20話 世紀末のようです その1
ちょっとネタ入れてみました。
4/6 村人を避難させる描写を追加
11/9 本文を少し修正しました。
宴の日から数日、俺達は村に留まり生活していた。
近くの森に出向き、巨暴猪よりもかなり小さい突進猪や催眠茸を仕留めスキルと食材を手に入れたり、木の実や食べられる植物を採取しては村の人間達に振る舞った。
そして時には村長の頼みで畑を広げる為に伐採や、切株等の除去、【土魔法】を使用して畑を耕したりと、荒事もなく穏やかな日々を過ごしていた。
そんなある日の朝――。
「盗賊だーー!!」
家の外から聞こえる警鐘と慌てた声。すぐに起き上がり、3人とも装備を整えていく。
「ったく朝っぱらから。せっかくここ最近平和だったってのに……」
ついつい愚痴をこぼしている間にソーラは着替え終わりいつもの杖を手に、家から飛び出していた。
「早いなー。っと、俺も早いとこ着替えて行くか……ってアイナ? おーい起きろー」
「んにゅ~。ねむい~」
寝ぼけているアイナを起こし、着替えながらもついついアイナの胸の辺りに目がいっていた。
ここ数日同じ家で寝起きし、着替えも見ていたりするのだが、慣れることはなくついついガン見しながら自分の装備を整える。
普段だとにやにや笑いながらからかわれ、ソーラにジト目で見られたりするのだが、今日のアイナは寝ぼけておりソーラは既に飛び出していった。
安心してアイナの大きな胸を観賞しながら着替え、アイナの着替え終わりと共に村の入口へ走っていった。
村の入口では既にソーラが武器を構えて待っていた。
「すまん! 遅れた!」
「おそいですよ。どうせアイナの胸でも見ながら着替えていたんでしょう?」
「はっはっは。何を根拠に――」
「シーツァはねェ~、ずっと私の胸を見ながら~、着替えていたよ~?」
見られていた当の本人の証言を聞きジト目を向けるソーラに、汗をダラダラ流しながら何とか誤魔化そうとしていると、見張りの村人から盗賊がもうすぐそこまで来ていると言ってきた。何とか話を逸らせたと安堵しながら盗賊の方を見ると、結構な土煙を上げながらかなりの人数が接近していることが見て取れる。
そして、目の前まで盗賊共がやって来た時俺は驚愕に目を見開いた。
「ヒャッハー! 水と食料と女だー!」
ど! こ! の! 世紀末だー!
目の前には30人ほどのモヒカンがいた。上半身裸の上にトゲ付ショルダーガードをベルトで固定し、手には剣やら槍やら手斧を持ち、バイクの代わりに突進猪に騎乗していた。
え? なに? なんなの? ここは剣と魔法のファンタジーな世界じゃないの? いつから剣と魔法のファンタジーになったんだ!
「何あれ」
「何ですかあれは?」
「コッケコみたい~」
目の前の光景に唖然としている俺とソーラの横で若干的外れな事を言っているアイナ。
その後ろで村長は怯えながらも俺達の疑問に答えるように言った。
「あ……あいつらは――」
「知っているのか!」
「盗賊団『テイマーズ』です! 全員が【調教】のスキルを持っていて、リーダー以外は突進猪に、そしてリーダーは森林王狼に騎乗していて移動速度も速く、かなり強いと聞いております!」
んー村長が解説役になってる……。それにしても【調教】持ちか、恐らく【騎乗】スキルも持っていそうなんだよなー。とりあえず手前の一人を【看破】してみるか。
名前 モブ ♂
種族 人族:ヒューム 職業:盗賊
状態 健康
Lv 13
HP 126/126
MP 5/ 5
攻撃力 101
防御力 80
魔力 3
魔抵抗 1
速度 61
運 9
スキル
【調教Lv.1】【騎乗Lv.1】
んー案の定【騎乗】スキル持ってたか。持ってないスキルだからかなりうれしいなー。それにしても名前がモブって……あーやべ、爆笑しそう。
「おい! 何おかしそうにしてやがんだ! 笑ってねーで水と食料と女をよこせー!」
腹を抱えて必死で笑いを堪えていると、モブが怒りながら再度要求をし、仲間と共に突撃してくる。その顔は若干赤くなっていることから結構怒っているんだろう。
「あーソーラ、アイナ、取りあえず俺が先制攻撃仕掛けるから、撃ち漏らしをよろしく。それと村長、危ないから村の人達を村の中に避難させてくれ」
「わかりました」
「は~い~」
「わかった」
3人が頷くのを見ると即座に自分の上に【異次元収納】から無数の槍の穂先を出し、【物理魔法】で一気に射出していく。
盗賊達は襲い掛かる槍の雨に対処することができず、断末魔の叫び声さえあげる暇も無く1人、また1人と撃ち抜かれて死んでいった。
