33話 報復されるようです その1
再び3馬鹿の登場です。今回は人によっては不愉快な内容が書かれています。お気をつけください。
4/29 ワルスの装備で盾を忘れいていたので追加しました。
ウーフツの街を出て約1時間。不意にシリルが声を掛けてきた。
「シーツァ、誰か追いかけてきてる」
「ああ、数は30人ってとこか。てかさっきの3馬鹿までいるな。もう復活したのか、流石ザコは復活が早い」
ウーフツの街を出てしばらく、相手が一定の距離を保って俺達を尾行しているのには気がついていた。
3馬鹿もいることからおそらく俺達への報復が目的だろう。
「どうしたもんかな……。そうだ、ソーラ達は3人で土狼を狩りに行っててくれ。俺はちょっと面倒事を片付けてくる」
「それはいいけど……、1人で大丈夫? 私も一緒に行く?」
「いや、俺1人で十分だろ。もし万が一の事があったときのために3人で行動してくれ。まあ、滅多な事じゃ遅れは取らないとは思うけどな」
心配そうに声を掛けてくるソーラにやんわりと断りを入れる。
納得した3人はそのまま歩き続け、俺は近くにある森の中へ入っていった。
【気配察知】で相手の動きを捉えていると、30人中9人がソーラ達の方へと向かい、俺の方には残りの21人がやってきた。当然3馬鹿も一緒に。
とりあえずソーラ達を3人一緒にしておいたのは正解だったみたいだな。ソーラ達が負けることはまず無いとは思うが万が一って事があるからな。
しばらく待っていると3馬鹿を含めた団体様が到着した。
「こんな所に1人とは随分余裕じゃねーか! この人数に勝てると思ってるのか!?」
3馬鹿の内のリーダー格のノッポは人数が多くなり気が強くなっているのか、ついさっきあまりの実力差にボロ負けした事は頭の中から綺麗さっぱり消えているらしい。
「お前等程度のザコがいくら集まったところで俺に勝てるかよ。さっき速攻で俺に負けてちっとは実力の差を思い知ったかと思ったが、お前の脳味噌じゃそれすら理解できなかったみたいだな」
「なっ……何をーー! 言わせておけばーー!」
顔を真っ赤にして今にも武器を抜いて飛び掛ってきそうになっているノッポを横から伸びてきた手が抑えた。
「テメェがうちのノポン達を痛めつけてくれたって馬鹿か? ウーフツの街で俺のクランの人間に逆らった挙句手を出すなんざよっぽど死にたいらしいな」
ノッポ――ノポンを手で制していた豪華な鎧と魔力を帯びた長剣、騎士が装備していそうな銀の盾を装備したガタイのいい男が上から目線で脅してくる。
よく見ると他にも5人ほどノポン達とは明らかに装備品の質が違うのがいた。
「はぁ? てかお前が誰だよ偉そうに。人の嫁に手を出そうとしてきたそこの馬鹿が自分の実力も省みずに襲い掛かってきたからブチのめしたんだろうが。殺されなかっただけありがたいと思え」
俺のセリフにノポン達3馬鹿は顔を真っ赤にして今にも噴火しそうだが一番偉そうな奴はどうやら違うようだった。
「おいおい、俺を知らないってか。そうかそうかテメェ他所もんか。おいノポン教えてやれ。今自分が誰に逆らっているのかをな!」
「へいワルス様! よく聞けクソ野郎、こちらのお方はウーフツの街等のここら一帯を治める領主、ギール家当主アクドス・ギール様のご長男にして自身もBランクの冒険者兼クラン『黄金の鷹』のリーダー! ワルス・ギール様だ!」
ワルスの指示に従い自分のことではないにも拘らず偉そうに説明してくるノポン。
その横でうんうんと頷きながら説明を聞いて満足そうにしているワルス。
その2人を見てやるせない気持ちでいっぱいになったのと同時に、領主の息子という面倒事に関わるハメになったと自身の不幸を嘆いた。
「で、その領主のボンボンがいったいなんの用だ。こっちはこれから狩りで忙しいんだが?」
