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生きるために強くなる ~だってゴブリンに転生しちゃったし~  作者: ミジンコ
第2章 ゴブリンと冒険者ギルドと死者の王
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36話 街に帰る道中の出来事のようです

本日ブックマークが200件突破しました!!皆さんありがとうございます!!


 無事に合流できた俺達はウーフツの街を目指して歩いていた。


「そういえばみんなの方はどうだったんだ? 9人程そっちに行ったと思うんだが」


「うん、確かにこっちにも来たよ。シリルがみんな倒しちゃったんだけどね」


 その時の状況を思い出したのか苦笑いしながら俺の質問に答える。

 アイナも同じように苦笑している中、シリルだけはよく分かっていないようできょとんとした顔をしていた。


「そうねぇ~、相手が私達を取り囲んでぇ~、下卑た笑いを浮かべながら~、脅しを掛けて来たリーダー格がいたんだけど~、私達を連れて帰ってぇ~、玩具にするって行った瞬間~、シリルちゃんが飛び出してぇ~、肉片に変えてたわねぇ~」


「はい、リーダー格を瞬殺したら他の男達も色めき立って次々と武器を構えて襲い掛かってきたんですが、次々とシリルに殺されていましたね。顔面殴られて頭が弾けたり、蹴られたら上半身と下半身が泣き別れしたり、投げ飛ばされた仲間に激突してその勢いで木にぶつかって物理的に2人の人間が混ざったりと結構大惨事でしたね。辺りに飛び散った肉片と血飛沫の臭いに釣られて土狼(ランドウルフ)が結構集まってきたのでかなりの数を討伐しました」


「がぅ、楽しかったぞ! 私達を玩具にするって言ってたから逆に玩具にしてやったんだぞ!」


 楽しそうに言ってくるシリルの頭を撫でてやると、にへらっと相好を崩してされるがままになる。

 少し撫でているとシリルが勢いよく飛びついてきた。そのまま肩車するような恰好になると俺の頭を包むように抱きしめてくる。

 ソーラとアイナはその様子を見て笑っていた。


 んー、頭に2つの幸せの感触があるのはとても嬉しいのだが……。これ以上は我慢が出来なくなりかねん……! 頬にもスベスベのふとももが当たってるし……!


