59話 ミミナートの街での出会いのようです
今回少し短いです。
最近買ったブルーレイのアニメを見る暇が無く積み上がっていく悲しみを覚えます。
どこかで一気に見ないと……。
マトモスを一行に加えミミナートの街を目指していた俺達はついに目的の街に到着した。
ミミナートの街の入口である門ではマトモスが一緒にいるためか、列に並ぶことも無くすんなりと入ることができた。
「ようこそみなさん、ミミナートの街へ!」
俺達の前に飛び出しこちらを向くと両手を広げて歓迎の意思を表すマトモス。
「へぇ~、これがミミナートの街か。なんかウーフツの街とは違ってあんまり活気が無いような気がするな……」
周囲を見回してみるとメインストリートらしき大きな道を発見した。
武器や防具、装飾品を扱っている店から消耗品を扱っている店、食材を扱っている店など様々だが、店からの客を呼ぶ声は疎らでとても賑わっている様には見えなかった。
街を歩いている人の数もそれほど多くなく、皆一様に気力が無いように見える。
そんな活気の無い街のメインストリートを歩き、マトモスの住んでいる屋敷を目指して歩いていると路地から小さな影が飛び出してきてソーラにぶつかった。
「きゃっ!」
突然の衝撃につい尻餅をついてしまうソーラのすぐそばにはぶつかってきたと思われる小さな女の子が同じように尻餅をついていた。
パッと見8、9才で腰まである長い茶色の髪は手入れがされていないのかボサボサで伸びるに任せたといった感じである。
前髪に隠れた顔は少し痩せてはいるが整った顔立ちをしており10人中9人は美少女だと断定するだろう。
服もボロボロで、服というよりも粗末な布を体に纏っているといったほうがしっくり来る出で立ちであった。
「イタタ……。はっ、す、すいません! 怪我してないですか!?」
突撃少女は我に帰るとすぐに立ち上がり、まるで水飲み鳥の如く何回も頭を下げる。
「私急いでて、よく前を見てなくってそれで――」
「待てやクソガキィーー!! 大人しく捕まりやがれやぁーー!!」
ドタドタと路地裏から複数の男が少女を追いかけるようにして飛び出してくる。
男達は皆ガラがいいとは言えず、どっからどう見てもチンピラかゴロツキにしか見えない風貌をしていた。
男達の登場に少女は怯えを隠すことなく俺の後ろに逃げ込む。
どうやら少女はこのチンピラ共に追われているらしかった。
「おうにいちゃん、痛い目に会いたくなかったらそのガキをこっちに渡しな。そうすれば見逃してやるよ」
俺の後ろに隠れている少女を見るや否や上から目線で少女の引渡しを要求してくる男にとりあえずありきたりではあるが質問をしてみる。万が一少女が盗み等をしていた場合、問答無用で男達をボコしてはこっちが悪者になってしまうからだ。
「お前等どうしてこの子を追いかけてたんだ?」
「あぁん? んなことテメーには関係ねーだろうがよ。単にそのガキの見た目がいいから適当に攫って奴隷として金持ちに売りつけてやろうと思っただけだよ。そんなことよりよく見たらテメェの連れてる女もかなりの上玉じゃねぇか。俺達が楽しんだ後売り飛ばしてやるからこっちに寄越しな」
なんだろこいつ等……、マトモスを追いかけてた奴等の仲間か? 言動が同じすぎてちょっと困るんですけど……。いやね? 怒ってないわけじゃないんだけどね? なんてゆーかテンプレすぎて流石に飽きてきたとゆーかなんゆーか……。
「おい、何ボケッとしてんだよ。さっさと――」
「ア、アニキ!」
1人考え込んでいる俺の態度に焦れてきた男がさらに理不尽な要求を突きつけようとした時、すぐ隣で下卑た笑みを浮かべていた小柄な男がマトモスを見た瞬間凍りつき、リーダー格の男に悲鳴にも似た声を掛けた。
「ああん? んだよいいところなのによ」
「あいつ、あいつ見てください!」
「あん? アイツがなんだってんだよ」
「あいつ、ギール家の三男ですよ! 流石にマズイですって!」
「ちっ仕方ねぇ! お前等ズラかるぞ!」
「「「へい!」」」
リーダー格の男は手下を引き連れて路地の奥へと消えていった。
嵐のようにやってきて嵐のように消えていった男達に皆呆気に取られたように立ち尽くしていると、俺の後ろに隠れていた少女の声で皆が我に返った。
「ごめんなさい……、ぶつかった上に巻き込んじゃって……」
「いいんだよ。あんな奴等が何千何万襲い掛かってこようが物の数じゃない。ところでお前さん名前は? 俺はシーツァ。しがない旅人だ。よろしくな」
「私はミリアムです。この路地の奥にあるスラムで他の子供達と生活しています」
ミリアムが自己紹介をするとソーラ達も同じように自己紹介をする。
アイナはミリアムが可愛かったのか、音も無く自然に接近するとそのまま抱きしめた。
豊満な胸にミリアムが埋もれるのもお構い無しにしていたため、窒息しかかっていたのはミリアムにとって運が良かったのか悪かったのか判断に迷うところである。
まあ、男の俺からしたら天国以外の何ものでもないんだけどな。
そんなしょうもないことを考えていると、ピクピクし始めたミリアムをソーラとシリルが救出し、助け出されてようやくまともに呼吸ができるようになったのか大きく息を吸ったり吐いたりしている。
そんなミリアムにほんわかした笑みを浮かべながら謝るアイナがいた。
「なあマトモス、お前を屋敷に送るの少し遅れてもいいか?」
「ええ、もちろん構いませんよ。特に急いでいるわけでもないですからね」
「そうか、ありがとう。なあミリアム、1人だとまたあのアホ共に襲われるかも知れんから送っていくよ」
「い、いえ、そんな悪いですよ。路地の奥は治安が悪いですから、またご迷惑をおかけするかもしれませんし……」
俺の突然の提案に慌てふためきながらも遠慮するミリアムの頭に手を乗せると、優しく撫でながら言った。
「気にするな。こうして会ったのも何かの縁だ。それに治安が悪いならなおの事1人で行かせるわけにもいかんだろ。それに、力になれることもあるかもしれないしな」
「あ……あう、ありがとうございます……。そ、それじゃあ、よろしくお願いします……」
にっこり笑う俺の顔を見たミリアムは耳まで真っ赤にしながら俯き、蚊の鳴くような声で感謝の言葉を口にした。
新しい女の子との出会いです。今の所ヒロイン化する予定はありません。人間ですし……。
小さな女の子である理由は私のしゅ――ゲフンゲフン! やっぱり女の子の方が花があると思ったからです。他意はありません。本当ですよ?
ここまで拙作を読んでいただきありがとうございます。