40話 ダンジョンに挑むようです
サブタイトルのように初めてダンジョンに挑みます。
そして50話まで後10話になりました。このまま頑張っていきます。
この街に来て約1週間ほどが経過した。
この1週間の間順調に依頼を成功させていった俺達はDランクの冒険者になっていた。
「はい、これで今回の依頼も達成よん。今日はこれでお終いにするのかしらん?」
俺達にギルドカードを渡しながらゴンザレスさんが問いかけてくる。
「ああ、今日はこれで終わりにする。それにしてもそろそろ討伐にも飽きてきたな。ここら辺の魔物はあらかた狩ったから最近得るものが少ないんだよなー。もっと新しい刺激が欲しい」
「もぅ~ダメよそんなんじゃ。油断しているとあっさりやられることもあるのよ?」
ついつい愚痴のような俺の言葉にゴンザレスさんがやさしく窘めるように言ってくる。
はぁ~、この言葉を美人なお姉さんや可愛い女の子に言ってもらいたかった。なんで俺の目の前にいるのは人間やめちゃったクラスの生物なんだ……。
「そうよ~シーちゃん~。外で油断してると~、あっさり殺されちゃうよ~? 偶然進化した魔物と出会わないとも~、限らないんだから~」
「分かってはいるんだがなぁー。やっぱり闘った事のない魔物と闘ってみたいんだよ」
アイナの言葉に若干言い分けじみた返事をしながらやり取りしていると背後のゴンザレスさんが提案してきた。
「それなら、今Dランクなんだから迷宮に行ってみるのはどうかしらん?」
「「「「迷宮?」」」」
「ええ、迷宮っていうのはね? 世界の各地の冒険者ギルドの下に存在する言ってみれば巨大な迷路なのよ。中には当然魔物が徘徊しているし罠もある。けど、それだけじゃなくて宝箱もあるわ。中には貴重な回復薬や強力な武器防具に装飾品も入っているわね。5階層毎にボスがいてそいつを倒すと奥の部屋に大きな水晶が置かれていて、それを使って地上に戻ってきたり、それにギルドカードをかざして現在の踏破階を記録できるのよん。そうすれば次回の探索はそこからスタートできるようになるの」
「なんで冒険者ギルドの下に迷宮があるんですか?」
ソーラがふとした疑問を投げかける。
「それはね?迷宮の上に冒険者ギルドが建っているからなのよん。魔物が迷宮から溢れ出るのを防ぐために迷宮の上に冒険者ギルドが建てられ、そこに冒険者達が集まってくる。その冒険者目当てに商人がやってきて、そして徐々に人が集まってきて街が出来ていくのよん。この街もその例に漏れないわねん」
「なるほどなぁー。それで、その入口は何処にあるんだ?」
「ギルドを出てその裏にあるわよん。入口にギルドの係員がいるからギルドカードを見せれば入れるわ。あと、係員が帰還石を売っているから迷宮に入るときは安全の為に買っておいたほうがいいわん。これは、踏破階の記録は出来ないけど石をもって帰還を念じれば即座に脱出できる優れものよん。緊急避難の時のために持っておいて損は無いと思うわん」
「なるほどな。ありがとう、早速明日から潜ってみるよ」
ゴンザレスさんに挨拶すると俺達は冒険者ギルドをでて風呂屋に直行した。
その日の汗を綺麗に流すと宿屋『小鳥の泊り木』に帰った。
キューティーさんの出す料理に4人で舌鼓をうち満腹になって部屋に戻ると食後の運動代わりに4人で爛れた夜をすごした。
そしてみんな疲れきってぐっすり眠り迎えた翌日――。
「さて帰還石も買ったし、早速迷宮に潜って探索開始と行きますか!」
「「「おーー!」」」
俺が高らかに声をあげると、3人も右手をあげて元気よく返してくる。
3人が元気一杯なのを確認すると早速係員に挨拶をし迷宮への階段を下りていった。
階段を降りきるとそこには1本の通路が延びていた。
上も下も右も左も全部土で出来ており、松明などの明かりが無いにも関わらず何故か遠くまで見えるぐらいに明るい道だった。
「ここが迷宮かー。なんか前に倒した盗賊共のアジトみたいな感じだな」