「シリルー、そろそろ降りてもらえないか? 前が見えない」


「がぅ、分かったぞ」


 「とうっ」と跳び箱のように俺の頭を使い地面に降りるシリル。

 すちゃっと地面に着地したシリルを待っていたのはソーラからのお説教だった。曰く、普通に降りなさいとの事らしい。

 その横で「あらあら~」と頬に手を当てながら笑っているアイナ。

 賑やかな感じでウーフツへの道中を歩くこと約30分道も半ばの辺りで不意に【気配察知】複数の土狼(ランドウルフ)が集まっていることに気がついた。


「向こうの方向に土狼(ランドウルフ)が集まってるな。アイナ、何か見えるか?」


 指をさした方向を見るようにアイナに頼む。


 自分で見てもいいんだけど、スキルレベルが同じでも基本的に目の性能はアイナの方が上なんだよなー。やっぱり種族的なものがあるんだろうな。


「ん~とねぇ~、人間が1人襲われてるわねぇ~。狼の数は5匹ってとこねぇ~。あ~、押し倒されたわ~」


「アイナ、弓は届くか? 届くんなら助けてやってくれ」


 弓を取り出し魔力で作った矢を番えながら微笑むアイナ。


「私にお任せあれ~」


 その言葉を言った瞬間1本の矢が放たれた。矢は物凄い速度で狼達に迫ると、途中で5本に分裂し吸い込まれるようにして狼達に刺さり絶命させた。

 矢が狼達を仕留めるのをアイナが確認すると俺達は大急ぎで教われてた人間の下へと向かう。

 そこには左腕と右足を食い千切られ今にも死にそうな14、5歳の少年がいた。


 どうするか……。助けてもいいんだけど目立つことになりそうだし、流石に面倒なことになりかねん。かといって見捨てるのも寝覚めが悪いんだよなー。


 自分1人ではどうにも決めかねた俺はみんなに意見を求めた。


「ソーラ、どうする?」


「助けてあげたほうがいいんじゃないですか? 流石に夢見が悪くなりそうです」


「アイナは?」


「助けてあげてもいいと思うわ~」


「シリルは?」


「がぅ、シーツァの決定に従うぞ」


 賛成2の棄権1か……。まぁソーラの言ったとおり夢見が悪くなったら嫌だしな。


「【回帰(リグレッション)】」


 死に掛けの少年に向けて手をかざすと【回帰魔法】を使い、手足を再生させる。

 みるみるうちに食われた手足が元通りになり、体中にあった傷も全て消え去っていった。


「ふぃー、これでとりあえず死ぬことはないだろ。あとは――」


「ん……、あれ? 僕死んでない……? 食べられた手足も戻ってる……って土狼(ランドウルフ)は!?」


 目を覚ました少年は少しぼぅっとした様子で体を触っていたが、不意に意識が覚醒したのか跳ねるように飛び起きた。


「目が覚めたみたいだな。体の方は大丈夫か?」


「え? あ、はい。特になんともないです。ってそれより土狼(ランドウルフ)は何処に行ったんですか!?」


「周りを良く見ろ。死体になって転がってるだろ」


 少し呆れながらも狼の現状を答えてやると少年は自分の周囲を見回して驚いていた。


「とりあえずは大丈夫そうだな。お前名前は?」


「はい、僕はトルクといいます。あなたが僕を助けてくれたんですか?」


「いや、土狼(ランドウルフ)を倒したのはそこにいるアイナだ。俺はお前の怪我の治療しかしてない」


 トルクの質問に答えてやると綺麗な土下座を敢行し感謝してきた。

 そして今度は俺の方から気になっていたことを質問してみることにした。


「それで、お前は冒険者なのか? ランクは? 何でこんなことで土狼(ランドウルフ)達に殺されそうになってたんだ?」


「えっとですね、いちよう冒険者です。ランクはFなんですが、Gランクのお手伝いの依頼ばかりこなしてFになったもので戦闘経験がほとんどないんですよ。それでちょっと用事があってここに来たら襲われて殺されそうになった所をあなた方に救われたんです」


「こっちに用事って、いったい何しに来たんだよ。土狼(ランドウルフ)に殺されそうになるぐらいだったらパーティーでも組めばいいだろ」


 トルクの言葉に若干呆れていた。弱いなら仲間を仲間を作って一緒に討伐をして強くなればいいのだ。


「いえ、パーティーメンバーはいるんですが、今回の用事はあまりにも個人的なものなので関わってもらいたくなかったんですよ」


「その用事ってなんなんだ?」


 顔に影を落としているトルクに、会ったばかりで不躾だとは思うが理由を聞いてみた。なんとなく嫌な予感がしてならないのは気のせいだと思いたい。


「とある人間を殺しにきたんです」


「誰を」


「僕の住んでいる街に住んでいる領主の息子、ワルス・ギールです」


 トルクの言葉に俺は嫌な予感が的中している悟った。


 やっぱりあいつか。いろんなところで怨み買ってるんだろうなー。まぁ、あれだけやってればそうなるか。よく今まで殺されなかったもんだ。


土狼(ランドウルフ)に殺されかけるような実力ならやめておけ。自殺しに行くようなもんだ」


「分かっています!! それでも僕はあいつを殺したいんです!! 殺せなくても一矢報いることが出来ればそれでいいんです!!」


 俺の忠告に先ほどまで俯きながら喋っていた顔を上げ目尻に涙を浮かべながら思っていることをぶちまけた。


「何がお前をそこまでさせるんだ」


「あいつは父と姉の仇なんです……。数日前僕がお手伝いの依頼のため出かけていた時に父と姉はワルス達に出会ってしまったんです。問答無用で姉を連れて行こうとするワルスに父が必死で抵抗したんですが、その場で袋叩きにされ街の人が家に運んで治療してくれたらしいんですが思いのほか傷が酷く、僕が家に帰ってきた時には死ぬ寸前でした。そして僕に途切れ途切れになりながらも事の顛末を話すとワルスには手を出すなと言ったのを最後に息を引き取りました。それだけだったら悔しいですが必死で我慢しようとしたんです。手を出したら他の人達も酷い目に合わされますから……。けど数日後……、街のゴミ捨て場で生前の美貌が見る影もない程に変わり果てた姿になった姉の亡骸を見た時僕は復讐を決意しました。それで、今日待ちの外にワルスが出て行ったと街の人から聞いたので追いかけて殺してやろうと思ったんです」


 そりゃあ殺したくもなるか。一度は我慢したのは偉いが、流石に姉の亡骸を見て我慢が出来なくなったのか。街の外で殺そうとするのはいい案だとは思うが如何せん弱いな。


 重くなった空気の中、流石に俺がワルスを殺したと言う訳にはいかないので少し脚色しながらワルスの死を伝えてやることにした。


「ワルスなら森で死んでいるのを見たぞ。黒巨狼(グレーターウルフ)に率いられた土狼(ランドウルフ)の群れに襲われて食い殺されていたな」


「え? ワルスは死んだんですか?」


「ああ、仲間諸共生きたまま貪り食われて肉の一欠けらも残ってなかったよ。丁度木の上から見てたんだ。まあ、話を聞く限りろくな奴じゃないから丁度いい死に方だったんじゃないか」


 ワルスの死を聞いたトルクは体の力が抜けたのか仰向けに寝転んだ。


「そうですか……、そんなに酷い死に方だったんですか……。教えてくれて……ありがとうございます。自分で殺せなかったのがちょっとだけ残念ですが」


 トルクは嬉しいのかそれとも安堵したのかは分からないが、顔から緊張感抜け涙を流しながら空を見続けていた。

やっぱり人との会話シーンがとても難しいです。どう表現していいのか分からなくなることが多く、いまだに実力不足を感じています。

読者の方々にはご迷惑をおかけしますが何かあればご指摘いただけると助かります。

これからも評価や感想お待ちしております。それを励みに頑張ります。

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