26話 火竜との決戦のようです
今回はサブタイトル通りの決戦です。ドラゴンの表現が足りない気がします。やっぱり語彙が足りなすぎるのが原因です。
4/15 ドラゴン撃破後のリザルトを追加しました。
アイナの見ている方向を3人で見てみるが青空が広がっているだけで特に何かが飛んでいる様には見えなかった。
「アイナ、特に何も見えないんだが……。何が飛んできてるんだ?」
「そうねぇ~、私の目でやっと見えるぐらいの距離ですし~。でも~、かなりのスピードで飛んできてますよ~? 真っ赤なドラゴンが~」
「「「は?」」」
アイナのいつも通りののんびりとした声で聞こえた衝撃的すぎる言葉にまたしても素っ頓狂な声をあげてしまう3人。
いち早く我に返ったソーラがアイナに問い返す。
「ア、アイナ、今ドラゴンって言いましたか?」
「言ったよ~。真っ赤なドラゴン~」
「――――!」
声にならない悲鳴を上げるソーラを見ながら俺は即座にステータスを開いて今までの戦果を確認した。
レベルは56まで一気に上がったみたいだな。進化もゴブリンロード通り超してゴブリンキングになれる。スキルも軒並みレベルアップしてるし、新しく覚えたスキルは【倍加】【狂化】【超再生】【咆哮Lv.8】【鷹の目Lv.9】か。既に覚えていたスキルもかなりレベル上がってるし、これなら何とかなるか?
ステータスを確認して進化出来ることが分かった。躊躇うことなく進化を選ぶと俺の体が強い光を発し、俺の視界も塗りつぶした。
「シーツァ?」
突然の俺の発光に眩しそうにしながらソーラが声を掛けてくる。
光が止み俺の視界が戻ってくると目線が高くなっていることに気が付いた。
アイナと同じくらいだからだいたい170cmってとこか? 前世の俺よりも身長高くなったな……。特に低身長にコンプレックスがあったわけじゃないが高くなったのは結構嬉しいな。
スキル【眷属召喚】を取得しました。
スキル【統率者】が【王の加護】に進化しました。
スキルも新しく習得したな! これで今の俺のステータスはどんななんだ?
名前 シーツァ ♂
種族 小鬼族:ゴブリンキング
状態 健康
Lv 56
HP 550/550 (+200)
MP 657/657 (+400)
攻撃力 751 (+450)
防御力 490 (+250)
魔力 433 (+200)
魔抵抗 441 (+200)
速度 536 (+300)(+5)
運 341 (+140)
スキル
【異世界言語】【看破】【スキル習熟速度倍加】【異次元収納】【蒐集Lv.3】【特殊武具作成Lv.3】【幸運Lv.7】【防音Lv.6】【消費MP軽減Lv.8】【最大MP大上昇Lv.8】【ジャンプLv.10】【剣鬼Lv.4】【迅速Lv.6】【剛力Lv.9】【空間機動】【HP自動回復Lv.8】【MP自動大回復Lv.1】【蜘蛛糸Lv.10】【猛毒撃Lv.1】【投擲Lv.10】【強痺撃Lv.1】【土魔法Lv.8】【盾鬼Lv.7】【回帰魔法Lv.2】【物理魔法Lv.10】【複製転写Lv.2】【弓術Lv.4】【精密射撃Lv.10】【火魔法Lv.6】【魔力感知Lv.7】【塁壁Lv.5】【魔哭Lv.4】【槍術Lv.9】【気配察知Lv.6】【気配遮断Lv.7】【絶対防御Lv.1】【水魔法Lv.4】【斧鬼Lv.1】【最大HP大上昇Lv.4】【調教Lv.9】【突進Lv.10】【眠撃Lv.6】【騎乗Lv.8】【人獣一体Lv.3】【王の加護】【状態異常無効】【旋風魔法Lv.2】【倍加】【狂化】【超再生】【咆哮Lv.8】【鷹の目Lv.9】【眷属召喚】
「ソーラ! アイナ! シリル! 村人達を連れて逃げろ!」
「シーツァは! シーツァはどうするの!?」
「俺はここでドラゴンを食い止める。逃げる時間を稼ぐ奴がいないとみんな殺されるからな」
「無茶だよ! 一緒に逃げよう!」
涙を流しながら必死に懇願してくるソーラの横でアイナがドラゴンの来る方角を見ながら無慈悲な一言を告げる。
「あと~30分以内にここに辿り着く距離にいるわねぇ~。このままじゃ逃げ切れないよ~」
「だからって! 何もシーツァ1人で残らなくても! 私も一緒に戦うから!」
「ガゥ! 私も共に戦うぞ!」