「確かにそうですが、あの時と違って人の声も魔物の足音も聞えないんで少し不気味です」
杖を握る手に力を込め、若干緊張した面持ちのソーラ。
確かに今回は風の抜ける音も盗賊共の馬鹿騒ぎもまったく聞えない上、魔物の足音も無いため俺達の出す音のみがあたりに響いていた。
そんな静かな通路を歩いていくと遠くに十字路らしき曲がり角が見えてきた。
「みんな武器を構えてくれ」
前方の曲がり角にかすかな気配を感じた俺はすぐさま3人に臨戦態勢を取らせる。
しばらくそのままでいると焦れてきたのか曲がり角から1mほどの体躯に犬の頭を持つ2速歩行の魔物が姿を現した。それも複数。
それぞれの手には何処で手に入れたのか刃こぼれした短剣を握っている。
「あれは~、コボルドですねぇ~。群れで生活する犬の頭を持った魔物です~。ゴブリンよりも強いですが~、それでも弱い部類の魔物ですねぇ~。特殊な力を持っているなんて話は~、聞きませんから~」
「なるほど、ほいじゃいっちょ試しに突撃しますか! 「待ってください」――ぐぇ」
突撃しようとして前に1歩踏み出した瞬間ソーラによって襟首を掴まれた俺はカエルのような声を出してしまった。
「いきなり何するんだよ。びっくりするじゃないか」
「いえ、先日貰った魔法を試してみたいので先手は私に譲ってください」
「わかったよ。けど、1匹位は残しておいてくれよ? まだ【看破】してないから新しいスキルがあるかもしれないし」
こくりと頷くと杖を握り締め1歩前へ出る。
男の俺ではなく女の子のソーラが前に出たためかコボルド達は顔を厭らしく歪めてまるで笑っているかのように見えた。
「さあ、掛かってきてください子犬さん――にしてはちょっと醜いですね。コホン、犬の頭を持った何か。殲滅して差し上げます」
手のひらが上になるように右手を突き出すと、チョイチョイと軽くコボルドを挑発する。
それに乗せられるかのように一斉にコボルド達が襲い掛かってきた。
「所詮は知恵の無い魔物ですね。進化していなければこんなものですか。それじゃあ、遠慮なく……。【氷の弾丸掃射】!!」
こちらに襲い掛かってくるコボルドに向かって無数の氷で出来た弾丸が次々と着弾する。
その直後、弾丸に撃ち抜かれたコボルドが一瞬にして氷漬けになった。
走ってきたコボルドはまだそのまま氷漬けになったが、跳躍している最中に氷漬けになったコボルドは地面に落下しバラバラに砕け散った。
砕け散った破片と凍りついたコボルドはそのまま光の粒子となって消えていった。その場に様々な物を落としていった。
「おっ? 迷宮で死んだ魔物は道具とか残して消えちゃうのか。解体の手間が省けていいな」
その場には俺達4人と1匹だけ残されたコボルドが震えながらこちらを睨んでいた。
「ソーラ、ホントに1匹だけ残したな。まあこれで【看破】が出来るからいいけどさ」
「はい、きっちり1匹残しましたよ。それにしても、【氷魔法】ってなんか私と相性いいですね。いつもより威力が上がっている気がします」
「確かに、俺の【氷魔法】よりも下手したら威力が――」
俺達がのんびり会話している隙をついて唯1匹残されたコボルドは逃げ去っていった。
そしてすぐにコボルドが逃げ去った曲がり角の向こうから小さくコボルドの悲鳴のようなものが上がったように聞えたが、それはすぐに粘液の引きずるような音にかき消された。
ゴールデンウィークも終わりいつもの日常が帰ってきてしまいました。長期休暇の後は仕事に行くのがとても面倒になってしまいます。それでも行かないと趣味や生活のためのお金が手に入らないから行かざるをえません。
明日も仕事頑張りますか。
いつもお読みいただきありがとうございます。
最初はブックマークが10件行けばいいやと思っていたのですが、最近はブックマークの増減に一喜一憂する日々です。人の業というか私の業は重いですね。
これからもこの作品を読んでくださっている皆様に見捨てられないように頑張っていきます。




