな……。かなりヤバイ状態だ……。


 よく見ると瀕死の少年は頭から血を流した後があり、今は止まっているものの結構な量が流れたであろうことが窺えた。


 さて、此処で助け出すのは楽勝では有るんだがどうしようか……。このまま【気配遮断】して追い続けて奴等のアジトでも見つけ出して殲滅するか……。どうするかな……。んーよし、逆恨みされても面倒だから殲滅するか!


 そう決めてから人攫い共を追いかけること約10分。男共が入っていった建物は貧民街(スラム)にある他の建物よりも大きく、小奇麗な屋敷であった。

 門の所に2人の見張りが立っており、人攫いの男共が見張りに挨拶して攫ってきた子供達を見せると互いに下卑た笑みを浮かべ、1人残してそのまま屋敷に入っていった。


 とりあえず見張りが1人になったのは好都合だな。静かに殺して俺も中に入らせてもらうとするかね。


 音を立てることなく残った見張りの背後に降り立つと男の口を手で塞ぎ、飛び降りる直前に作り出した短剣で男の喉を掻っ切って殺す。

 すぐに【深淵魔法】を発動し、死体を当人の陰から湧き出してくる骨の手によって影の中に引きずり込ませた。


経験値を42手に入れました。


 周囲に残った血の臭いを【旋風魔法】で吹き飛ばし、地面に飛び散った血液を【土魔法】で始末すると再び【気配察知】でドアの近くに誰もいないことを確認すると静かに屋敷の中に侵入した。

 中は調度品の類は置いていなかったが意外と綺麗になっており、外見と同じくとても貧民街(スラム)にある建物とは思えなかった。

 【気配察知】を頼りに奥へ進んでいくと目の前にしっかりとした作りの扉が現れ、どうやら気配の主達はこの部屋の中にいるらしい。


 さて、どうやって侵入しようか……。あ、丁度良いスキルをこの前手に入れたんだった。あれから1回も使ってなかったからすっかり忘れてた。


 ステータスを見ているとこのまえテスカトリポカから手に入れた【霊体化】のスキルがあることに気がついた。

 スキルを行使すると体が徐々に透明になっていき、扉に触れようとするとそのまますり抜け、誰にも気付かれることなく中に入ることができた。

 そしてちょうど部屋の中に入りきった瞬間部屋の奥に座っているガタイの良い男から怒声が部屋中に響き渡った。


「バカヤロウ! 折角の商品を殺しかけるとかテメェ何考えてやがる! 下がった分の価値をテメェの命で償えるのか! あぁ!!」


「ヒッ、す、すいやせんお頭。なにぶん死角からいきなり襲い掛かってきたもんで咄嗟に手が出ちまったんでさぁ」


 怒り心頭のお頭にひたすら頭を下げながら弁明をする人攫いの1人。

 その足元に転がっているのは瀕死の状態になっている少年だった。


「バカか! たかがガキが襲い掛かってきたぐらいでびびってんじゃねぇよ! どーすんだよその死にかけのガキ。ここには【回復魔法】使える奴なんざいやしねぇぞ。おいテメェ! ペコペコアホみてぇに頭下げてる暇があったら【回復魔法】使える奴かポーションでも探してこいや! 見つけてくるまでにガキが死んだらテメェも殺すからな! わかったか!」


「は、はいぃぃぃぃ!!」


 お頭の一喝で一瞬体を硬直させた男はすぐに回れ右して部屋を飛び出したて行った。


「ったくホントにどーすんだよこれ。ぜってー間にあわねぇぞ。折角の商品だってのに……」


「それなら俺が治そうか?」


 【霊体化】を解除してお頭の横に立つとごく自然を装って提案する。


「お!? そうか助かったぜ。折角の商品に死なれたら困るからな」


「いやいやお安い御用だよ」


 瀕死の少年に向かって【回帰魔法】を使い治療してやると、青かった顔色に血色が戻り、浅い呼吸をくり返していたのが徐々に落ち着いた普段通りの呼吸に戻っていった。


「これでよしっと。そいじゃ俺はこれで」


「ああ、お疲れさん――ってちょっと待て! 誰だテメェは!」


 少年を小脇に抱えてごく自然に出て行こうとする俺を我に帰ったお頭が呼び止める。


「あまりに自然すぎて危うく逃がすところだったが然うは問屋が卸さねぇぜ。何者(ナニモン)だテメェ……。ウチの人間じゃねぇなどこのまわしもんだ」


「どこもなにも、ただの友達を想う少女からのまわしもんだよ。とりあえず俺は優しいから選ばせてやるよ。苦しんで死ぬか、それとも酷く苦しんで死ぬか。好きなほうを選びな」