そして程なくして村の入口前方には盗賊30人、突進猪の死体30体の計60もの死体が転がっていた。
経験値を1980手に入れました。レベルアップしました。進化の条件を満たしました。
スキル【調教Lv.1】を複数回習得しました。【調教Lv.1】は【調教Lv.1】に統合されました。レベルアップしました。
スキル【騎乗Lv.1】を複数回習得しました。
スキル【突進Lv.1】を複数回習得しました。【突進Lv.1】は【突進Lv.3】に統合されました。レベルアップしました。
お、レベルが30に上がったからようやく進化出来るようになったか。今回の襲撃で【調教】と【騎乗】と【突進】は一気にレベルアップしたな。
「結局1人も残らなかったね。1人くらいは残してくれても良かったんじゃない?」
「そうねぇ~、いいところ全部ひとり占めは~、よくないよ~」
溜息交じりのソーラとのほほんとしたアイナに言われ、つい全員殺してしまった事に気が付き謝っていると不意に後から気配がしたので振り向いた。
するとそこには大きな銀色の狼に乗ったやっぱり見た目世紀末な人が男がいた。
黒ベースに金の装飾の着いたフルフェイスヘルメットをかぶり、黒い革ジャン着て、モヒカン達よりもごついトゲ付ショルダーガードをつけた完全にジャ〇な男だった。
「おい、俺の手下をやったのはお前か?」
「ああそうだよ。いきなり襲ってきたからな、始末させてもらった」
「そうか。おいお前! 俺の名前を言ってみろ」
「くっくくく……ハハハハハ! 聞いたかソーラ! 俺の名前を言ってみろだってよ! まんまあのキャラじゃんか! かなりウケるんだけど!」
「ププッ……、駄目よシーツァ、フフッ、本人は、いたって、真面目なんだから……ハハハ!」
「ん~? 何の話~?」
盗賊の男のセリフに完全に笑いのツボにはいって笑い転げている俺の隣では、ソーラも必死に笑いを堪えるが堪えきれておらず、アイナはそもそもの話が分からないようで首をかしげていた。
ひとしきり笑い転げていた俺は笑いが治まると、ヘルメットを着けている為顔色は分からないがプルプル震えてかなり怒っているだろうということが分かる男を【看破】で確認した。
名前 ジャルス ♂
種族 人族:ヒューム 職業:盗賊
状態 健康
Lv 30
HP 211/211
MP 30/ 30
攻撃力 297 (+21)
防御力 201 (+8)
魔力 40 (+2)
魔抵抗 28 (+1)
速度 150 (+39)
運 40 (+10)
スキル
【調教Lv.5】【騎乗Lv.5】【人獣一体Lv.3】
ふーん結構強いな。てか【人獣一体】なんて初めて見たな。どんなスキルなんだ?
【人獣一体】 騎乗している際に乗っている獣のステータスの一部を自分のステータスに加算する。レベル毎に加算値が上昇する。レベルMAX時には文字通り合体して人獣一体となる。
ほうほう、かなり強いスキルじゃないの。これ欲しい。さて、さっさと倒してスキルでも頂きますか。
現在のステータス
名前 シーツァ ♂
種族 小鬼族:ゴブリンナイト
状態 健康
Lv 30
HP 232/232 (+100)
MP 136/136 (+35)
攻撃力 359 (+250)
防御力 114 (+40)
魔力 82 (+15)
魔抵抗 80 (+15)
速度 170 (+100)(+5)
運 145 (+100)
スキル
【異世界言語】【看破】【スキル習熟速度倍加】【異次元収納】【蒐集Lv.2】【特殊武具作成Lv.1】【幸運Lv.5】【防音Lv.1】【消費MP軽減Lv.6】【最大MP上昇Lv.7】【ジャンプLv.10】【剣鬼Lv.1】【迅速Lv.2】【剛力Lv.5】【立体起動Lv.9】【HP自動回復Lv.4】【MP自動回復Lv.8】【蜘蛛糸Lv.10】【猛毒撃Lv.1】【投擲Lv.10】【痺撃Lv.6】【土魔法Lv.8】【盾術Lv.4】【回帰魔法Lv.1】【物理魔法Lv.8】【複製転写Lv.1】【弓術Lv.2】【精密射撃Lv.8】【火魔法Lv.4】【魔力感知Lv.5】【防壁Lv.8】【魔仙Lv.3】【槍術Lv.5】【気配察知Lv.2】【気配遮断Lv.3】【絶対防御Lv.1】【水魔法Lv.1】【斧術Lv.8】【最大HP大上昇Lv.2】【調教Lv.8】【突進Lv.8】【眠撃Lv.3】【騎乗Lv.7】
世紀末な人達を出してみました。私の盗賊のイメージは基本彼らですね。
どうしてもやってみたかったんです。