「私も~、ご一緒しますよ~」
「駄目だ、危ない役目を皆にさせるわけにはいかない。みんなは村人と一緒に避難するんだ。大丈夫だよ、みんなが逃げ切ったら俺も隙を見て逃げるから」
共に戦おうとする3人を説得し何とかアイナとシリルは村人を避難させるために逃げることを決めたが、ソーラだけは共に戦うと言って聞かなかった。
「私は絶対シーツァと一緒に――」
「ごめんなソーラ」
【眠撃】を付与した俺の拳がソーラの腹部にめり込む。
「シー……ツァ……」
抗う事のできないほどの強烈な眠気に襲われながらも最後まで俺の名前を呼び、そのまま深い眠りに落ちた。
立っていられなくなったソーラを抱きとめその寝顔を見ながら頭を撫でる。
「恨まれますよ~?」
「ソーラに死なれるよりずっと良い。後は頼む」
眠っているソーラをシリルに背負わせるとすぐに2人は村人達の下へ向かった。
そんな2人を見送ると振り返り、【鷹の目】を使いドラゴンの方角を睨みつけるように見つめる。
見えた! あれがドラゴンかー、初めて見るな。想像以上にでかいし強そうだなー。みんなには俺も隙を見て逃げるって言ったけど流石に無理だよな。俺が逃げて万が一みんなが死ぬ羽目になったら一生後悔する。何としてでもこいつはここで殺さないと。
いつものように【看破】でドラゴンのステータスを確認する。
名前 無し ♂
種族 竜族:火竜
状態 健康
Lv 73
HP 2371/2371 (+1000)
MP 1973/1973 (+1000)
攻撃力 2587 (+1000)
防御力 2476 (+1000)
魔力 2522 (+1000)
魔抵抗 2551 (+1000)
速度 1489 (+1000)
運 212
スキル
【飛行】【最大HP超上昇Lv.2】【最大MP超上昇Lv.2】【神力Lv.2】【城壁Lv.2】【魔神Lv.2】【韋駄天Lv.2】【竜の息吹:炎】【威圧咆哮】
ア・ホ・かー! 何これ圧倒的じゃねぇか! 俺もだいぶ強くなったと思ったのに一瞬で上回られたわ!
上空に圧倒的な威容を誇る巨体が姿を現した。真紅に染まった全身、その巨体に見合った大きさの翼を羽ばたかせながら上空をホバリングし、爬虫類を思わせるような眼光に強烈な威厳を込めこちらを睨みつける。
確かにこんなの見たら恐慌状態になりもするわ。俺も即座に逃げ出したい……が、逃げるわけにも――やばっ!
ゴァァァァァァァァァァ!!
ドラゴンが息を吸い込むと強烈な炎を吐き出してきた。
慌てて【土魔法】で巨大な石壁を作り出し炎を遮るが余りの勢いに壁が壊されそのままドロドロに融解した。
即座にその場を飛び退く。寸前まで自分のいた場所を炎が通り抜ける。
あちちっ、掠ってもいないのにこの熱さか。直撃したら骨も残らんだろうな。
「とりあえず降りてこいや! 【グラビトン】!!」
ドラゴンに向けて超重力を掛けるが少し高度が下がった程度で降下が止まった。
不愉快そうな感情を瞳に乗せて先ほどよりも威力のありそうな炎を吐き出してきた。
くそっ! 相手の方が魔力も魔抵抗も圧倒的に上だから大して効かないのか!
先ほどよりも分厚い石壁に今度は強力な重力を纏わせると何とか炎を防ぎきることができた。
即座に【特殊武具作成】で魔法銀の槍に【竜殺し】を付与した物を無数に作り出し、次々と射出していく。
大量の槍を空中で器用に回避するドラゴン。外れた槍を再度【物理魔法】で掌握し方向転換させ撃ち出す。
硬い鱗にいくつもの槍が弾かれるがいくつかの槍は関節に突き刺さり、翼膜を切り裂いた。
グアァァァァァァァ!! と咆哮を上げドラゴンが一瞬怯む。その隙を逃さずに【ジャンプ】と【空間機動】を使い一気に詰め寄り、手に【竜殺し】と【斬撃強化】を付与した大剣を作り出しドラゴンの頭にめがけて振り下ろす。
ズバァ! と切り裂かれ腕が宙を舞い大量の血飛沫が舞った――俺の。
「ガァァァァァァ!! クソが! 隙はわざと見せたってのか!」
地面に叩きつけられ、肺の中の空気が一気に吐き出され呼吸が一時止まる。
クハッ! 一撃食らっただけでもう死にかけか……。だけどまだだ! 時間は稼げるなら稼げるだけ良い。それにベストはあいつを倒すことだ。俺だってまだ死にたくないからな!