 俺の挑発にお頭を含めた人攫い共が一斉に色めき立った。

 配下の男達はすぐにそれぞれの獲物を抜き放ち、お頭の号令が有り次第すぐに襲いかかれるように構えている。


「それはテメェの末路だろーが! オメェ等さっさとこのバカをぶち殺せぇ!!」


 雄叫びを上げて四方八方から襲い掛かってくる配下の男達の肩を狙って【異次元収納(アイテムボックス)】から次々と槍をいつものように【物理魔法】を使って射出する。

 男達は何も無い空間からいきなり飛び出してきた槍に一切の例外なく肩を槍で貫かれ、その勢いのまま部屋の壁に昆虫標本の如く磔にされた。


「「「ぎぃやぁぁぁぁぁぁ!!」」」


 部屋の中に磔男達の耳障りな悲鳴が木霊する。

 突然の出来事にお頭は呆然と立ち尽くしており、こちらが顔を向けると小さく「ヒッ」と漏らすと1歩後ずさった。


「さて、肝心のお仲間はこうして昆虫よろしく磔になってるんだが……。お前はどうなりたい?」


「く、くそがぁぁぁぁ!! 舐めるんじゃねぇぇぇぇぇ!!」


 自分が後ずさったことに酷くプライドを傷つけられたお頭は俺の挑発に簡単に乗り、ヤケになったように自慢の大鉈を振り回しながら突っ込んできた。


「死にさらせぇぇぇぇぇ!!」


「そんな大振りがあたるか」


 大上段から一気に振り下ろされた大鉈は虚しく空を切り、そのまま部屋の床に大きな亀裂を入れた。


「畜生がっ! まだだっ!」


「させるか……よっ!」


 再び攻撃するために引き抜こうとしていた大鉈を踏みつけ固定すると、大鉈に乗せた足を軸にしてお頭を蹴りとばす。

 勢いよく壁に激突したお頭はそのまま気を失ってしまった。


「やれやれ、もう終わりか……。ま、あんまり騒がしくして子供達が起きてきてこの光景を見せることになったら教育に悪いからまぁいいか。あんまり待たせるとミリアムが心配するからな。さっさと終わらせて帰るか」


 そう決めるとすぐさま行動に移す。

 まず壁に刺さっている男達の手足を斬り飛ばしてから槍を引き抜く。

 またしても耳障りな叫びが聞えたが無視して槍を【異次元収納(アイテムボックス)】に放り込んだ。

 次に気絶しているお頭を部下と同じように手足を切断するとあまりの激痛に気絶から覚め、威厳の欠片もない絶叫をあげた。


 さて、後は子供達を回収してさっさと撤収しますか。何時までも野郎の絶叫なんか聞いてたくないし。


 【物理魔法】で次々と子供達を宙に浮かせ、いつかの母娘見たいに連れて行く。

 玄関まで来た時、バンッ! と大きな音がして玄関の扉が勢いよく開かれると、そこにはミミナートの街に入ってすぐに出会ったチンピラ達がいた。


「アジトから絶叫が聞えたから来てみれば、テメェなにしやが――」


「うるさい。邪魔だからさっさと死ね」


 チンピラがセリフを言い終わる前に【旋風魔法】で仲間共々縦に真っ二つに切り裂いた。

 死体を風で脇に退けそのまま外に出ると屋敷を振り返る。


 あのままでも失血死するだろうけど下手したらアンデッドになって黄泉返る可能性があるんだよなー。面倒だけど焼却処分しとくか。生きたまま焼かれるのは苦しいだろうしな。


「【炎の竜巻(フレイムトルネード)】」


 魔法を口にすると目の前の屋敷を包み込むように巨大な炎の竜巻が巻き起こり周囲に高温を撒き散らす。

 流石に大規模火災にするつもりは無いので周りに燃え移らないように炎の竜巻の周囲に【旋風魔法】で真空の壁を作り上げ火と熱を遮断する。

 炎に包まれている屋敷の中から男達の絶叫が聞えてきたが、炎により屋敷内の酸素が失われた為か、それとも炎の熱で死んだ為かは分からないが次第に聞えなくなっていった。


経験値を562手に入れました。

スキル【鼓舞Lv.1】を習得しました。

スキル【斧術Lv.1】を習得しました。【斧術Lv.1】は【斧鬼Lv.1】に統合されました。


 5分程で炎の竜巻は消え、屋敷があった場所にはもう焼け焦げた瓦礫しか残って折らず、生存者はどんなに甘く見積もっても存在しなかった。


「さて、子供達も救出し終わったし、とっとと帰るか」


 再び屋根の上に飛び上がり、ソーラ達の待つ廃墟へと向かって走り出す。

 その周囲には丸くなって眠る5人の少年少女達が付き従うように浮かんでいた。

無事に子供達を救出することが出来ました。

薬で眠っていた子供はともかく瀕死だった子供はよくあの絶叫の中で目覚めなかったなと思います。

書き終わり、投稿する寸前に思い出したのですが、お頭や部下の男達の手足を切断しなくても【強痺撃Lv.1】があるんだからそれで麻痺させればいいんじゃね? と思いました。

まあ、今この瞬間まで【強痺撃Lv.1】の存在忘れていたんですけどね。

【猛毒撃】ともども出番はあるんでしょうか……。


ここまでお読みくださりありがとうございます。たくさんのブックマークに感謝の言葉しかありません。

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