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生きるために強くなる ~だってゴブリンに転生しちゃったし~  作者: ミジンコ
第2章 ゴブリンと冒険者ギルドと死者の王
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29話 村を旅立つようです

今回から第2章がスタートします。

これからもよろしくお願いします。

「それじゃあ村長、世話になった」


 あの宴の日から約1ヶ月ほど経ったある日、俺達は村を出て次の町へ向かうことにした。


「いえいえ、こちらこそシーツァさん達には助けていただきました。連れ去られた村の娘を助けていただいたこと、盗賊も退治していただいたこと、村の復興にも尽力していただきました。それに何より魔物大行進(モンスターパレード)やドラゴンから村を救っていただきました。この恩はとても返しきれるものではありません」


「いや、たまたま成り行きでそうなっただけだ。村の娘を助けたのも気まぐれだし、盗賊は俺が気に食わなかったから殺しただけ、魔物達はやらなきゃ俺達も死んでたしな。礼を言われるようなことじゃない」


「そうですよ。私達も死ぬわけにはいかないですから」


「そうねぇ~」


「がうっ」


 村の入口で見送りに着てくれた村長に別れの挨拶と世話になった旨を伝えると、逆に村長から感謝と共に食料を渡してきた。

 村長の感謝と食料を固辞するとソーラ達も同調するように頷いていた。


「いやしかし、何もお礼をしないと言うわけには……」


「そちらも生活にまだそこまで余裕があるわけでもないだろ。俺達に気を使う前に村人の生活を考えてやれ」


「ですが……」


 それでもなお食い下がってくる村長に1つの提案をした。


「はぁ、そうだな……。それならその食料は買い取らせてくれ。タダで貰うのは流石に気が引ける」


 そういうと【異次元収納(アイテムボックス)】から盗賊共からかっぱらってきた銀貨や銅貨の入った袋を村長に差し出した。


「いや、こんなに頂くわけには……」


「受け取ってくれ。この1ヶ月たまに行商人が来てるのを見かけたからな。その時にでも使うといい。それと、これは俺からの世話になった礼だ」


 【異次元収納(アイテムボックス)】から【貫通力強化】【重量軽減】を付与した鉄の槍を20本取り出して村長に押し付けた。


「武器もそれだけあれば十分だろ。盗賊……はこの辺りのはあらかた殲滅したが魔物がまた襲ってこないとも限らないからな」


「何から何まで……ありがとうございます」


 鉄の槍を受け取った村長は両手で槍を抱え、涙を流しながら深く頭を下げた。


「いやいい、気にするな。それじゃあ俺達はもう行く」


「お世話になりました」


「それでは~」


「じゃーなー」


 俺達は村長に別れを告げて歩いて行く。村長は俺達の姿が見えなくなるまで頭を下げ続けていた。




「さて、どっちに行こうか」


「え? 考えてなかったの?」


 道中、分かれ道に差し掛かったとき、俺の突然のセリフに目を丸くしながらソーラが見てきた。

 そんなソーラをよそにアイナとシリルは特に驚いた様子もなくのんびりと質問してくる。


「それで~、どこに行きたいんですか~?」


「ああ、とりあえず街にでも行こうかなと思ってはいるんだが……。如何(いかん)せん土地勘もないし、街の名前とかも知らないしどうしようもないな!」


 胸を張って堂々と知らないことを主張する俺にソーラが呆れたように溜息をついた。


「!?」


 突然シリルが道の片方に向かって勢いよく振り向く。


「どうしたんだシリル」


「がぅ、何か来るぞ」


 シリルの見ている方向を俺達が見つめる。

 しばらくすると道の向こうから1頭の馬に引かれた馬車が土煙を上げ、物凄いスピードで走って来るのが見えた。


「なんだ? あの馬車追われてるのか?」


「みたいねぇ~。どうやら狼の魔物が~、20匹以上迫っているわねぇ~」


「助けるのシーツァ」


 馬車が追われているとのアイナの言葉を聞いたソーラが助けるかどうか聞いてきた。


「とりあえず助けるか。街とかの情報も聞けるかもしれないしな」


 3人が返事をしたのを確認すると俺達はそれぞれの武器を構え馬車の方へ走り出した。


「そこの方々! 頼む助けてくれーー!!」


 こちらを確認すると御者台に乗っている男が切羽詰った様子で助けを求めてきた。


「そのつもりだ!」


 馬車のすぐ横をすり抜けすぐそばまで接近していた狼に斬りかかった。

 ギャン!! と狼が悲鳴を上げるとそのまま動かなくなる。

 それを見た狼は油断できない相手と判断したのか俺達から一定の距離を取り半包囲上に展開してきた。


「少しは知恵が回るようですね。数が多いですし、群れのボスでもいるんでしょうか」


「がぅ、あの奥にいる奴が多分ボスだぞ。あの片目に傷がある奴」


 包囲している狼達より更に外側にいる1匹の狼。他の個体よりも一回り大きく、右目に傷を負っていた。


 ふむ、森林狼(フォレストウルフ)とは毛の色が違うな。ちょっと調べてみるか。


名前 無し ♂

種族 魔狼族:土狼(ランドウルフ)

状態 健康

Lv 12

HP 44/44

MP 12/12


攻撃力 41 (+10)

防御力 22

魔力  13

魔抵抗 14

速度  44 (+10)

運    8


スキル

【俊敏Lv.2】【強力Lv.2】


 うーん、森林狼(フォレストウルフ)との違いは毛の色ぐらいか? あの森にいたのよりかは確かに強いが、今の俺達の敵じゃないな。

 さっさと全滅させるか。


「ソーラは左をシリルは右をアイナはみんなのサポートをしてくれ。俺は正面とボスを叩く」


「わかりました」


「りょ~か~い~」


「がぅ!」


「よし、行くぞ!」


 ダッシュと同時に声を張る。それを合図にソーラが魔法を撃ち、シリルが狼の群れに突っ込み、アイナがそれをサポートし始めた。

 正面の狼が俺を迎え撃つために飛び掛ってくる。それを片っ端から剣で一刀の元に切り捨て、そのままボスの目の前に接近する。

 ボスは一瞬驚愕の表情を浮かべたものの、すぐに切り替え爪と牙をむき出しにして飛び掛ってきた。


「他の個体よりは確かに早いがそれでも遅いな」


 余裕で狼を回避するとその首めがけて剣を振り下ろした。

 ボスは悲鳴を上げることなく頭と胴体を永遠にサヨナラさせた。


経験値を72手に入れました。

【俊敏Lv.2】を複数回習得しました。【俊敏Lv.2】は【韋駄天Lv.3】に統合されました。

【強力Lv.2】を複数回習得しました。【強力Lv.2】は【神力Lv.3】に統合されました。


「ふぃー、終わったか」


 周囲を見渡してみるとソーラの傍には黒焦げやバラバラになった狼の残骸が、シリルの傍には叩き潰されて地面の染みになった狼だったものや引き裂かれたもの、そして所々に額に穴が空いて絶命している狼の死体があった。

村長とのやり取りが一番苦労しました。もうちょっとうまく掛けないものかと苦悶しています。

ブックマークがあと少しで150人に到達します。ブックマークしてくださっている方々ありがとうございます。

これを励みに頑張っていきます。

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