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生きるために強くなる ~だってゴブリンに転生しちゃったし~  作者: ミジンコ
第2章 ゴブリンと冒険者ギルドと死者の王
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47話 母娘の再会のようです

 屋根の上からヤラシスが屍鬼(グール)に貪り喰われている光景を眺めていると、やがて屍鬼(グール)達は捕食が終わったのかバラバラに移動し始める。

 ヤラシスがいた筈の場所には大量の血液だけが残っており、他は骨の一片すら残っていなかった。


 残った身体が無いんじゃ屍鬼(グール)に変貌することも出来やしないな……。ま、悪い奴にはお似合いの末路だろ。


「【土の弾丸掃射(アースバレットバースト)】」


 バラバラに移動し始めた屍鬼(グール)達を片っ端から魔法の弾丸で頭を吹き飛ばし始末していく。

 魔法を打ち終わる頃には動いている屍鬼(グール)の姿は1体として無かった。


経験値を228手に入れました。


スキル【感染】を習得しました。


 さて、これからどうしよう……。助けた2人はとりあえず冒険者ギルドまで運んでやらないとな……。後は……。


 【気配察知】を使い、目的の人物を探し始めた。

 まだかなりの生存者が家の中にいるが、路上にはほとんど生存者がいないのがよく分かる。


この女の子によく似た気配は――よし、これだな。まだギリギリ生きてるみたいだな。今ならまだ間に合うかもしれない。


 【物理魔法】を使い名も知らぬ少女と女性を持ち上げると民家の屋根の上を目的の気配に向かって走り始めた。

 途中魔法で持ち上げてる2人が起きないか心配だったが、都合よく目が覚めることはなく、あまり揺らさないように注意しながら出来る限りの速さで駆け抜けた。

 そして屋根と屋根の間を7階程飛び越えると下の路地で屍鬼(グール)に両腕と両脚を喰われている女性の姿を発見した。

 幼い女の子と同じ髪の色とどことなく似ている顔つき、そして似ている気配から彼女が女の子の母親だとすぐに分かった。

 現在喰われているのは腕や脚だが、どうやら腹部も喰い千切られていたらしくかなりの血が流れていた。


 急いで助けないとまずいな……。ただ、魔法の弾丸だと母親にまで当たりそうだし、かといって近づいて斬り殺すのもミスったら母親ごと斬りそうだしな……。何かいい方法は……。


キョロキョロと周辺を見回すと気絶している女性が目に入った。


 そういえばこの人は魔法で引き寄せたんだったな。そうだ! 別に魔法で女の人を引き寄せる必要なんてないんだ。屍鬼(グール)を引き寄せてからこっちに届く前に斥力で弾き飛ばせばいいんだ! そうと決まれば早速!


「【引力(アトラクション)】んでもって【斥力(リパルション)】」


 【物理魔法】を使い屍鬼(グール)を引き寄せてはこちらに届く前に別の方向へ弾き飛ばす。

 同じ作業を他の3体にも行い、離れた所に飛ばされた屍鬼(グール)は落下の衝撃で頭が潰れていたり、本来曲がってはいけない方向に首が曲がっていたりして動かなくなっていた。


経験値を48手に入れました。


 経験値が入り屍鬼(グール)が死んだことを確認すると女の子と女性連れ、瀕死の女性の下へと降り立った。


「おい、まだ生きているな?」


「あ……あな……たは……?」


「俺はただのしがない冒険者だ。あんたはこの女の子の母親か?」


「リーナ……よかった……、無事……だったの……ね……。はい……わた……しは、その子……の母お……やです……」


 宙に浮いている娘の姿を見て一瞬目を見開き、途切れ途切れではあるが俺の質問に答えた。


「私は……もうたす……かりません……。ど……うか……その子を……たすけ……てやって……くださ……い……」


「助かるかどうか決めるのはあんたじゃない。それにこの子にはまだ母親が必要だろう?」


 血塗れで今にも息絶えそうな母親に手を向け【回帰魔法】を発動させる。

 みるみるうちに母親の屍鬼(グール)によって喰い千切られた腹部や両手両脚の肉が再生し、大量の出血で青白さを通り越しかけていた顔色も次第に血色を取り戻していった。

 屍鬼(グール)に喰われた怪我が完全に再生すると、母親は信じられない様な目つきで自分の手足を眺めている。

 そんな母親の下にに浮かんでいる幼い女の子――リーナを運んでやる。

 気絶はしているが安定した呼吸から生きていることが分かると目に一杯の涙を浮かべ力の限り抱きしめた。


「ああリーナ! 生きててよかった! もう2度と会えないと思ってた!」


「ん……あ、おかーさん……。おかーさん……おがーざーん!!」


 母親の熱い抱擁で目を覚ましたリーナは最初寝ぼけているのか普通に母親を呼んでいたが、次第に意識がハッキリするにつれて今までの事を思い出し、顔を涙と鼻水で再びグチャグチャにして母親を強く呼びながらしがみついた。

 お互いの無事を喜び合っている2人を見ながら【看破】を使い母親の状態を確認する。

 状態の項目で感染が消え健康になっているのを確認すると人知れず安堵の息を漏らした。

 しばらくすると女の子は泣き疲れたのか眠ってしまい、眠った娘を母親は抱いて立ち上がり俺に向かって礼を言ってきた。


「この度は私と娘の命を救っていただいてありがとうございます。あなたのおかげで私は死なずに済みましたし、生きてこの子と再会できました。このご恩は一生忘れません」


「気にするな。街のアンデッド共を駆逐している途中で偶然その子に出会ってな。母親を助けてって泣いてたから助けただけだ。感謝ならその子にするといい。それよりもここは危険だ。すぐに冒険者ギルドに連れて行くから今度はその腕に抱いた温もりを手放すなよ」


 【物理魔法】で親子を持ち上げると【空間機動】で屋根まで飛び上がり、冒険者ギルドへ向けて走り始めた。屋根まで飛び上がった時母親が悲鳴を上げていたが、緊急時という事で許してもらおう。

ご都合主義万歳回です。

単に小さい女の子の母親がすでに屍鬼(グール)に喰い殺されていて、それを認められない女の子が近づいた瞬間屍鬼(グール)になって起き上がり、女の子を食い殺す場面を単純に私が書きたくなかっただけなんです。

あ、ヤラシスはいいです。悪人に人権なんぞありませんので。

これからも出来うる限りのご都合主義で行きたいと思います。


いつも拙作をお読みいただきありがとうございます。

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