いかにもめんどくさそうにため息を吐きながらワルスに問いかける。
「何、俺のクランの人間が女を寄越せと言ってんのに逆らった挙句ボコした馬鹿を殺して見せしめにしようと思ってな。あの街で俺に逆らう奴は居ちゃいけねぇんだよ。女を寄越せと俺のクランの人間が言ったら返事は「はい」しかありえねぇ」
「へぇ、だからあんな街中で武器まで抜いて殺しにきた3馬鹿を街の兵士が捕まえないわけだ。どうせ今回だけじゃないんだろ」
「もちろんだ! 今まで何人も女を街で捕まえてきた。当然逆らう奴もいたさ。そいつらはどうなったと思う? 俺が直々に女の目の前で動けなくなるまで痛めつけ、動けなくなった所でその男の前で女を犯すんだ。いいぜぇー、泣きながら男の名前を叫ぶ女、女の名前を叫ぶ男の声を聞きながら女を犯すとすげぇ優越感と快楽が押し寄せてくるんだ! そんでもって俺の用が済んだら後はこいつらに好きにさせてやる。後は男共に輪姦されて声も出せない女の名前を叫び続けている男を殺して首を街の広場に晒して街の連中が俺に逆らう気を起こさせなくして――」
「もういい、喋るな。お前は生きていていい人間じゃないな。今まで殺してきた人間の苦痛を少しは味わって死ねよ」
ワルスの言葉を遮るように俺は長剣を抜き死刑の宣告をする。
口角を上げながらワルスも長剣を抜き部下達に指示をだした。
「おいお前等! あの馬鹿を動けなくなるまでたっぷり痛めつけてやれ! 殺すなよ? 奴の嫁を死に掛けの奴の目の前で犯すまでは死なれたら困るからな!」
「「「ヘイ! ワルス様!!」」」
ワルスのパーティーメンバーと思われる5人以外が一斉にそれぞれの武器を抜き、俺を囲むように展開した後次々と襲い掛かってきた。
この人数相手だと長剣1本だけじゃちと面倒だな、もう1本作るか。
左手の盾を【異次元収納】に入れると、すぐに【特殊武器作成】で右手に装備している長剣と同じものを作った。
出来上がった瞬間左の長剣で背後から斬りつけてきた男の剣を受け止め、次の瞬間には右の長剣で男の両脚を斬り落とした。
「ギャア!!」
悲鳴を上げて倒れこむ男を無視し、次の標的に狙いを定める。
左から棍棒を振り下ろしてきた男の腕を棍棒ごと斬り飛ばし、ついでに両脚も斬り落とす。
左の棍棒男の両脚を斬り落とした直後、背後から槍を突きつけてくる男の前に【土の壁】を出現させ攻撃を防ぐ。
突然現れた土の壁に驚き固まった瞬間土の壁を崩し、また両脚を斬り落とす。
脚を斬り男達の切断面を【火魔法】で焼き止血する。
「「「ぎゃぁぁぁぁぁああああ!!」」」
この世のものとは思えない絶叫を響かせた後男達は気絶した。
その光景を見ていた残り12人は自分達の思っていた未来とはまったく違う目の前の凄惨な光景に完全に戦意喪失し、今にも逃げ出しそうになっていた。
「ほぅ、なかなかやるじゃねぇか。おいお前等逃げ腰になってねぇでさっさとあいつを殺せ。じゃなきゃ俺がお前等を殺すぜ?」
男達に殺気を叩きつけ威嚇し、強制的に戦闘に戻させる。
「はぁ、めんどくせぇな。【風の刃】」
再び襲い掛かってくる男達の脚へ向けて【旋風魔法】で作り出した刃を複数放つ。
それは次々と男達の脚を切断し、男達は襲い掛かってきた勢いのまま地面に倒れこみ、俺に切断面を焼かれ先程の男たち同様絶叫を上げて気絶した。
男達が全員気絶したのを確認するとワルス達へ長剣を向けて問いかける。
「さて、次はお前達の番か?」
ワルスの悪行を書くために人によっては不愉快な内容になっています。申し訳ありません。
次回きっちりワルスには死んでもらう予定ですのでご安心ください。
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