切り飛ばされた腕を【超再生】を再び生やし、近くに落ちていた大剣を握り締める。
もうHPもMPも残り少ないな。【超再生】がここまでMP食うとわ……。次で決めないとな、さっき覚えたばかりのスキルを練習なしでいきなり使うのは怖いけど俺の考えが正しければ一か八かの賭けに出るぐらいは出来るだろ。
【異次元収納】に大剣を収納し、【炎軽減】【息吹軽減】を付与した魔法銀製の大盾を作り出す。
俺の準備が整うのを律儀に待っていたドラゴンが再びそして今までで一番空気を吸い込みブレスのモーションへ移る。
ゴァァァァァァァァァァァァァ!! 強烈な炎がこちらに向けて吐き出される。
「俺が何しても絶対に勝てるって油断が命取りだ! オラァァァァァァァ!!」
炎の中盾を構えて【倍加】と【絶対防御Lv.1】を発動し、【ジャンプ】で突貫しドラゴンを目指す。途中何度も【空間機動】で宙を蹴り灼熱の炎の中を突き進んでいく。
ドラゴンも自分より弱いはずの俺に接近されているのが不愉快なのか更に炎の勢いを増して吐き出す。
マズイ……。威力が強すぎる……、体もあちこち火傷が酷くなってきてる。このままじゃ耐え切れずに地面に叩きつけられてそのまま蒸発させられちまう……。
あまりの炎の威力にじわじわと押し返される中、必死に宙を蹴り抵抗するが押し返される。
突如背中に強烈な風が吹きつけ俺をドラゴンに向けて押し出した。
「何だ!」
俺を押してくる風の発生源の方向へ顔を向けるとソーラとアイナとシリルが立っていた。ソーラの手に握られている杖がアイナとシリルの手が淡い緑の輝きを発しているのが見え、【旋風魔法】で俺を押し出してくれているのが3人だと分かる。
もし万が一俺が炎に押し負けたらソーラ達も死ぬことになる……。そんなことは絶対にダメだ!!
「うぉぉぁぁぁぁぁぁぁぁっ! 【狂化】解放ぉ!!」
殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ殺せ
【狂化】を発動した途端頭に流れ込んでくる圧倒的な殺意に理性が飲み込まれそうになりながらドラゴンに向けて炎の中を突き進む。
そしてドラゴンも急に膨れ上がった俺の力を察したのか、最後の力を振り絞って炎の威力を上げる。
ゴァァァァァァァァァァァァァ!!
「ガァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァァ!!」
背中を風で押されながら、全力で宙を蹴るとついにドラゴンの炎を突破し、ドラゴンの眼前へと迫った。
「これで! 終わりだーーーー!!」
炎の中を突破した俺を驚愕の眼差しで見つめているドラゴン。
盾を投げ捨て大剣を握り締めると上段から一気に振り下ろした。
ゴゥァァァァァァァァ…………
頭を縦にかち割られたドラゴンが断末魔の悲鳴と共に地面に落下していく。
経験値を7300手に入れました。レベルアップしました。
スキル【飛行】を習得しました。
スキル【最大HP超上昇Lv.2】を習得しました。【最大HP大上昇Lv.4】は【最大HP超上昇Lv.2】に統合されました。レベルアップしました。
スキル【最大MP超上昇Lv.2】を習得しました。【最大MP大上昇Lv.8】は【最大MP超上昇Lv.2】に統合されました。レベルアップしました。
スキル【神力Lv.2】を習得しました。【剛力Lv.9】は【神力Lv.2】に統合されました。レベルアップしました。
スキル【城壁Lv.2】を習得しました。【塁壁Lv.5】は【城壁Lv.2】に統合されました。レベルアップしました。
スキル【魔神Lv.2】を習得しました。【魔哭Lv.4】は【魔神Lv.2】に統合されました。レベルアップしました。
スキル【韋駄天Lv.2】を習得しました。【迅速Lv.6】は【韋駄天Lv.2】に統合されました。レベルアップしました。
スキル【竜の息吹:炎】を習得しました。
スキル【威圧咆哮】を習得しました。【咆哮Lv.8】は【威圧咆哮】に統合されました。
ハハハ……、やったぜ……。
俺はドラゴンに向けて力なく勝ち誇るとそのままドラゴンと共に地面に落下していった。
そして意識が暗転する寸前俺は何かクッションのような物の感触を感じた。
いつも読んでいただきありがとうございます。
ブックマークとても嬉しいです。
最後までお付き合い頂ければ幸いです。